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MAINTENANCE REPORT

【E30 M3】各部メンテナンス【100,000Km】

E30 M3が各部のメンテナンスの為入庫しました。
初代モデルは登場から既に30年を超えているので定期的な各部のチェックは欠かせませんね。
些細な不具合から大きなトラブルへ繋がる事もあるので注意が必要です。エンジン始動時にガラガラと異音が…
E30M3に詳しい方ならご存じだと思いますが、E30M3はタイミングチェーンなので
どうしてもベルトと比べると音の発生は大きくなります。
当時はバネ式の機械式テンショナーが取り付けられ、エンジン始動時にはガラガラと耳障りな
異音が発生し、聞き苦しくもあり、油圧式のテンショナーに変更するケースが多いわけですが
今回のM3も機械式がそのまま使用されていましたので、油圧式に変更致します。
E36 M3Cで使用されている油圧テンショナーに変更する事で
格段に異音の発生は軽減されます。
しかしオイルの管理が不十分だと再び不具合が発生するのでパーツ交換後も交換サイクルをしっかり守る事が大切です。機械式から油圧テンショナーへ交換。水温が上昇し、適正に冷却されていない様子。
確認すると冷却水の量は問題無かったのですが、サーモスタットの不具合で適切な温度管理が出来ておらず
エンジンが充分に冷却出来ない状態になっていました。
サーモスタットはエンジンの温度管理に必要不可欠なパーツなのですが、故障してしまうとオーバーヒートや
オーバークールを発生させ、それが原因で最悪な場合はエンジンブローに繋がってしまいます。
サーモスタットの構造上、定期的な交換が必要なパーツなので消耗品と考えた方が良いでしょう。
サーモスタットの交換と同時にサーモスタットに繋がるホースも経年劣化を考慮して交換します。新旧のサーモスタット・サーモスタットホース。
E30のサーモスタットはタンクの様な形状の中に組み込まれているのでケース毎の交換になります。新しいサーモスタット・サーモスタットホース・各種センサーを装着。冷却水の交換。
フラッシング剤を注入して専用の機械で冷却経路内に溜まった錆や水垢等の汚れを圧送させ車外へ排出します。
排出後、新しい冷却水を注入して交換作業は完了。
冷却水には不凍・防腐・防錆等の効果があるのですが、使用していくと徐々に効果は減少していきます。
汚れた冷却水のまま使用していると冷却水路内に錆が出て経路を詰まらせる事があるので冷却水の交換の際には
専用の機械を使用して冷却経路内の汚れを除去する事が大切です。
エンジンオイルの交換。
フラッシング剤を注入してエンジン内の汚れを落とします。
使用するフラッシング剤は素早く汚れを落とすだけで無く、エンジン内部に保護膜を形成して
新しいオイルの再汚染を防ぐ等の効果があるので当社では交換の際に使用しています。10分~15分程アイドリングを行いフラッシング剤を浸透させ、落とした汚れと共に排出。
新旧のオイルエレメント。
オイルエレメントはオイルを濾過してオイルを綺麗にする役割を担っているのですが、
オイル管理が不十分だと目詰まりを起こし
逆に濾過しきれなかった汚れがエンジン内へ流れてしまう事が有るのでオイルと共にエレメントの管理も重要です。オイルの排出は出来るだけ内部に汚れたオイルを残さない様にする為、
時間を掛けてしずくが出来るだけ垂れなくなるまで行います。排出後、新しいオイルエレメントを装着し規定量のオイルを注入してオイル交換が完了。
その他に問題が無ければ最後にテストランを行い
修理箇所やその他に問題が見つからなければオーナーの元へ納車となります。

今回の作業ではE30M3ではよく見られるトラブルの修理を行いました。
今回の様にメンテナンスを行う事はトラブルが発生してからではなく、事前にトラブルを回避する事が目的です。
特にE30M3の様な古いモデルはしっかりとメンテナンスをしていれば今でも問題無く楽しむ事が可能なのですが、
メンテナンスを怠ると小さな不具合から大きなトラブルの発生に繋がってしまう事があるので、
人にも定期的な検診が必要な様に車も定期的なメンテナンスは必要なのです。

2017年03月03日