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MAINTENANCE REPORT

【ALPINA Roadster 3.4S】24ヶ月法定点検&車検整備【8,500Km】

本日2本目です。
雪が降らなくてホッと一安心!
何て言っていたところ、17時現在シンシンと雪が舞い降りてきました・・・

今回のメンテナンスレポートはALPINA Roadster 3.4Sの24ヶ月法定点検と車検整備です。走行距離は8,500Km。
ALPINA RoadsterはBMW Z4をベースに2004年~2006年の僅か2年間で367台が生産され、
その中の38台のみが正規輸入されたという希少車ですね。
今回は基本的な油脂の交換と10年以上が経過しているモデルなので各部の状態を確認しながら作業を進めます。テストラン後にボンネットを開けると、
微妙に甘ったるいクーラント臭がするので、
エキスパンションタンクから圧力をかけて冷却経路に水漏れが無いか確認します。
経年劣化によりホースの接続部やウォーターポンプ、エキスパンションタンクのようなプラスチック部品に
クラックが入る等で、水漏れを発生させる事が多く走行距離が少なくとも各パーツの状態には注意が必要です。下廻りの点検を行うとラジエタードレンプラグ周りに冷却水漏れを発見。
冷却経路は樹脂製のパーツが多く使用されており、経年劣化で内部のガスケットが潰れてしまったり
パーツ自体の油分が抜けて固くなる事で柔軟性が無くなって、エンジンの熱や振動等で一気にクラックが入って
冷却水が噴き出してしまうトラブルを発生させる事があるので、定期点検の際にはそういった点もよく確認し
ウィークポイントのひとつでもある水廻り部品は経年を考慮して交換しておいた方が良いケースもありますね。エンジンオイル交換。
交換の前にエンジンのフラッシングを実施。
使用しているフラッシング剤は【wynn’s OIL SYSTEM CLEANER】
当社のエンジンオイル交換のメニューにはエンジンフラッシングも含まれており、
フラッシングを行う事でエンジン内部で発生したスラッジやカーボンを排出しやすくします。
エンジン内部ではどうしてもスラッジやカーボンが発生してしまうので定期的にオイル交換が必要になるのですが、
定期的な交換を怠っていると通常のオイル交換では排出されない汚れが徐々に堆積してしまう事で
エンジンに悪影響を及ぼすのでフラッシングを行ってエンジン内部をクリーンな状態に保つ事が必要です。
古いオイルを排出する前にフラッシング剤を一缶を注入。
汚れに素早く浸透し、洗浄時の摩擦を抑えるだけでなく再付着防止効果により
一度落した汚れの再付着を防ぐ事で新しいエンジンオイルの再汚染を防ぎます。10分から15分程アイドリングを行ってからスラッジ汚れと共に一気にオイルを排出。
排出には出来るだけ時間を掛けて内部に古いオイルを残さない様にしずくが垂れなくなるまで行い、
廃油はそのまま処分するのではなく、異常な汚れや金属片等が含まれて無いかを確認しエンジン内部の状態を探ります。新旧のドレンボルトワッシャ。
ドレンボルトワッシャは自身が潰れる事で密着度を高めているので再使用は出来ません。
見た目に変化は無くても脱着する際は必ず交換が必要です。新旧のオイルエレメント。オイルエレメントケースのOリングも新品へ交換。
エンジン内部をクリーンな状態に保ち、新しいオイルの効果を最大限に発揮させる為にも
エンジンオイル交換の際にはフラッシングを行って同時にオイルエレメントの交換をおすすめしています。
新品のオイルエレメントを装着し、新しいオイルを規定量注入してエンジンオイル交換が完了。
ミッションオイル交換。
交換の前にはフラッシング剤を注入し内部で発生したスラッジを排出させやすくします。ミッションオイルは粘度が高い為、排出は必ず温めた状態で行わないと排出に時間が掛かるだけでなく
スラッジが上手く排出されません。
フラッシング剤を注入してから15分から20分程テストランを行ってオイルを温めると同時に
内部にフラッシング剤を浸透させて汚れを落します。
排出の際はエンジンオイルと同様に時間を掛けてしずくが垂れなくなるまで行います。ドレンボルトはガスケットと一体になっているタイプなのでフィラー・ドレン共に交換。ドレンボルトを装着し、規定量のミッションオイルを注入してミッションオイル交換が完了。デフオイル交換。
こちらも交換の前にフラッシング剤を注入して
デファレンシャル内部で発生したスラッジを除去・排出しやすくしておきます。こちらも粘度が高いので油温を上げた状態で作業を行いスラッジを排出させます。
デファレンシャル内はギアが噛合う事でスラッジが発生するのですが、交換を怠ると内部で発生したスラッジが
研磨剤の様になってギアを傷付けたり、最悪の場合ギア欠けを発生させるケースもあるので
スポーツモデルやスポーツ走行をする方は早目の交換を心掛け、定期的なチェックと交換をおすすめしています。
こちらもしずくが垂れなくなるまで排出を行い、規定量のデフオイルを注入しデフオイルの交換が完了。ブレーキフルードの交換。
吸湿性が高く劣化が進行すると透明から徐々に紅茶色に変化して黒味が増していくので、
リザーブタンク内のブレーキフルードを確認して紅茶色に変化していたら交換が必要です。
通常定期点検の際に交換していると思いますが、渋滞地区や山道・峠道を多く走行する方や
スポーツ走行をする方等はブレーキを酷使している為、通常よりも劣化が進行するので交換時期には注意が必要です。
短距離や近所への買い物等でたまにしか乗らない方も注意が必要で、
走行が少なくても劣化は進行していくので、定期点検の際には必ず交換を行って下さい。
新しいフルードを圧送し、古いフルードと共に内部で発生した錆や水垢等を車外へ排出させます。
交換の際にはブレーキブースターやマスターシリンダーからフルード漏れ等が無いか確認しておきます。
排出したフルードに異常な汚れや錆等が含まれてないか確認し、異常があれば原因を突き止める為
ブレーキシステム全体の大掛かりな作業が必要になります。
ブレーキの異常は自分の命だけでなく、他人までを巻き込む事故に繋がってしまう事があるので
安易に考えずにしっかりとメンテナンスを行って下さい。クラッチフルードの交換。
吸湿が進行するとレリーズシリンダー内に錆を誘発して
フルード漏れを発生させるとクラッチ操作が出来なくなってしまう為
ブレーキフルード同様に劣化には注意が必要です。
交換後のブレーキフルード。
ご自身でもブレーキのリザーブタンク内の色味の変化で劣化具合を確認する事が可能なので
劣化が気になる方は確認しておくと良いでしょう。
冷却水漏れを発生させていたドレンプラグスクリュー・ラジエタードレンプラグを新品へ交換。同時に水温センサーを新品に交換。
センサー系は外見に異常は無くても定期的に確認を行って
トラブルが発生する前に経年などを考慮して事前に交換しておく事が大切です。
センサーを装着し交換作業が完了。冷却水の交換。
専用の機械を使用してフラッシング剤を注入し冷却経路内で発生した水垢や錆等の汚れを浮かせて
古い冷却水と共に車外へ圧送させます。
スパークプラグの点検と交換。
取り外して電極の焼け具合や消耗状態を確認し交換時期だと判断しました。新旧のスパークプラグ。
フューエルフィルターの交換。
インタンクタイプなので通常の円筒型と比べて簡単に交換する事は出来ず、
アクセスする為にアンダーカバー、マフラーマウント、マフラー等の排気システムを取り外す手間が掛かり、
本体を外す際もSSTが必要です。
ハーネスなどに注意しながらフューエルフィルターを外します。
フューエルフィルターは交換時期は乗られているモデルや走行環境の違いにも影響されます。
今回のタイプもそうですが、円筒タイプのフィルターもフィルターを直接目視出来るわけでは無いので
交換履歴が残っていない場合は、転ばぬ先の杖ではありませんが経年や走行距離を考えた上で
交換を実施した方が良いかと思います。
新旧のフューエルフィルター兼プレッシャーレギュレータユニット。
ハーネスなど注意しながら新しいフューエルフィルターを車体へ装着し交換作業が完了。4輪ホイールアライメントの測定と調整を行います。
ホイールアライメントは足廻りパーツの脱着や車高の変更、タイヤサイズやホイールのインチアップ、
事故を起こした際や激しく縁石を乗り越えたりすると数値が変わってしまう為、再調整が必要・・・
という認識が浸透していますが
長期にアライメント調整を行っていない車輌もブッシュの消耗などによって数値が変化してしまうので
そういった点を考慮して再調整が必要になります。
ALPINAやM3等のスポーツモデルではアライメントのほんの僅かなズレだけでステアリングを握った際の
フィーリングに違和感を感じてしまう事も多い為、長期に調整を行っていない方は再調整を検討してみる事も大切です。
4輪ホイールアライメント調整は同じ車種でも各部の消耗やタイヤの摩耗の違いで数値は変わってしまうので
同じ車種の数値や以前計測した数値で調整を行っても適正な調整は出来ません。
調整は非常にシビアなのでメーカーの基準値を元に何度もテストランを繰り返しながら、
車種の特性を知り尽くした経験豊富なスタッフが最適な数値を導き出していきます。全ての作業を終えたら最終のテストランを行って修理箇所やその他に異常や違和感が無いか確認し、
特に問題が無ければ最寄りの陸運支局へ車輌を持ち込んで車検を取得します。
小気味良く入るシフトに応えて伸び上がる心地良いエンジン音とクイックなハンドリング、
3.4Sモデル独特の加速感は運転する楽しさを感じさせる納得の仕上がりに満足のいく走行を楽しめました。
車検証、定期点検記録簿、車検ステッカー、定期点検ステッカー、
4輪ホイールアライメント調整データをオーナーへお渡しし、納車となりました。
様々な国の珍しい車を楽しんでいるオーナーなので来年には、ようやく10,000Kmに届くかな・・・?
といったところでしょうか。またのご来店お待ちしております。

2019年02月09日