MENU

MAINTENANCE REPORT

【BMW 2002】24ヶ月法定点検&車検整備【E10】

本日のメンテナンスレポートは2002の24ヶ月法定点検と車検整備をお送り致します。
フルレストアはされておりませんが、グッドコンディションの車輛でキビキビと良く走ってくれる2002ですが
若干のオイル漏れやベルトの消耗などが見られるようです。
今回はそういった点などを改善し、車検を取得していきましょう。
エンジンオイル交換。
エンジンオイル交換の前にフラッシング剤を注入して内部で発生したスラッジやカーボンの汚れを落としています。
特に経年車はオーナーが何人も代わっていると、どの様に使用されて来たかが判らないケースが多く、
メンテナンスについても点検・整備履歴が無ければ状態を把握するのは非常に困難です。
当社で使用しているフラッシング剤はエンジン内部に素早く浸透して汚れを落とし、
洗浄時の摩擦を抑え保護被膜を形成する事で落とした汚れの再付着を防止し、
新しいオイルの再汚染を防ぐ効果が期待出来ます。
オイル交換前のエンジンにフラッシング剤を注入し10分~15分程アイドリングを行い
エンジン内部へ浸透させて汚れを落とします。フラッシング剤の効果で落とされた汚れと共にエンジンオイルを排出。
エンジン内部に出来るだけ古いオイルを残さない様に時間を掛けて排出する事が大切ですね。
排出した古いオイルはそのまま処分するのではなく、金属片等が含まれて無いか必ず確認し、
エンジン内部の状態を探ります。
シリンダーヘッドガスケット抜けなどのトラブルが無くても
エンジンオイル交換時に白く濁ったオイルが排出される事があるのですが、
冬場にチョイ乗りや短距離の走行を繰り返す車輌に多く、結露等で水分を多く含み
乳化してエンジンオイルの性能を著しく低下させてしまっている車もたまに見ますので
クラシックモデルにお乗りの方は、距離が伸びなくともこまめにチェックし、
定期的なオイル交換を心掛けた方が良いでしょう。
新旧のオイルエレメント。
排出を終えたら規定量のエンジンオイルを注入してオイル交換が完了。
走行距離が3,000km~5,000km、もしくは半年経過するかどちらか早い方で交換して下さい。ミッションオイルの交換。
エンジンオイル同様にミッションにも内部でスラッジが発生する等で劣化が進む為、定期的な交換が必要です。
ミッションオイルが劣化した状態で無理なギアチェンジを繰り返すとギアの破損に繋がる為、
シフトレバーの入りが固かったりする等、シフトフィーリングが悪いと感じたら早めにチェックし
適宜対応していくようにしましょう。
ドレンボルトは新しくシールテープを巻き直してミッションオイルの漏れを防止します。
良くある事なのでお伝えしておきますが
シールテープは閉める方向と逆に巻いてしまうと全く意味が無いので注意しましょう・・・規定量のミッションオイルを注入してミッションオイルの交換が完了。ファンベルト・オルタネーターベルトの交換。Vベルトの状態を確認すると御覧の様に劣化してヒビ割れて交換が必要な状態でした。
クラシックモデルではプーリーの錆などの発生によって、ベルトの両端が大きく削られ
ベルト自体の消耗が早くなる事もある為、あまりにも消耗が早いと感じたらプーリーの状態を確認して
錆が多いようであれば、取り外しブラスト処理後に再塗装してあげると良いでしょう。
フューエルポンプガスケットからエンジンオイル漏れ。
ガスケットを交換します。
ガスケット取付面をオイルストーンで平滑にし、新しくガスケットを取り付けます。新旧のフューエルポンプのガスケット。
劣化が進行すると柔軟性が無くなる事で密着性が薄れてオイル漏れを発生させるので
定期的な点検と交換が必要です。
カムカバーガスケットの交換。
エンジンオイル漏れとして定番の症状で、
カムカバーガスケットが劣化する事でエンジンオイルが浸み出してしまいます。
オイル漏れを放置しているとエンジンルームが汚れるばかりでなく、漏れる量は必ず多くなり被害は拡大するので
発見次第、適切な処置を施した方が良いでしょう。カムカバーを外して内部の状態に異常が無いか確認し、
装着面に残った液体ガスケット等をオイルストーンで綺麗に整えておきます。新旧のカムカバーガスケット。
ガスケットは自身が潰れる事で密着性を高めて漏れを防止しているので、一度使用したガスケットは
どんなに綺麗な状態でも再使用は出来ません。
漏れやすい箇所には液体ガスケットを併用しながら慎重にカムカバーを装着して交換が完了。排気ガス調整。キャブレターなので普段は少々ガスが濃い目のセッティングです。
車検に通る数値に調整し、車検に臨みます。
ただし、経年車はパーツの劣化が原因で調整をしても基準値の状態を維持出来ないケースがあるので
数値だけを合わせるのではなく、テストランを繰り返し車輌の状態に問題は無いか確認をしながら
調整を行う事が大切です。車検に備えて下廻りをスチーム洗浄で綺麗にしておきます。最後にテストランを行って各箇所に問題が無ければ最寄りの陸運局へ車輌を持ち込んで車検を取得。無事車検を取得して作業が完了。
2002はパワーこそ今の車輌に劣りますがレトロな雰囲気と心地良いエンジンの音色等、
ノスタルジックな印象は今のモデルには無い魅力になりますね。
帰路の走行では50年前のモデルという事を忘れる程に快適な走行を楽しめました。車検証・24ヶ月定期点検記録・車検ステッカー・定期点検ステッカー等をオーナーへ渡して納車となります。
今回は2002の点検整備を行ったのですが、近年徐々に旧車の需要が高まってレストアを行ったり
程度の良い状態を維持しながらオリジナルコンディションで旧車を楽しむ方が増えて来ています。
車種にもよりますが、2002等は現代の車輌の様にコンピューターで制御されている訳では無いので、
各パーツの不具合や劣化等はオーナー自身が判断して対応しなければなりません。
油脂系の交換だけでなく消耗品の点検等、定期的なメンテナンスが重要で手間が掛かると思われがちなのですが、
日頃の簡単なメンテナンスと年1回の法定点検を行っていれば、それ程大きなトラブルは発生しないと思います。
しかし、消耗パーツの劣化は避けられないので主治医と相談しながら、
長期的なメンテナンスプランを立てて対応していくと良いでしょう。

2018年04月27日