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2014年05月11日

【E60 530i】ATF漏れ/チェックエンジン点灯/ウォーターポンプ動作不良【63,000Km】

こんにちは。オートファイン@横浜です。

昨日は陽光の下では夏を感じさせる一日でしたね。

本日も天気が良さそうです。

E60 530iが修理にて入庫。

当社でメンテナンスは初めての車輛になります。

症状はと言うと、エンジン警告灯の点灯、それに伴うエンジン不調

ATF漏れ、エンジン警告灯の原因をテスターにてディフェクトしたところ、

ウォーターポンプの動作不具合も判明しました。

よって今回は

ATF漏れ修理

エンジン不調修理

ウォーターポンプ交換修理

以上の3点の修理を実施致します。 

まずはATF漏れ修理からスタート。

このモデルからATオイルパンが、エレメント一体式の樹脂製オイルパンに変更されており

熱変形で漏れが発生するケースが見られます。 

BMW社でオイルパンの樹脂化が開始されて約10年が経過しますので

初期モデルではそろそろ樹脂特有の劣化によってこのような不具合が発生する

確立も高くなりますので注意が必要でしょう。

この頃から電子デバイスによる車輛制御が目立ち、

何となく新しさをいまだに感じる事が多いと思いますが

根本的な車の造りは以前のモデルとほぼ変わりませんので、初期モデルをお乗りの方は

しっかりとメンテナンス計画を立てていく必要があります。

軽微なオイル漏れが発生しても気付きにくいのが

このアンダーカバーになります。

地面に垂れ気付くのが、ある程度の量が漏れてきてからという事になります。

1年に一度はアンダーカバーを取り外し、徹底的に下廻りのチェックをした方が良いでしょう。 

ATFの排出。

ATFの状態を見る限り、今回初めての交換になります。 

最低でも一晩排出時間を設け出来るだけ古いATFを排出していきます。 

ATコネクターのスリーブからのオイル漏れも良く見られるのでセットで交換致します。 

新旧オイルパン。

樹脂製のオイルパンのメリットとして成形のサイクルの高速化、コスト軽減、軽量化、

軽量化による燃費向上などが挙げられますが、

正直メンテナンス時のコスト高の方が目立つような気がしますね・・・

メーカーが作っているものなので、私達にはどうしようも出来ませんが

再利用できるようにしてもらいたいものですね。

新旧をアップで見てみると、どの部分が変形し漏れが出ているのかが良く分かるかと思います。 

ボルトを通す部分にはスリーブが入っているので、そこまで神経質にならなくても大丈夫ですが

過度のトルクをかけてしまうと変形劣化の進行を早めてしまいますので

しっかりとトルクレンチを使用し、メーカーの指定するトルクで均一に固定していきます。 

FUCHS ATF4000を使用。

油面調整を行い、走行に問題が無い事を確認しATF漏れ修理は完了です。 

チェックエンジン点灯に伴うエンジン不調修理。

この警告灯が出た場合は、何かしらの体感出来る不具合が出ていなくても

必ず点検した方がいいですね。 

テスターにて点検したところ、3番シリンダーの失火がエンジン不調と判明したので

早速、イグニッションコイルとプラグをチェック。 

3番のイグニッションコイルは完全に駄目になっており交換。

その他のイグニッションコイルのスパークタイムとピーク電圧も

あまり良い数値を出していなかった為、6気筒全てを交換としました。

このイグニッションコイル交換という作業は単品交換と全交換で意見が分かれる事もありますが

経験上、不具合箇所のみを交換した場合しばらくは大丈夫だけれども

すぐに未交換箇所の不具合が出るというケースが多く見られましたので

スパークタイムとピーク電圧の数値が本当に納得のいく数値でない限り

全交換を強くおすすめしております。 

プラグも当然交換します。 

3番の点火プラグは碍子部分にクラックが確認出来ました。

おそらくは、まず碍子にクラックが入り、絶縁不良による点火不良を引き起こし

それによってイグニッションコイルに負担がかかり故障したと考えられます。

また、旧プラグの状態を見る限り、かなりの期間使用されているのが分かります。

プラグの摩耗が進む(高電圧が必要)=イグニッションコイルに負担をかけているという事なので、

やはりコマメな点検が故障の被害を大きくさせない為の一番簡単な方法かと思います。

イグニッションコイル、プラグを新品に交換しエンジン不調は解消され無事に作業は終了です。

テスターにてエンジン部のエラーコードを確認している際に

ウォーターポンプ不動のエラーコードも発見。

このモデルは電動ウォーターポンプが採用されており、以前の機械式と違い目視での動作確認が困難です。

テスターを通してDMEからポンプに対しての要求回転数を満たしているかどうか。

ラジエターのIN、OUTの水温差やサーモスタットの開弁率を読み取る必要があります。 

取り付けに使用するボルトはアルミ製なのでボルトも当然新しいものを用意し取り付け。

従来の機械式ウォーターポンプが100,000Km近くまで使用出来るのに対して

電動ウォーターポンプは正直なところ50,000Km前後で故障する事が多いですね。

ATオイルパンの件と被りますが、旧来のものより耐久性が落ちてしまうのは・・・

もうちょっと何とかしてもらいたいところです。

冷却水の交換。

アルミパーツが多用されているモデルなので、80~90年代初頭のモデルより

冷却経路の錆の発生は少ないかと思いますが、先に述べたように基本構造はそう変わりはありませんので

1年に一度は冷却水の交換をおすすめしております。 

汚れたアンダーカバーは綺麗に洗浄し取り付けします。 

エンジンルームも綺麗に。 

全てのエラーコードが消えた事を確認し、全ての作業が完了。 

これからの季節も考え、高負荷をかけたテストランでも異常の無い事を確認。

これからメンテナンス頻度が多くなる年式、距離になりますが

しっかりとメンテナンスをしてあげる事によってBMWらしい走りを楽しめるモデルだと思いますので

また何か御座いましたらお気軽に申し付け下さい。 ご来店ありがとうございました。

投稿者:autofine at 08:10 | メンテナンス

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