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MAINTENANCE REPORT

【E38 750iL】エンジンストール修理【65,000Km】

今回はE38 750iLが入庫したのでレポートしていきましょう。
初めてのご来店で走行距離は65,000Kmの750iLになります。
1994年~2001年まで生産されていた7シリーズの中でも最上級グレードのE38 750iLはV12エンジンを搭載し
重厚感のある走りだけでなく、1998年公開の007の映画【トゥモロー・ネバー・ダイ】でボンドカーとして
使用されていたモデルなのでご存知の方も多いのではないでしょうか?
7シリーズは主に法人の方が新車で購入され運転手付きの車輌として使用される事も多いモデルのひとつです。
メンテナンスの状態により故障頻度は様々なのですが、やはり50,000Km以上走られている車輛は
細かなトラブルはそれなりにある上、部品代も他モデルに比べると高額になるケースも多いですね。
今回は走行中にエンジンがストールしてしまうとの事なので、電気系のトラブルを疑いつつ、
問題のある箇所だけでなく総合的に点検を行っていきましょう。
デジタルテスターで電圧を計測してみるとアイドリング中で11.24Vとかなり低い数値で、
現状ではオルタネーターが正常に発電してない状態です。
これではバッテリーにも負担をかけ適正な電圧を維持出来ない為、まずはオルタネーターの交換が必要です。エンジンからオルタネーターを取り外し、同時に取り外したパーツ類もチェックしていきます。オルタネーターを取り外す為にファンベルト、ベルトテンショナー、テンショナープーリーを外します。新旧のオルタネーター。
使用状況などによっても寿命は変わるので、今回のように走行中にストールするだけでなく
バッテリーの警告灯が点灯したり、運転していてメーター照明が暗くなったり、
エアコンやカーナビ等の電気系の装置が不安定な動きをしたら、
放置をせずに一度しっかりと点検した方が良いでしょう。
オルタネーターが故障して電力の供給が無くなるとバッテリーの電力のみを使用するので、
やがて電力が無くなれば今回のケースのように走行中でも突然エンジンは停止してしまう為、
異常を放置したままの走行は非常に危険ですね。新旧のファンベルト・ベルトテンショナー・テンションプーリー。
どのパーツも使用していれば徐々に消耗が進み、やがて劣化して破損してしまうので、
定期的に点検を行って状態が悪ければ症状が悪化する前に交換が必要です。
取り外したファンベルトには亀裂が多く入っていました。
オルタネーター及びベルト類を取り付けて修理が完了。
今回はオルタネーターの故障でしたが、その原因にアクセスするのに取り外したパーツなどの状態も的確に判断し
お伝えするのも重要な仕事だと考えています。ただ言われた箇所だけを修理し、作業して間もないうちに
また同じ箇所を取り外すなどという作業はプロとしてどうかと思う次第です。
オルタネーター脱着には冷却ホースを外す必要があった為、冷却水の交換を実施。
フラッシング剤を注入して冷却経路内で発生した錆や水垢の汚れを浮かせて車外へ圧送します。
単に交換作業を行うのでは無く、内部の状態やパーツの劣化具合等も考慮しながら作業を行う事が大切で、
年に1回この様な作業を行えば冷却水のトラブルを軽減する事が可能になります。
新旧のバッテリー。オルタネーターを交換し、再充電も行いましたが
停止時電圧が11V後半程度から上がらなかった為交換です。
バッテリーは2年~5年ぐらいが寿命と言われており、使用状況によっても差が出て来るのですが、
走行していない車輌は充電される量が少ない為、消費率が高くなってバッテリーに負担をかけます。
バッテリーあがりを起こしてしまうと著しく性能は低下してしまう為、再充電しても元の状態に戻す事は出来ません。
使用状況や使用年数を考慮して寿命が来る前に交換する事が大切なので、通常の使用で2年を超えたぐらいから
劣化を考慮して電圧を確認し、規定電圧より低ければ再充電し、それでも電圧が上がらなければ交換しましょう。新しいバッテリーを装着し、アイドリング時の電圧を計測して問題が無い事を確認し、
オルタネーター等の電気系統の修理が完了。最後にテストランを行って今回の修理箇所や運転していてその他に違和感が無いか確認を行い、
今後のメンテナンスメニューなどをご提案させていただき、納車となりました。
またのご来店お待ちしております。

2018年05月28日