第2回 ATFに関するインプレッション
今回はATFの役割と交換の意味をインプレッションしたいと思います。
オーナーズマニュアルを見てもエンジンオイル、ブレーキオイル、パワーステアリングオイルに関しては記載されて いますが
ATFに関しては記載が無い!ディーラーでは特別指定が無い限りATFの交換を行わない!?
そこで38,000KMのアルピナB3をテスト車輌とし交換の必要性。交換の手順等まとめて見ました。果たして結果は・・・
今回使用したオイルはFUCHS社のATF4000。オイル詳細はコチラから。
それではオイル交換開始です。
リフトを上げてドレンを緩めます。まずオイルパンに溜まったオイルを排出します。
(この状態の時、油温は上がった状態で抜くのが好ましいです。
一番右上の写真ですでに汚れが確認できると思います。)
ちょっと話は変わりますが何故ATFを変えると良いのか、
変えないとどのような不具合が起きるのか。
ご存知の方も居るとは思いますが説明致します。
まず私達がATFをチョイスする時オイルの何をみているか?
それはまず高温になっても粘度の落ちないATF!これが第一条件です。
やはり馬力のある車=速い車は熱をもちやすく熱ダレしまいがちです。
熱ダレせず潤滑性、消泡性を保ち尚且つオイルの性質を損なわないATFをチョイスする。
これが一番重要な事だと思います。
何故なら基本的にATFの交換は一番サイクル(2万KMまたは2年まで)が長いからですね。
サイクルの長いオイルを交換するのですから良いオイル。
きっちりとした手順で交換した方が良いと私達は考えています。
ではATFを交換しないとどうなるか?
1.シフトショックの増加。
2.Dレンジ時のアイドリングのブルつき。
3.アクセルレスポンスの低下。
4.シフトダウン機能の低下。等等です。
ATというハードの部位はこれらの症状が出たときには
もう手遅れというケースも珍しくありません。オートファインではオイルのみの無料点検も
実施しております。 お気軽にお問い合わせ下さい。
エンジンオイル同様、時間をかけオイルを排出します。
オイルパンに溜まったオイルですが非常に汚いですね。
赤茶に見えるのは酸化した状態になっており、オイルとしての役割は正直なされていない状態です。
ATエレメントも表裏ともに鉄粉がビッシリこびり付いており、
オイルパン底部についいている磁石にもヘドロのような鉄粉が付着しています。
この状態が長く続くとバルブボディ内に鉄粉の塊が入り込みATの不具合が出ることもあります。
逆の手順でATエレメント、オイルパンを組み付けしいよいよオイルの注入です。
排出量は約8L(車種により若干違いはあります)排出した同量を時間をかけ
AT内に注入しなくてはいけません。
では何故時間がかかるか?オイルパンにATFを注入しつつエンジンをかけ、
温度管理をしながらATFを注入する作業を何回も繰り返します。
ある一定以上の温度になってしまうとATFの注入が出来なくなってしまう為、
常にATチェンジャーとDMEテスターの二つをにらめっこしている状態で、
注入作業が続きます。(2時間~3時間)
最後にテストランを何度か繰り返し、油面の調整をします。
これを怠るとフォーミングといって内部のATFが泡立つ現象を引き起こしたり、
エアハンマー状態になる可能性があり、一部のところが潤滑不足になることもありますし、
正確な油圧が発生しない可能性も生まれます。
さらに攪拌されて油温の上昇をアシストすることにもなります。
また、ATFが少ないとクラッチがスリップしたりする可能性があります。
交換方法ですが全量交換、機械圧送、循環排出でATFを入れ替える方法があります。
オートファインでは全量交換式のみを実施しております。
圧送式ですと細かなゴミが排出されないばかりか詰まってしまい、
それが原因でATすべり等の故障につながるからです。
それは距離の走っている車ばかりが当てはまるとは限りません。
何故なら新車からある程度の距離までは相当量のスラッジが発生するからです。
余談ですが上段右上の写真が新油のオイル色になります。
さて交換後の走りですが、やりシフトアップ、ダウン共にスムーズになり
低速、高速共に安定した走行をしており
テスターになっていただいたお客様もビックリしているようです。
ATF交換に関してのお問い合わせはお気軽にTELもしくはメールにて!!
*6万KM以上距離の走ってしまっている車に関してもお気軽にご相談下さい。
2007年06月20日