第51回 E36 M3B ハンチング
気が付けばもうすぐ年の瀬間近という中、当社も入庫車輌があとをたたずパタパタしている状況なので
メンテナンスレポートも最近ではアップ出来ない状況でしたが時間を見つけコツコツ製作しておりますので
楽しみにしていただけているかどうか分かりませんが、気長にお待ち下さい。
題材ばかり溜まっている状況なので頑張ってアップ出来るよう努めます。
EU並行のM3Bがアイドリングのハンチングが酷い症状で入庫致しました。
確認するとラフを通り越してエンジン全体が揺れている感じの症状。
購入からそう日は経っていないそうですがエンジンルーム、下廻りを確認すると各部に
オイル漏れも見られ、その走りも軽快なツキの良さを感じることが出来ず全体的にモッサリとした印象を受けました。
まずオイル漏れ箇所の確認。パッと見てVANOS周辺がこのような状態であれば
間違いなくオイルは漏れているでしょう。
ガソリン漏れの形跡がリフトアップ時確認出来たのでフューエルポンプ部を確認すると
漏れている形跡がはっきりと確認できました。常に漏れているのでは無く
ガソリン満タン時にサクションユニットの付け根から漏れているようですがフューエルライン全体が
同程度に消耗しているので、いつ他部分からの漏れを併発するか分からない状態です。
修理前にまず不具合箇所の確認です。スチーム洗浄にてエンジンルーム、下廻りの汚れ等洗浄します。
なかには修理されているにもかかわらずオイル漏れ跡をそのままにしてある車輌も少なくありません。
誤診しないよう私達も慎重に作業を進めます。約30km程のテストラン後、VANOSユニットよりオイル漏れが確認出来ました。
全ての検査終了後、優先順位をつけ内容をお伝えし、今回はハンチングの解消とオイル漏れの修理。
ベルト類の交換。レスポンスアップの為の作業一式を実施致しました。
VANOSユニットを分解し清掃とガスケットの交換。VANOSフィルターも詰まり気味でしたので交換致しました。
エンジンオイルブロック脇プレッシャーバルブからもオイル漏れがありましたので交換。
アイドリングやエンジン回転数を制御するセンサーはテスターで検査した時に、エラーコードとして
表示されれば完全に駄目になっている状態なのですがエラーコードとして出てこない消耗度合いでも
車輌のコンディションが悪くなる場合があります。ですから、一箇所一箇所センサーの使用限界基準値を調べ
限界値に近いセンサー類は機能チェックをし、その機能が正常だと確認できない場合は
新品と交換です。あわせて正常に機能しているセンサーも
残りどのくらいの距離や経年によって駄目になってしまいそうかも同時に確認し、
駄目になってしまった場合の対策も考え修理を進めます。
ファンベルトもヒビ割れが酷い状態。
テンショナーも伸びきっておりしっかりと張り調整が出来ずローラー類もガタツキが大きい状態。
パッと見ただけではベルトのヒビ割れだけに目がいきがちですが、もう一手間を惜しまず検査することによって
その作業自体が無駄にならないように同時に作業できる箇所はしっかりと手を入れていきます。
ガソリン漏れの修理の場合ほとんどがタンク脱着作業になります。E36のガソリンタンクは
出来るだけ重量配分が大体50:50になるように設計されています。左側のサクションユニットはメインのポンプ
右側のサクションユニットは常に左右のバランスが一定になるように左側にガソリンを送り込む為のユニットになります。
今回交換したホース類。どうしてもゴムパーツは使用劣化と経年劣化により交換が必要になるパーツですが
一度手を入れてあげることにより、特別なことが無い限り4~5年は安全に乗ることが出来ます。
漏れていない状態でも劣化状況を確認し、交換が必要なレベルの劣化であれば私達は必ず交換をおすすめしています。
サクションユニットのOリングの劣化によってもガソリンは漏れますから同時に交換致しました。
サクションユニットの機能点検をし、正常に機能しているかを確認し組み付け致します。
Mシリーズはスタンダードモデルよりも燃圧値が高いのでシビアになりすぎても悪くはないでしょう。
併せてフューエルフィルターの交換。取り外し後付いていたフィルターを上下に振ると
ガソリンと共に細かい砂のような汚れがいつまでも出てくるような状態です。
こちらも定期的に交換することによりサクションユニットの負荷を減らせますし、
フューエルフィルターの先にあるインジェクターの保護にもつながります。
フューエルライン、インジェクター、燃焼室の洗浄を実施し、汚れの除去だけではなく
M3本来のエンジンレスポンスとアクセルのツキの良さを取り戻します。
最後にプラグを交換し作業は終了です。プラグも異常燃焼は認められませんでしたが
消耗品になります。定期的なチェックにより車本来の性能を発揮しているかどうかの目安にもなります。
レスポンスの良さを体感できる車であればあるほど拘りたい部分です。
最後にテストランを実施し、異常なハンチングの解消とそれに伴うレスポンスアップを確認し
納車時に今後の課題をお客様と打ち合わせさせて頂き納車致しました。
先日、新型3シリーズクーペに乗ってみました。ツインターボモデルですが
イタ車のドカンと過給がかかるような乗り味ではなく、トルクフルでドイツ車らしい上品な味付けでしたが
高速クルージングでググッとアクセルを踏み込むとまた違ったフィーリングを感じさせてくれそうな車輌でした。
2007年08月08日