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MAINTENANCE REPORT

【E53 X5 4.8is】冷却水漏れ修理【90,000Km】

今回のメンテナンスレポートはE53 X5 4.8isの冷却水漏れ修理です。走行距離は90,000Km。
初代X5の中でもトップグレードの4.8isは2004年に追加リリースされ、6速ATのV型8気筒DOHCエンジンを搭載し
350馬力を超えるパワーはオフロードだけでなく公道でもスポーツカー並みの走行が魅力のモデルですね。
冷却水漏れはX5でもウィークポイントとしてお馴染みのトラブルなので、
日頃からエンジンルーム内の状態の変化には注意が必要で、エンジンルームを覗いて白く雫が垂れた跡や
噴き出て白く乾燥した形跡が残っていたら、放置をせずに掛かりつけの工場へ相談して下さい。水漏れの箇所を特定する為に、冷却経路へ圧力を掛けて水漏れの箇所を特定します。圧力を掛けているとエキスパンションタンク上部から冷却水が噴き出ているのを発見。
エキスパンションタンクは樹脂製の為、経年劣化で柔軟性が失われるので車の振動や内部の圧力に耐えられなくなって
亀裂が入り冷却水が噴き出してしまう事が多く、定番のトラブルなので今まで未交換の方は注意して下さいね。
漏れ方は様々で亀裂から徐々に漏れ出てくるだけでなく、
破損して一気に噴き出してしまうと走行不能になるだけでなく、オーバーヒートを起こしてしまうと
エンジンが駄目になってしまう事があるので水廻りの管理を怠らない様にして下さい。新旧のエキスパンションタンク。
少しの亀裂だとしても補修は不可なので新品へ交換。
多少の漏れなら大丈夫と冷却水を継ぎ足して走行を続けたり、
稀に亀裂を塞ぐ為に何らかの応急・補修処置をしている車輌を見掛けますが、
状況は改善しないばかりか被害を拡大させるだけの行為なので、そういった処置はしない方が良いかと思います・・・
冷却水の交換。
パーツの交換作業を終えたら専用の機械を使用してフラッシング剤を注入し、
冷却経路内の水垢や錆等の汚れを浮かせて古い冷却水と共に車外へ圧送。
単に冷却水を交換するのでは無く、年に1回今回の様な作業と同時に各部のチェックを行う事で水廻りのトラブルを
大幅に軽減する事が出来るので施工方法の選択も非常に大切です。
特に近年の日本の夏は酷暑が続き、エンジンの温度管理を担う冷却水は負担が多くなる傾向なので、
気になる方は夏前に対策をしておくと良いでしょう。
当社で使用している冷却水は冷却効果が高いだけでなく劣化が気になるホースやジョイント部の
シール等の劣化を軽減する効果が高いFUCHS社のFRICOFING12をメインに使用しています。エンジンオイルの交換。
古いオイルを排出する前にフラッシング剤を注入しエンジン内部に堆積したスラッジやカーボン等の汚れを
落としやすくして古いオイルと共に車外へ排出させます。
エンジンオイルは定期的な交換が必要な事は皆さんご存知だと思いますが、
定期的に交換をしなくても余程の事が無い限り、車は急に止まる事はありません。
その為、残念ながら交換時期を先延ばしにしている方も多いのではないでしょうか?
エンジンオイルはエンジンを潤滑させるだけでなく、
密封・冷却・洗浄・防錆と様々な作用でエンジンを保護している為、
劣化が進行した状態では効果が発揮出来ずに逆にエンジンへダメージを与えてしまい、エンジン内部だけでなく
ガスケット等にもダメージを与えてオイル漏れを発生させたり二次被害、三次被害と症状を更に悪化させるので
交換時期を逃さない為にも少し早めの心構えで走行距離が3,000km~5,000km、
期間は半年に一度を目安に交換した方がコンディション良く維持できるかと思います。
10~15分程アイドリングを行い、エンジン内部に十分フラッシング剤を浸透させて汚れを落とし、
古いオイルと共に雫が垂れなくなるまで時間を掛けて排出を行います。
排出の際はオイルの状態や廃油に異常な汚れや金属片等が含まれて無いか確認しエンジン内部の状態を探ります。新旧のオイルエレメント。
使用するパッキンやOリング等も新品へ交換。
オイルエレメントを装着したら規定量のエンジンオイルを注入してエンジンオイル交換が完了。
使用しているオイルは当社でも安定した人気のTiTAN SuperSyn 5w-50。
M3やALPINAのオーナーに支持されているオイルなのですが、V8エンジンを搭載するX5 4.8isでも効果を発揮し
パワフルなトルクで低速から高速域まで安定した性能でオンオフ問わずストレスの無い走行を楽しめます。全ての作業を終えたらテストランを行って修理箇所やその他に気になる箇所が無いか確認。
テストラン後は再び水漏れのチェックを行って問題が無ければ後日オーナーの元へ納車となります。

2018年08月27日