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MAINTENANCE REPORT

【E36 M3C Limousine】クラッチ・フライホイール交換【110,000km】

DSC05652_R今回は初めて御来店頂きましたオーナーのM3C Limousineが
ある一定のシフトでのチェンジが困難との事で入庫致しました。
走行距離は110,000kmになります。
ちなみにこちらの車輌は日本へは正規輸入されなかったモデルで非常に珍しく並行輸入車になります。
リムジンというと日本ではホイルベースを長くした胴長の大きな車を想像致しますが、
ドイツではセダンボディの車をリムジンと呼んでいます。
日本ではリムジンを乗っていると聞いただけで驚きますよね。
では早速作業へ入ります。
DSC05655_Rあたたまるとシフトが入りづらい症状の原因は、ほぼクラッチに問題が出ている事がほとんどなので
ミッションを降ろし実際にクラッチの状態を目視する必要があります。DSC05657_Rクラッチだけではなく、シフトリンゲージブッシュなども交換が必要そうです。
二度手間にならないように一度に交換してしまった方が良いでしょう。DSC05658_Rミッションを降ろす為にはマフラー、遮熱版、プロペラシャフトと外していかなければなりません。
これらの作業を終え、ミッションを降ろしましたのでこれから分解をして各部に問題が出ていないか慎重に確認致します。DSC05661_Rインプットシャフトのスプラインが錆びていました。
このままでは、レリーズベアリングの動きも悪くなりますので
錆を落とし、しっかりとグリスアップする事が大切です。DSC05664_Rクラッチを取り外して点検確認していきます。
クラッチカバーとクラッチディスクを外してフライホイールを確認致しましたが
外観を見ただけでもかなりダメージがありそうですね。DSC05666_R拡大するとこんな感じでした。
高熱による焼き付きや、あちこちに傷が入り摩耗も激しいですね。
のちほどダイアルゲージで歪み測定を実施します。DSC05667_R取り外したクラッチディスク、クラッチカバーも状態を確認致します。
経年・走行距離での消耗は見るからにありそうです。
DSC05668_Rクラッチディスク、クラッチカバーを新しいパーツへ交換と致します。DSC05669_Rレリーズベアリングもクラッチ操作には重要なパーツですので同時に交換致します。
DSC05673_Rフライホイールに歪みが出ていないかダイヤルゲージで測定、規定値以上の歪みが出ているので
オーナーと相談し、新品に交換致します。
DSC05714_R取り外したパーツと新しいパーツです。
ブッシュ・ブッシュベアリング・カラーの3点を交換致します。
交換後はM3らしいカッチリとしたシフトチェンジをお楽しみ頂けると思います。DSC05718_R若干のオイル滲みもみられ経年劣化も考慮しミッション側のオイルシールも取り外して新しいパーツへ交換致します。
DSC05720_R取り外したオイルシールと新しいパーツです。DSC05721_R新しいオイルシールを装着致しました。
総合的な処置をする事で更なる二次被害を減らしメンテナンスコストを抑える事が大切です。DSC05722_Rインプットシャフトのスプラインに出ていた錆を綺麗に落とします。DSC05724_Rボールピンもダメージがありましたので新しいパーツへ交換致します。DSC05726_Rグリスアップをして錆や摩耗からスプラインを守ります。DSC05728_R取り外したクラッチディスクと新しいパーツです。
摩耗具合がお判り頂けると思います。DSC05729_R拡大すると更に摩耗具合が判りますね。
摩耗が酷くなるとクラッチが滑るばかりか、クラッチディスクのリベットが露出して
クラッチホイールやクラッチカバーにダメージを与えますので早期な対応が必要です。DSC05731_R取り外したレリーズベアリングと新しいパーツです。
レリーズベアリングに損傷や磨耗、グリス切れ等の異常があるとクラッチ操作の際に異音を発生させます。
DSC05732_R新しいレリーズベアリングを装着致しました。
この後、ここへ交換した新しいクラッチのパーツを取り付けていきます。DSC05734_R取り外したクラッチカバーと新しいパーツです。
使用していれば必ず摩耗するパーツですので、いずれは交換しなければなりません。
しかし、気軽に点検出来る場所ではありませんのでクラッチのキレの違和感や異音等が発生した場合は
そのまま乗り続けず、症状が酷くなる前に専門医のいる工場へ御相談下さいませ。DSC05735_R新しいフライホーイールを装着致します。
フライホイールを装着するボルトも新しい物を使用し基準値のトルクで締め付けますDSC05738_Rクラッチディスク、クラッチカバーを装着してクラッチの交換作業は終了です。
最終的にテストランをして今回の作業の効果を確かめます。DSC05740_R取り外したマフラーを再び装着する際に同時にガスケットを新しいパーツへ交換致しました。
古いガスケットを再利用をしている方がいますが、ガスケットは装着の際に密着性を高める為、
潰れる事で効果を発揮していますので一度潰れてしまっているガスケットを装着しても効果は非常に薄いばかりか、
排気漏れ等の不調で結局交換する事になってしまいます。
コスト的にも安価なパーツですので必ず新しい物へ交換致します。DSC05756_R全ての作業が終了後、最後に乗り手を替えながらテストランを繰り返して違和感や不具合が出ていないか確認致します。
スムーズなシフトチェンジを取り戻しM3らしい走行をする事を確認する事が出来ましたのでオーナーの元へ納車となりました。

今回の記事の様にクラッチに関するパーツ等、車には数多くの消耗品が使用されております。
直ぐに消耗してしまうパーツではありませんが、走行距離や走行方法、経年劣化も考慮しつつ点検交換をする事で
常に快適に安全に走行が楽しめますので、不具合が出る前に定期的な点検は必要だと思います。
大切な愛車を長く快適に楽しむ為には必要な事ですね。
今回の記事で気になる事等がございましたら、お気軽に当社までお問合せ下さいませ。

2016年01月06日