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MAINTENANCE REPORT

【ALPINA B3S】冷却水漏れ修理・フロントタイロッドブーツ交換【87,000Km】

本日のメンテナンスレポートはALPINA B3Sの冷却水漏れ修理とフロントタイロッドブーツの交換です。
走行距離は87,000Km。
前期型のB3Sクーペはなかなか珍しいですね。今まで数台しか見たことがありません。
今回の車輌は無料点検にてご来店。
ボンネットを開けた瞬間にLLCの甘い匂いが漂った為、冷却水漏れの疑いがある事をお伝えしお預かりとなりました。
漏れている箇所を特定する為、一定の圧力を掛けて冷却経路からの漏れが無いかを確認していきます。
圧力を掛けると直ぐにエキスパンションタンク横の亀裂から勢いよく冷却水が噴き出してきました。
どのタイミングで亀裂が入っていたのか判りませんが、
このタイプのエキスパンションタンクでは定番ともいえるトラブルのひとつでしょうか。
一気に冷却水が噴き出す事も多いので注意が必要です。
現在も同症状で入庫しているB3Sが一台ありますので
経年や走行距離を考慮してトラブルが発生する前に事前に交換する等の対応が必要な箇所かも知れませんね。
走行距離・経年を考慮しウォーターポンプやサーモスタットなども同時に交換していきます。
こちらも漏れ出すと一気に噴き出す事があるので要注意。ウォーターポンプを取り外し、オイルストーンで装着面に残ったガスケット跡を落として表面を綺麗に整えておきます。新旧のウォーターポンプ。
新旧のサーモスタット。
こちらのパーツも消耗品としてウォーターポンプと同時交換。新旧のプラットフォームマウント。
エキスパンションタンクを取り付けるベースとなるパーツなのですが、こちらも割れやすいので
他のパーツと同様にセットで交換します。
ATモデルのみに装着されているATFヒートエクスチェンジャー。
ホースの接続部に使用されているOリングを交換。
新旧のATFヒートエクスチェンジャーOリング。
新旧のクーラントレベルセンサー。
センサー系のパーツは通常の使用でも経年を重ねると故障する事がある為、
警告灯が誤作動で点灯したり、トラブルが発生しているのにセンサーが反応しないケース等もあるので
定期的に点検を行い経年を考慮して交換が必要です。新旧のエキスパンションタンク。
樹脂製の為、経年で油分が抜けて固くなってしまうだけでなく
エンジンの熱や振動によってもダメージを受けて劣化が進行するのですが、
使用方法や使用環境の違いでもトラブルの発生率は変わってしまう為、
定期点検時に経年や状態を判断して交換を行います。
新旧のラジエターキャップ。
ラジエターキャップは単なる蓋の役割だけでなく、密閉弁・加圧弁・負圧弁の3つの弁の役割を担っています。
密閉弁は冷却水を漏れを防止する蓋の役割、加圧弁は冷却水の圧力を制御する事で
沸点を高めてオーバーヒートを防止し、加圧の影響でラジエターや冷却経路が損傷しない様に
リザーブタンクへ圧力を逃がす等の加圧調整の役割、負圧弁は冷却水が冷えた際にラジエター内の圧力が低下し、
負圧になってしまうとラジエターが損傷する危険性が高くなってしまうので
負圧弁が開いてリザーブタンクから冷却水を戻す事で負圧調整をする役割を担っているのですが、
経年劣化により適正に圧力の調整が出来なくなる事で、冷却水が沸騰しやすくなってオーバーヒートを発生させたり
冷却水の急激な温度上昇や減り方にも変化が出て来るので、消耗品として定期的な交換が必要です。
ラジエターキャップの周りに白く跡が残っていれば冷却水が漏れた跡なので、
放置をせずに早急に対処する事が大切です。
新旧のラジエターアッパーホース。
圧力の掛かる箇所なので劣化が進むとジョイント部が破損して水漏れする事が多く、
他のパーツの劣化と同様にトラブルが発生する前に交換してしまった方が安心です。新旧のラジエターロアホース。
アッパーホースと同様にジョイント部分の劣化を考慮して同時に交換を行います。
冷却経路のパーツの交換を終えたら専用の機械を使用して冷却経路のフラッシングを行い、
内部で発生した水垢や錆等の汚れを浮かせて古い冷却水と共に車外へ圧送させます。
フラッシングを終えたら規定量の新しい冷却水を注入しエア抜きを行って冷却水の交換が完了。
下廻りを点検しているとステアリングラックブーツが破損しているのを発見。
ステアリングラックブーツはステアリングを操作する際に伸縮してステアリングギアボックスや
内部のタイロッドのボールジョイント等にゴミや塵、砂埃等が侵入、付着するのを防いでいるのですが、
ブーツの破損に気付かずにいると内部のボールジョイントに異物が付着する事でガタつきを発生させ
ラックやギアボックスにもダメージを与えてパワステオイル漏れを発生させるので状態の変化には注意が必要です。画像では判り難いですが、左右共にブーツの中央部が破損してブーツとして機能していない状態でした。新旧のステアリングラックブーツ。
ゴミや塵、砂埃等が侵入する事でトラブルが発生してしまうと、
ステアリングギアボックスのオーバーホール等が必要になる事もありますので、
ブーツにダメージが出る前にある程度の経年を見極めて交換しておく事が大切です。ギアボックスや内部のボールジョイントの状態を確認し、
特に問題が無ければ左右共にステアリングラックブーツを交換して作業が完了です。全ての作業を終えたら最終のテストランで修理箇所やその他に問題が無いか確認を行って
オーナーに修理箇所や今後のメンテンナンスの注意点等をお話しして納車となりました。

2019年04月16日