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MAINTENANCE REPORT

【ALPINA B3 3.3】24ヶ月法定点検&車検整備【120,000Km】

本日2回目のメンテナンスレポートはALPINA B3 3.3の24ヶ月法定点検と車検整備をお送り致します。
走行距離は120,000Km。
法定点検の基本的な作業を行いつつ各部のチェックを進めます。
下廻りを点検すると直ぐにオイル漏れの跡を発見。
どこから漏れているのか原因をつきとめます。一瞬、シリンダーヘッドからなのか・・・と心配しましたが
精査していくと原因はカムカバーとVANOSガスケットからのオイル漏れ。
カムカバーのガスケットが劣化してしまうと密着性が低下してしまう為、
エンジンオイルが浸み出してオイル漏れに繋がります。
今回のようにマフラーに垂れてしまうような漏れは、エアコンを外気循環にしておくと
車内に焦げ臭い異臭が入ってくるケースが多いので、出来ればここまで漏れが酷くなる前に手を打っておきたいですねカムカバーを外していきましょう。カムカバーを外し、カム山などに問題が無いか内部の状態を同時に確認。
接着面に残っている古いガスケット跡をオイルストーンで綺麗に整えておきます。VANOS取付面からもオイル漏れが見つかった為、VANOSユニットを外してガスケットを交換。
多少のオイル漏れであっても油圧が低下するとVANOS機構に与える影響は大きい為、放置する事はおすすめしません。
機能的に問題が無いか点検を行ってからガスケットを交換してエンジンへ装着。新旧のVANOSガスケット。
ガスケットは経年劣化以外にも装着ミスによりオイル漏れを発生させる事もあり、
装着の際には安易に締め付けるのではなく、既定のトルクで締め付ける事が大切です。
VANOSユニットを装着。装着の前にスチーム洗浄でカムカバーのオイル汚れ等を綺麗に落としておきます。VANOSユニットを装着したらカムシャフトの進角を計測しながらセッティングを行います。
セッティングには経験や知識が必要な為、不慣れな作業では逆にエンジンの不調や始動困難等、
エンジンに悪影響を及ぼす事があるので、知識や経験が豊富な整備士のいる工場で行うのが良いでしょう。VANOSのオイルホースのホローボルトと新旧のワッシャガスケット。
一度使用したワッシャガスケットは使用不可の為、新品へ交換。新旧のカムカバーガスケット・プラグホールガスケット。新旧のラバーシール。
全てを新品へ交換。
カムカバーボルトにこびりついたラバーシールや汚れなどを綺麗に洗浄。
何気にこういった洗浄をしないと漏れの再発につながります。
新旧のスパークプラグ。
カムカバー、スパークプラグ、エンジンカバーを装着してオイル漏れの修理が完了。こちらのB3は6MTなのでミッションオイルの交換。
交換の前にフラッシング剤を注入したのち、軽く走行し内部で発生したスラッジを排出しやすくします。油温を上げて粘度を下げた状態でスラッジと共に一気に排出。排出を終えたら規定量のミッションオイル(ATF指定)を注入してミッションオイルの交換が完了。デフオイルの交換。
ミッションオイル交換と同様にフラッシング剤を注入して内部のスラッジを排出しやすく。こちらも油温を上げた状態で作業を行い、デフオイルを一気に排出。排出を終えたら規定量のデフオイルを注入してデフオイルの交換が完了。パワステオイルの交換。
新油は赤く透明な状態なので画像の様な状態では早急に交換が必要です。
劣化が進みギアボックスで発生したスラッジ等を含んだ状態のまま使用を続けると
パワステラインやパワステポンプ、ギアボックス等に
悪影響を与えて不具合やオイル漏れを誘発するので注意が必要です。
特にパワステのオイル漏れは非常に多く、ウィークポイントとして捉えてパワステオイルだけでなく
関連するパーツの劣化にも注意して下さいね。パワステオイルの交換。
専用の機械を使用してフラッシング剤を注入し、
パワステラインやパワステポンプ、ギアボックス内部の汚れ落として車外へ圧送。
汚れの排出を終えたら規定量のパワステオイルを注入し、エア抜きを行ってパワステオイルの交換が完了。
フラッシングを行わないと内部に残った汚れで交換しても直ぐに再汚染されてしまう事があるので、
施工方法にも注意が必要です。ブレーキフルードの交換。
専用の機械を使用してブレーキラインの水垢や錆等の汚れを古いフルードと共に車外へ圧送。
ブレーキフルードは吸湿性が高く、劣化が進むと透明から徐々に紅茶色→濃さが増して変化していきます。
エンジンルーム内のリザーブタンクを確認すれば劣化具合が判るのでご自身でも点検しておくと良いでしょう。排出されたフルードに異常な錆やスラッジが含まれて無いか確認。
クラッチフルードの交換。
ブレーキフルードと同様に吸湿性が高い為、
水分を含むとレリーズシリンダー内部に錆が発生しフルード漏れを誘発します。
当然、フルードが漏れ出てしまうとクラッチ操作は出来なくなってしまうので、
劣化に注意を払い定期的な交換が必要です。
フューエルフィルターの交換。
フューエルフィルター内部の燃料を排出すると汚れを含んで真っ黒な状態になっていた為、
かなり汚れていた事が判ります。
この様な状態のフィルターを通って燃料が供給されていたと思うと…
フューエルフィルターは交換は案外見落とされている事も多く、いつ交換したかな・・・
と疑問符が付くオーナーも多いですが、M3やALPINAのようなスポーツモデルでは燃圧もスタンダードモデルより
高い事もありますので、定期的にチェックし、交換した履歴があやふやであれば、そう高額なパーツでは無いので
交換してしまっても良いかも知れません。
新旧のフューエルフィルター。ホースバンドもセットで交換。
新しいフューエルフィルターを装着して交換が完了。経年劣化でブローバイホースに大きく亀裂が入り破損していたので交換。ゴム製のパーツは経年劣化で油分が抜けると柔軟性が無くなって固くなり、車の振動等で破損する事があるので、
定期的に点検を行って不具合が無くても経年を考慮して交換した方が良いでしょう。
交換を行っていない他のパーツも同様に今後は注意が必要です。エアエレメントの交換。
新旧を見比べると汚れ具合が判ります。
エアエレメントは新鮮な空気をエンジンへ取り入れる為に空気中の不純物を濾過しているのですが、
汚れが溜まってしまうと空気の流入量が減るだけでなく、濾過しきれなかった汚れがエンジン内へ混入する事になり
エンジンの不調に繋がります。
エアエレメントの汚れ方は走行環境によっても変化する為、
ご自身の走行環境ならどれぐらいで交換した方が良いのかを把握し、
汚れが酷くなってから交換するのでは無く、的確な時期を見極めて交換して下さい。
エアエレメントボックス内部も汚れている事が多いので
交換する際にはボックス内部の清掃も忘れずに行う事が大切です。エンジンオイル漏れで汚れていた下廻りをスチーム洗浄。漏れたオイルで汚れていたアンダーカバーもスチームで綺麗に洗浄。
陸運支局へ車輌を持ち込んで無事車検を取得。後日、車検証、定期点検記録簿、車検ステッカー、定期点検ステッカーをオーナーへ渡して納車となりました。

今回は通常の作業の他にエンジンオイル漏れの修理やブローバイホース、フューエルフィルターの交換を行いました。
車は10年を超えてくると通常とはまた違った箇所の経年劣化にも注意が必要で、
定期点検での油脂系の交換以外にも今回の様に交換するパーツが増えて来ます。
これはどの車輌でも起こる事なので仕方が無い事なのですが、
メンテナンスの良し悪しで作業時間や費用を軽減する事が可能なので
メンテナンスプランを立てて優先順位を付けて作業を行うと良いでしょう。
当社では50項目の無料点検を行っており、実際に下廻り等も確認出来ますので
何となくご自身の車のコンディションが気になっているオーナーは、お気軽にご利用下さい。

2018年08月20日