【E30 M3 SportEvolution】外装レストア作業【65,000km】
E30 M3 SportEvolutionが入庫。
E30 M3 SportEvolutionは1989年から1990年まで601台が製造され
ドイツツーリングカー選手権のレギュレーション変更により
2.3Lから2.5Lまで排気量が上げられた2.5L 直列4気筒DOHCエンジンは238PS/24.5kgf·mを誇り、
E30M3としては最終且つ最強モデルとして市場でも人気が高く、流通も少ない為入手困難なモデルになっています。
今回は全塗装だけでなく、ウェザーストリップ等の消耗パーツを中心に新品に交換しつつ
オリジナルパーツも綺麗に再生していきたいと思います。
まず全塗装に備えて各パーツを取り外していきます。
当社では外せるものは全て外し、出来るだけマスキングテープなどの養生が必要ない状態で
板金塗装へバトンタッチしていきます。
ウィンドウメカニズムなどを取り外し
インシュレーターのブチルテープの残りなども綺麗に拭き取ります。
クリップなども取り外します。塗装後に新品のクリップを使用しモール類は取り付けていきます。
ルーフアンテナとベースは新品に交換します。
過去に全塗装されているようですが、下地処理の甘さから、塗膜が浮いている箇所が多数あり
テールライト周辺は完全に腐っていますので、きちんと板金処理した上で塗装していきます。
リアサイドウィンドウ下部の腐食は雨水や洗車時に水分が溜まりやすい箇所なのでこの様な状態は想定内の範囲です。
オーナーからのリクエストにより、エンジンルーム内の塗装も行う為エンジンを降ろします。
エンジンからミッションやプロペラシャフト、排気システム等を外しておきます。
ボディからエンジンを降ろしました。今回はエンジンのお色直しはせずにボディが戻ってきたらそのまま搭載します。
ラジエター等の補機類を外します。
ウォッシャーホースなども取り外し。
全塗装前に各パーツを取り外した状態。
サンルーフ、フロント・リアウィンドウ、サイドウィンドウ等も全て外し、
バンパーやサイドステップなど分割して塗装が可能なパーツはそれぞれ分けて、
板金修復してから塗装を行います。
エンジンルームもこの状態までパーツを外して処理していきます。
ABSユニットは直前に取り外します。
ボディの状態にもよりますが、ここまで当社で作業をし、板金塗装へバトンタッチ、
各パーツの取り外しに一週間、板金塗装で二~三週間、板金塗装中に交換パーツを発注しておく事で
戻り次第すぐに組み上げに移行出来ますね。一カ月半から二カ月が当社の外装レストアの納期でしょうか。
あっという間に三週間経過・・・
全塗装を終え工場から戻って来た状態。
まだ、板金磨きの状態ですがすでに塗装前の状態と見比べると鈍かった輝きから変わって、
色の深みが増してボディコンディションが全く違うのが分かりますね。

シートやステアリングなどは板金塗装で汚れてしまう事もありますので
必ず当社のストックシートやステアリングに変更し、板金塗装を行っています。
リアシートやクォーターパネルなども汚れないよう取り外し保管。
ここからまた当社へバトンタッチです。
エンジンを搭載し、内外装を組み上げていきましょう。
エンジンを搭載、ミッションやプロペラシャフト、マフラーなども戻していきます。
ECUを使用しているモデルなので2002などと比べて、ワイヤーハーネスは多いですが
このあたりは手慣れたものです。サクサク進めていきます。
ドアメカニズムを組み付けしていきます。
左右のドアパーツ一式。
清掃し、新たにグリスが必要な箇所は塗布しながら組み付けていきます。
ドアインナーハンドルガスケットを新品へ交換。
外しておいたリアサイドパネル、シートベルトを装着。
装着が完了。
クォーターガラスウェザーストリップは新品へ交換。
ウィンドウモールも5分艶程度で再塗装しています。
クォーターガラスの装着が完了。
リアシートを装着。
リアシートの装着が完了。
フロントシートを装着する前に綺麗に掃除しておきましょう。
新品のエントランスレールカバーとM3オリジナルのエントランスモール。
クリップ類は新品に交換します。
装着が完了。
フロントシートを装着。
トランクルーム内も塗装したので取り外したパーツ類を取り付けていきます。
ウェザーストリップ等のゴム系の消耗パーツの他、BMWのエンブレム等も新品へ交換。
リアブリーザーカバー、新旧のシールリングを交換。
このシールリングが劣化していると、トランクルーム内のサイドポケットに雨水や洗車時の水が
溜まりかなり深刻な錆を呼び寄せるのでリアバンパーを外すような場合には交換しても良いかも知れませんね。
ブリーザーカバーを装着。
オリジナルのテールライト、新旧のテールライトガスケット。
テールライトガスケットの劣化もトランク内に水を引き込む原因になります。
テールランプの装着が完了。
ドアメカニズム取付を終え、新たにインシュレーターを貼り付けしドアパネルを取り付けしていきます。
ドアパネルのインナーストリップは新品に交換。
オリジナルのドアミラーは分解した上で塗装しているので、組み上げていきましょう。
フロントドアのアッパーストリップを装着。
新旧のドアアッパーウェザーストリップ。
新旧のドアキーシリンダーカバー。
劣化すると白くなって弾力性が無くなって割れてしまう事があるので新品へ交換。
装着完了。
サンルーフは車体から外して各パーツに分解して状態を確認。
サンルーフウェザーストリップは新品へ交換。
サンルーフの開閉機構に問題が無いか確認しつつサンルーフを装着。
装着後はしっかりと開閉の確認と防水性に問題は無いか実際に水を掛けて水漏れのチェックを行います。
ルーフアンテナの取付。
ルーフアンテナを装着。
リアウィンドウフレームカバーを装着。
ウィンドウフレームカバー。
装着に使用するリベット等は新品へ交換。
装着完了。
再塗装を終えたリアバンパーを車体へ戻します。
リアバンパーの装着が完了。
トランクリッドを取り付けM3の証の一つである象徴的な大型のリアウィングを装着。
新旧のライセンスランプ。
ヒビ割れが有った為新品へ交換し、装着に使用するビスも全て新品へ交換。
点灯チェックを行い装着が完了。
ヘッドライトを取付。
再生を終えたグリルパーツ一式。
装着に使用するクリップやネジは新品へ交換。
ライトカバーグリルには必ずシーリングを付けてからボディへ装着。
グリルの装着が完了。
リアサイドアウタートリム・リアサイドカバー。
フロントバンパー、フロントウィンカーを装着。
ボンネットサイドストリップは新品へ交換。
引っ張りすぎると長さが合わなくなるので、何気に取り付けには気を遣うパーツです。
フロントドアウィンドウモールも綺麗に再生出来ました。完成まであと少し・・・
リアバンパーにスポエボストライプを貼り付け。
フロントのストライプも。
外装、内装共に組み上げ完了。
エンジンルーム内のコーションラベルを貼り直し。

記念撮影。



オーナーにもご満足いただけたようで、先日納車となりました。
今まであまり外装レストアのみを焦点にあてたブログはアップしていなかったような気がしますが
外せるものは全て外して・・・というやり方が当社の外装レストアの基本になります。
せっかく綺麗になった車のウェザーストリップをちょっとめくってみたら古い塗装のままだった・・・
自分だったら正直言って興醒めしてしまいます。塗料もR-M社のDIAMONTやHD UNO、STANDOX、ロックペイント
などモデル・年式・ソリッド・メタリックなどの違いによってチョイスし使い分け、
そのモデルに最適な方法で再生していくよう努めています。
2018年01月16日