【E24 M6】24ヶ月法定点検&車検整備【130,000Km】
2021年初めてのレポートアップになります。
本日のメンテナンスレポートはE24 M6の24ヶ月法定点検と車検整備です。走行距離は約130,000Km
今回は基本的な油脂の交換の他にオイル漏れ等のメンテナンスを行っていきましょう。
エンジンオイル交換を行うのですが、作業の前にフラッシングを行って、
エンジン内部で発生したスラッジやカーボンの汚れを出来るだけ落します。
エンジン内部にスラッジやカーボンが堆積してしまうと、再汚染により新しいエンジンオイルの寿命を短くさせたり、
不完全燃焼や潤滑性が失われる事でパワーや燃費を低下させ、エンジンを焼付かせてしまう恐れがある為、
オイルの管理には注意が必要です。
経年や走行距離によりエンジン内部に堆積してしまったスラッジやカーボンは、
通常のオイル交換では排出されにくくなり、酷いケースになってしまうと除去を行う為に
エンジンのオーバーホールが必要になるケースや、オーバーヒート等でエンジンが壊れてしまうケースもある為、
エンジンオイルの交換は思っている以上に重要ですね。
10分~15分程アイドリングを行って、フラッシング剤を浸透させて汚れを落した後に、
古いエンジンオイルと共に一気に排出させるのですが、内部に出来るだけ汚れたオイルを残さない為にも
しずくが垂れなくなるまで時間を掛けて排出を行います。
廃油はそのまま処分するのではなく、
異常な汚れや金属片等が含まれて無いかチェックを行ってエンジン内部の状態を探ります。
下廻りを確認すると漏れたオイルの影響でしっとりと濡れている状態でした。
オイル漏れは主にガスケットやホース類の劣化等で発生する事が多く、
長い間オイル交換を怠っていると、通常よりも早くオイル漏れを発生させる事も多く、
オイル漏れに悩まされている方はパーツの交換だけでなく、オイルの管理を見直す事も大切です。
ブローバイホースに劣化によるクラックを発見。
こういった箇所も交換していきましょう
各ホース類の劣化具合を確認する為、サージタンクを取り外して見えない箇所のホース類のチェックや
同時にスロットルボディやバタフライ等の汚れを確認。
エンジンオイル漏れの修理を行う為カムカバーを取り外し、エンジン内部に異常は無いか状態を確認。
カム山に段付き摩耗等の異常が無いか確認。
取り外したカムカバー。
オイルリターンパイプのガスケット、シールリングを交換。
カムカバープレートのシャフトシールとOリングを交換。
シリンダーヘッドの後部カバープレートのガスケットを交換。
エンジンオイルパンのガスケットの交換。
エンジンハンガーでエンジンを吊り、オイルパンを取り外せるクリアランスを確保して作業を行います。
フロントアクスルキャリアを一旦下げた状態にしてからオイルパンを取り外します。
取り外したオイルパン。
内部に異常な汚れや金属片等が残ってないか汚れ具合や状態を確認。
オイルパンの汚れをスチーム洗浄で綺麗に落としておきます。
オイルパンの洗浄を終えたら、装着面をオイルストーンで綺麗に整えておく事が大切で、
装着面にガスケットの残りやスラッジが付着していたり、
装着面が荒れているとガスケットがしっかりと密着しない事で、
せっかく交換しても短期間でオイル漏れを発生させる為、
新しいガスケットを使用する際は必ず準備を整え、取り付け作業に移行します。
ガスケットの他に液体ガスケットも併用して組み付けしていきます。
特にオイルパンはエンジンを吊ってフロントアクスルキャリアを下げたりとアクセスするのに手間のかかる箇所なので
様々な状況を想定しながらしっかりと施工を行っておく事が大切です。
オイルレベルセンサーの状態を確認し、新しいシールリングへ交換。
新旧のスパークプラグ。
新旧のカムカバーガスケット、プラグホールガスケット。
ガスケットは自身が潰れる事で密着性を高めている為、一度使用したガスケットの再使用は出来ません。
オイルエレメントの交換。
エンジンオイルはエンジンが可動する事で発生する金属粉(スラッジ)や
燃料が燃焼する際に発生するカーボンによって汚れてしまうのですが、
通常はエンジンオイルの清浄効果やオイルエレメントで濾過を行う事で汚れの除去を行っています。
しかし、エンジンオイルの交換を怠ってしまうと清浄効果は失われ、
汚れたオイルを濾過し続けたエレメントはオイル流量を維持する為、
濾過を行わずバイパス機能でオイルを循環させる様になり、更にエンジンに悪影響を及ぼします。
当社では新しいエンジンオイルの性能を発揮させ、オイルの再汚染を防ぐ為にも、
オイル交換毎にエレメントの交換をおすすめしています。
新旧のエアインテークホース一式。
経年を考慮して必ずセットで交換する事が大切です。
新しいエアインテークホースを装着。
ホースクランプは劣化してしまうと緩んだり破損してしまう事がある為、
再利用はせずに必ず新しい物を使用して下さい。
サージタンクのファンネル部のOリングを交換。
新旧のファンネル部のOリング。
このパーツだけではないのですが、吸気系のパーツが劣化してしまうと2次エア吸いの症状を発生させ、
アイドリングが安定しなくなるハンチングを起こしたり、
始動が困難になったり、吹け上がりが悪くなって回転数が上がらなくなり、
高回転域では異常燃焼を起こしてノッキングの症状を発生させる事がある為、走行時の状態の変化には注意が必要です。
新しいOリングを装着。
サージタンクを装着し、新しいエンジンオイルを規定量注入しエンジンオイル交換が完了。
車検に備えて下廻りのオイル汚れ等をスチーム洗浄で綺麗に落としておきます。
オイル漏れによる汚れが目立っていたエンジンルームも綺麗にスチーム洗浄。
新旧のドアトリムクリップ。
助手席側のドアの内装を固定しているドアトリムクリップが、経年劣化で破損してしまい隙間が開いた状態になっていた為、
新しいドアトリムクリップでしっかりと再固定。
浮きも解消され綺麗に仕上がりました。
ドアトリムクリップは内装を取り外す際や経年劣化で破損してしまう事があり、
特に経年モデルは破損しやすくなっている為、作業の際は注意が必要です。
ウィンドウォッシャータンクのキャップが劣化していた為交換を行うのですが、
同時にストレーナー、センサーやポンプのラバースリーブを交換。
新旧のウィンドウォッシャータンクキャップ、ストレーナー、各ラバースリーブ。
ウィンドウォッシャータンクのストレーナーは外部からの不純物の混入を防いでいるパーツなのですが、
汚れが多く付着していたり、経年による破損、
装着されてないケース等もある為、定期的に確認しておくと良いでしょう。
ウィンドウォッシャータンクキャップを取り付けて交換が完了。
バッテリーの状態を確認する為に電圧を計ってみた所、規定値よりも低かった為交換。
新旧のバッテリー。
バッテリーの寿命は主に2年~5年といわれているのですが、車の使用方法にもよっても左右される為、
あまり乗らない方や夜間走行が多い方、近所までしか乗らない(チョイ乗り)をする方は、
バッテリーに大きく負担を掛ける為、バッテリーの交換時期が早くなる傾向です。
近年は様々な機能をコンピューターで制御しているモデルも多く、
電装系のトラブルにより不調になってしまうケースもある為、注意が必要です。
単にバッテリーの交換と思われがちですが、バッテリーを外した影響でデータがリセットされてしまい、
再設定が必要になる事もある為、ご自身で交換をする際は、必ず適合しているバッテリーを使用し、
データの再設定の有無を確認しておく事が大切です。
オイルインスペクションのリセットを行います。
オイルの交換時期はオイルインスペクションのランプの消灯によって、適正な交換時期を知らせており、
基本的にグリーンレベルの1コマ目が消えた時点から交換を意識し、
2コマ目が消えたタイミングで交換を行うと良いでしょう。
オイルインスペクションのリセットが完了。
エンジンの熱の影響や経年でボロボロになってしまったボンネットインシュレーターを交換。
欧州車のインシュレーターはポリウレタン製が多く、高温多湿な日本では経年で加水分解が発生する事で
触るとボロボロと剥がれ落ちてしまいます。
経年モデルのオーナーでしたら、1度は経験している症状なのではないでしょうか?
大きく走行に影響する訳では無い為、
気にならない方は劣化後に全て取り除いてしまっているオーナーも多いのですが、
エンジンが発生する熱の影響でボンネットの塗装が傷んでしまう事を考慮すると、
取り除いてしまう事はおすすめ出来ません。
ボロボロの状態で放置しているケースも注意が必要で、
破損したインシュレーターがエンジンルーム内に落ちてしまうと、
何らかの悪影響を及ぼし2次被害を発生させる恐れがある為、
インシュレーター触ってみてボロボロと加水分解を起こしていたら、放置はせずに早めに交換を行う事が大切です。
ボンネットインシュレーターの交換が完了。
全ての作業を終えたら最終のテストランを行って修理箇所やその他に不具合や違和感が無いか確認し、
特に問題が無ければ最寄りの陸運支局へ車輌を持ち込んで車検を取得します。
後日、オーナーへ車検証、定期点検記録簿、車検ステッカー、定期点検ステッカー等をお渡し納車となりました。
今回の作業は基本的な油脂の交換の他に経年劣化や経年が気になるパーツの交換を行いました。
特にエンジンオイル漏れは交換時期を引き延ばす等でオイル管理が不十分だと発生するケースが多く、
少量のオイル漏れは仕方が無い・・・と放置してしまうと、
被害が徐々に拡大する事で他のパーツの劣化を早める等の2次被害を発生させてしまう為、
少量でもオイル漏れを発見したら早急に対応しておく事が大切ですね。
2021年01月10日