【ALPINA B12 5.7】A/Cエバポレーター交換修理【E38】
2020年、一回目のレポートになります。
年明けからパタパタと変わらずの忙しさで、お時間頂いてしまっている車も多いですが
一台一台、丁寧な仕事を心掛けやっていきますので、本年も宜しくお願い致します。
今回のメンテナンスレポートはALPINA B12 5.7のA/Cエバポレーター交換です。
今回の車輌はエアコンシステムに問題を抱えており、冷媒ガス注入直後は冷風も出て快調に効いているようなのですが
しばらくすると冷風が出なくなるとの事で、
何処からかのスローリークによる冷媒ガス漏れの疑いがあり入庫となりました。
エンジンルーム内のエアコンシステムに漏れ跡は無しだったので、
残るは室内側エバポレーターが疑わしいとの事で早速交換していきましょう。
エバポレーター取り外しにはダッシュボードなど取り外す必要があります。
BMWの旗艦車輛である7シリーズなので、かなり手間のかかる作業ではありますが早速始めていきましょう。
こういった作業の前には必ず取り外す前に各部の動きをチェック。
メーターはもちろん、各操作パネルやエアコンの風向調節の為のステッピングモーターなど
組み上げてから、動かない・・・などという事が無いようにしっかりとチェックし
動かない・動きが悪い等があれば同時に交換していきます。
助手席のダッシュボードカバーやグローブボックス等から取り外していきましょう。
エバポレーターはA/C・ヒーターユニット一体のボックス内に収められているので
ボックス毎車外に引っ張り出す必要があります。経年車の場合、各プラスチック部品なども
硬化し、少し触っただけで砕けてしまう事もある為、そういった点も事前に把握しながら
作業を進めれば、想定外の問題にぶつかる事も無いでしょう。
エアバックシステムやステアリングを取り外します。
センターエアグリルや両サイドのエアグリルを外したらダッシュボード全体を取り外します。
ダッシュボードが外れました。各配線に気を付けつつ、防音材などの状態を見ながら
作業を進めて行きます。各部にスポンジ素材を使用している事も多く、
経年でスポンジ自体が崩れているような箇所は必ず、防音材の貼り替えをしないと
軋み音などの発生原因になりますので、そういった部分をどう処理するかが大事な作業になりますね。
AC操作パネル、ドリンクホルダー等を外します。
エアコンユニットが見えて来ましたが、まだこの状態では取り外す事は出来ません…
更に作業を進めます。
配線に注意しながらセンターコンソールを外します。
エアコンユニットを取り出す前に接続されている各コネクターを外しておきます。
ここまでの作業でやっと車外に取り出せる状態になったので
エンジンルーム側のヒーター・冷媒ライン切り離し、室内側の配線に注意しながらエアコンユニットを外します。
エアコンユニットを取り出した状態。
ユニットで見えなかった箇所も問題が無いかどうか各部を確認しておきます。
取り外したエアコンユニット。
ここからボックスを分解しエバポレーターを交換していきます。
ヒーターコアの汚れやパイプの詰まり具合等、状態を確認。
ヒーターコアは綺麗だったので今回は交換は無しでしたが、ここから10年以上乗ると言ったような場合は
同時に交換しても良いかも知れませんね。
ユニットボックスからエバポレーターを取り外します。
新旧のエバポレーター。
パッと見では漏れ箇所の確認は出来ませんが、
ブラックライトに反応する蓄光剤が反応していたので、やはり漏れていたようです。
新旧のエクスパンションバルブ。
機能はしていましたが、お手軽作業では無いので同時に交換が望ましいです。
新しいエクスパンションバルブを装着。
エクスパンションバルブはコンプレッサーで圧縮し液化したエアコンガスを
エバポレーター内に霧状に噴射して気化させる事で急速に冷却させているのですが、
噴き出し口は非常に小さく、コンプレッサー等で発生したスラッジがエアコンガスに含まれる影響で、
目詰まりしてしまうと不具合を発生させる為、今回のような作業の場合
エバポレーターと同時に交換した方が良いですね。
新旧のヒーターコアに繋がるパイプのシールリング。
エアコンシステムだけではありませんが、こういったシールやOリングは絶対に再使用は不可です。
元通りに組み直し車内側の作業は完了。
新旧のサービスバルブ。こちらも同時に交換。
新品のインテークインサートバルブを装着。
新品のプレッシャーインサートバルブを装着。
冷却水を交換し水廻りの確認を行い、エアコンラインも真空引きした後にガスチャージを行います。
エアコンを操作し冷暖房共に正常に作動しているか動作確認を行います。
マニホールドゲージを使用してエアコンガスが適正な値になっているか確認するのですが外気温により
適正な数値は変わってしまうので注意が必要です。
低圧側を計測。
高圧側を計測。
外気温に対してどの程度冷却されているか確認。
これだけ冷えていれば合格ですね。実際にテストランをしダッシュボード廻りから異音が出ていないか
各部が機能しているかなどを確認し、作業は完了になります。
なかなか手強い作業ではありましたが、無事作業完了しオーナーの元へ帰っていきました。
2020年01月17日