75y 2002 4MT RestorationFile No.10
昨年の5月から作業に入り、7月下旬に更新をスタートした
 【75y 2002 4MT RestorationFile】も第10回でいよいよ最終回です。
 無事完成!という事で今回は完成した姿をお披露目です。
 レストアでどの様に生まれ変わったのか、
 どの様な処理をしているのか…レストア前の記事と比較しながらお楽しみ下さい。
 【車輌データ】
 75y E10 2002 2Dr SportSedan
 Engine 1,990cc 4cylinders 100PS/5,500rpm
 GearBox 4Speed MT
 
元々のボディカラーはポラリスシルバーメタリック。
 オーナーの意向で変更した印象的なボディカラーは2002の純正カラー【021 Malaga Red】
 フロント部はバンパーレス仕様へ変更。
 ターボフェンダーを装着し、当時のラリー車を彷彿させるレーシーでスパルタンな風貌に変わりました。
外装の仕上げは下記の流れで行っています。
総剥離⇒板金(ボディパネル、ドア、ボンネット/トランクフード等、
 リペアが必要な箇所を溶接orハンダ板金で仕上げ)⇒
 研ぎ⇒プライマー処理⇒サーフェーサー処理⇒研ぎ⇒本塗装
 (トランク内は一部をチッピングコートし、その上から本塗装仕上げ。)
プライマー・・・R-M ユーロフィルクロムフリーウォッシュプライマー
 サーフェーサー・・・R-M プロフィラー グレイ(厚膜仕様)
 アンダーコート・・・ヘンケルテロソン Terotex-Record 2000HS ブラック
 外装塗料・・・R-M DIAMONT
ボディパーツの仕上げは下記の通りです。
 フロントはバンパーレス仕様。
 (バンパーステー取付穴も溶接で塞ぎました。溶接の熱でフェイスパネルが歪まないように時間をかけ処理。)
 ターボフェンダーを装着し、ボディサイドモール・ステンレスプレートはデザインに合わせてレスとしました。
 リアバンパーはリクロームし再生。
 ドアミラーは当初vitaloniを予定していましたが、思いのほかスパルタンになりすぎてしまうので純正ミラーを装着。
 ドアハンドルなどの小物パーツもリクローム。
 ドアウェザーストリップ交換。
 F・Rウィンドウガラスウェザーストリップとウェザーストリップの化粧モール交換。
 フロントグリル交換。
 前後ライトベゼルは交換。
 各レンズ類(ヘッドライト/ウィンカーレンズ/テールレンズ/ナンバー灯)交換。
 ナンバー灯に関しては本国仕様に変更。
 各パーツを固定するナットボルト類は全て新品に交換。
 アルミはワタナベ14inchF7J/R7.5Jを装着。全てのガラスはグリーンティントガラス新品に交換。
 
バンパーレス仕様の為、バンパーステー取り付け部を穴埋め処理。
 歪みも無く、美しい曲面で仕上がりました。
レストア前と比較するとグリル越しに見えるパーツも誇らしげな印象。
 グリル奥に見えるのはホーン・クーラー用の電動ファンとA/Cレシーバーになります。
バンパーが無くなるだけで印象が全く変わりますね。
ウィンカーはAssyで交換。
ドアミラーは純正クロームミラーを装着
 
経年劣化していたウィンドウガラスウェザーストリップ・ウィンドウモールは新品へ交換、
 Aピラーのアンテナは外してハンダで丁寧に処理したので、
 パテ処理のみなどにみられる経年によるヒケやクラックの心配はいらないでしょう。
ベンチレーションウィンドウも綺麗に復活。
 ベンチレーションウィンドウ枠は3つのパーツが叩きリベットで組み合わされており、
 分解しないと再生処理が出来ません。
 一部のパーツにダイカストが使用されている事もあり、再生には手間とコストが非常にかかる部分でもあります。
 この三角窓を開けて風を感じながら走行する感覚は現代の車には無い魅力ですね。
 
ドアノブもダイカストな上、形状も複雑なので再生には頭を悩ませます。
 再クローム施工前に下地を整える必要があるのですが
 研磨しすぎるとダイカストがボロボロと崩れ落ち、形状が保てないなんて事も。
 こういった処理は当然専門の研磨・再生を専門とした方に依頼するわけなので、
 こういった車を造るには私たちだけの力だけでは完成しません。ただただ感謝です。
 
BMWの象徴とも言えるキドニーグリルの輝きも見事に蘇りました。
ホイールはワタナベの14インチ8スポークホイール、フロント14×7J
 タイヤはPIRELLI製の185/60をチョイス。
リアは7.5J、195/60を装着。
 
 
ドアモールは全て外してドアモールレス仕様へ変更。
 取付穴も全て処理済みでスッキリとした印象です。
 リベット止めされたオーバーフェンダーはターボ純正を使用し【Turbo Look】へ変更。
 純正のままでは形状が合わないのでバンパーレス仕様にしっかりと馴染む様にフロント部分は形状加工しています。


リアガラス・ウィンドウウェザーストリップ・ガラスモールは全て新品へ交換。
リアビューは元色のポラリスシルバーメタリックとノーマルのマフラーがレトロで落ち着いた印象だったのですが、
 ANSAのセンターマフラーとライセンスプレートランプの変更が随分と違う印象を感じさせますね。
 
角型テールランプはAssy交換。
 テールランプの下部に有った錆と凹みは当然しっかりと処理しています。
2002のエンブレムは再メッキ加工処理。



トランクを開ける際に使用するプッシュボタンも一度分解し、しっかりと下地処理され、
 クロームメッキ処理が行なわれている事にお気付きでしょうか?
 

フューエルキャップはオリジナルパーツを分解して再生処理。
ドアモールが無くなってスッキリとしたサイドビュー。
ターボフェンダーとボディの取り合い部分はうまく加工してもらいました。
 
内装はオーナーと打ち合わせを行い、外装に合わせてコブラシートやバケットシートにするか悩んで頂きましたが、
 今回は純正シートをチョイスする事になりました。
 元々ブルーで統一されていた室内でしたが、
 ボディと色味を合わせる事で一気に明るくお洒落な印象に変わりましたね。
 
今回の2002はオーナーからのリクエストもあり、電動アシストステアリング機構を取り付けました。
 ハンドルは35パイの3スポークのNARDI CLASSICへ変更しても楽々スポーティーなハンドリングを楽しめます。
ドアインナーパネルもシートと同色マテリアルで張替を行いました。
ドアロックメカニズムは分解しメッキ再生。
 
内装に合わせたワイン色のフロアカーペットは上品な印象を与えてくれますね。
リアシートも見違える仕上がりでゆったりとくつろげます。
今回もクーラーをビルトイン。フロントシートはシートヒーターを組み込み快適仕様に。
 追加メーターは電圧計と水温計をセットしています。
 
運転席側もスッキリとした印象で軽快なハンドリングやアクセルワークが存分に楽しめます。
コンパクトに綺麗に処理されたセンターコンソール。
 
リアトリムに付いていた灰皿は全て取り外しインストール。
リアスピーカー等は全て取り外し。



内装と同色に仕上げたルーフライニングのコーディネートの雰囲気も良く、バイザーも同色へ変更。



左側はライトスイッチ。
空調の操作パネルは表面の光沢等、当時の雰囲気を損なわない様に加工等の処理方法にもこだわって仕上げました。
経年劣化でひび割れが酷かったダッシュボードは御覧の様に綺麗にリペア済。
エンジンは下記の流れて進めています。
 全ガスケット交換(シール・パッキン類含)。
 全ボルトナット交換。
 全ゴムホース類交換(冷却水ホース・ブレーキホース・フューエルホース・エアホース)
 それに伴い全てのホースバンドも当然交換。
 フューエルポンプ交換。
 オルタネーター交換。
 ラジエター交換。
 ブレーキマスターシリンダーオーバーホール。
 内燃機関加工(ヘッド容積指定面研/バルブガイド入替/シートリング入替/ホーニング)
 ピストン交換(0.25mmオーバーサイズ)
 バルブ交換
 クランクメタルは全て交換。
 クランクシャフトはそのまま使用。
 ピストンの重量合わせやクランクシャフトのバランス調整。
 Weberのシングルキャブ。
 エンジンパーツは一度サンドブラストで表面の錆や汚れを落とし、
 アルミパーツは1,000番程度のガラスビーズで仕上げ。
 エンジンはノーマルのソレックス・キャブレター40PDSIシングルキャブ仕様から2バレルシングルWeberへ変更。
 消耗パーツは全て交換、デストリビューターはポイント式からフル・
 新車と同じレベル、もしくはそれ以上を目指し製作を進めました。
 

カムカバーは結晶塗装を施す事でエンジンルーム全体の印象が変わりました。

オリジナルの状態ではヘッドライト裏にカバーは無く、
 配線への浸水や錆の発生が気になりましたがカバーを装着し、そういった不安要素を解消。

元々状態が良かったのでトランクフード裏も綺麗な仕上がりです。
元々トランクにはカーペットの設定はありませんが、新規に作成しています。
トランクボードもMDFを切り出し新規に製作。
 グレイのレザーを貼りフィニッシュです。
 
オリジナルのスペアタイヤ、車載ジャッキも再塗装を施しリペア。
オリジナルの燃料タンクは内部の防錆処理を行って再塗装。
ワイヤーハーネスも一度ほどき、端子や酸化が目立つ配線のリペアなどを行い、しっかりと電流が流れ
 電圧を保てるようリペアし、取り付けを行っています。
 
レストア前と見比べると随分と印象が変わったのが分かりますね。
各ブッシュ交換とブレーキシステムの作業は下記の通り行っています。
 エンジンマウント・ミッションマウント・ユニバーサルジョイント・プロペラシャフトベアリング
 フロントアクスルキャリアブッシュ・フロントコントロールアームブッシュ・
 フロントスタビライザーマウントブッシュ・デフマウントブッシュ・リアアクスルキャリアブッシュ・
 リアトレーリングアームブッシュ・F/Rショックアブソーバー&コイル・スプリングパッド・
 バンプラバー等全てのブッシュは交換。
 ボルトナットやワッシャは新品へ交換。
 ブレーキシステム
 前後ハブベアリング交換。
 前ブレーキローターリアドラム交換。
 前後ブレーキパッド交換。
 前ブレーキキャリパーオーバーホール。
 ブレーキフルードライン&ブレーキホース交換。
 
下廻りのレストアは下記の流れで施工しています。
 アンダーコート総剥離⇒フロアやフレーム部分の腐りは板金溶接にて完全に修復。
 シーリング処理⇒アンダーコート⇒本塗装(タイヤホイールハウス内のみ、下廻りフロアはブラックアンダーコート処理)

















今回は新オーナーからのリクエストと私たちのスパイスを融合させながら
 一体になり制作させていただいた2002になりましたね。製作期間は正味一年少々でしょうか。
 打ち合わせを含めると一年半ほどお付き合いいただきました。
 もちろんこれからも宜しくお願い致します。
 見た目のクラシックなたたずまいとは裏腹に今回はクーラー・シートヒーター・パワーアシストステアリング・
 フルトランジスタ化など快適な装備も取り入れた一台に仕上がったかなと思います。
 今回のようににオーナーの思いやイメージが形となって完成していくのはレストアの醍醐味だと思います。
 今後もこの状態を出来るだけ維持しながら存分に走行を楽しんで頂けたらこちらも嬉しい限りです。
 今回の記事を読んで2002に興味を持たれた方はレストアベース車輛からセミレストア車輛まで
 在庫は御座いますので気軽にお問合せ下さい。
2017年10月14日