【E10 1502】納車前整備&フルブッシュ交換【120,000Km】
今回は当社在庫のワンオーナーの1502が売約となりましたので納車前整備をお届け致します。
大切に使用されてきた形跡があちこちに垣間見えるとはいえ
さすがに40年を経過しているモデルです。
足廻りなどを中心としたゴム・ブッシュ類の劣化は避けられません。
今回は、新オーナーの意向で通常の納車整備+αの整備を行っていきたいと思います。
ALPINAリップスポイラーをボディと同色に仕上げて装着予定。
フロント下廻り。
フロアやパルクヘッド部分の錆による腐りなど無く、非常に綺麗な下廻りですが、さすがに各ブッシュはお疲れのようです・・・
ブレーキ廻り・ハブベアリングにも手を加えていきます。
同様にサスペンションも外して各パーツの交換を行います。
リアのドラムはそのまま使用出来そうでしたが、サイドブレーキシューやワイヤーなどの交換は実施します。
リア部下廻り。
フロント部同様に経年を考慮しても非常に良い状態。
リア部のブッシュ交換はリアアクスルキャリアを降ろしてから作業を行います。
特に古い車輌は経年によりシャフトブーツが破れグリスが飛び散っている事が多いのですが、
オイル漏れも無く非常に綺麗な状態をキープしていました。
ドラムブレーキはカバー内にブレーキシューが装着されているのでカバーを外し、
内部の状態を確認してパーツの交換を行います。
今回交換するパーツ一覧。
各ブッシュ類。
全てのブッシュを交換していきます。
ブレーキパーツ類。
ブレーキディスクやブレーキシューは消耗品なので今でも問題無く入手が可能です。
ベアリング・ブレーキピストンなど・・・
デフマウント・スプリングパッドなど・・・
ミッションマウントは一箇所で保持しているのでマルニシリーズでは劣化スピードがそれなりに早いブッシュのひとつです。
そこに漏れたミッションオイルなどが付着すると、さらにその消耗は早まります。
近くで見ると判ると思いますが、使用限界を超えていました・・・
ミッションマウントに比べるとユニバーサルジョイントには大きな断裂などは出ていなかったのですが交換します。
左リアショック側。
シャフトブーツに破れも無く大きな問題は無さそうです。
右リアショック側。
デフマウントはASSY交換。
マフラー吊りゴムは裂けてしまっているので交換。
ドラムブレーキのカバーを外し中の状態を確認。
ブレーキシューは固着気味。
ドラムブレーキはブレーキシューをドラムに押し付ける事による摩擦力で車を停止させているのですが、
サイドブレーキをかけたまま長い期間使用せずにいるとブレーキシューは常にドラムへ接触している状態になり
何らかの原因で内部に入り込んだ水分等がドラム内に錆を発生させる等してブレーキを固着させます。
パーツを全て外して錆を取り除きブレーキシューとホイールシリンダーを交換します。
リアアクスルキャリアを降ろし・・・
各部をチェック。
綺麗な下廻りです。ノンレストア車輛でここまで綺麗なフロアはあまり見ませんね。
特にフロアなどの補修は必要なく、サクサクと作業を進めていきましょう。
リアアクスルキャリア。
アクスルキャリアやセミトレアームに変形が無いかなどをチェックしながら進めていきます。
リアハブベアリング。
クルクルと回ってくれますが、所々で引っ掛かりが出ています。
僅かな引っ掛かりですが、その引っ掛かりがスムーズな回転運動を邪魔しているので
交換後の走りに期待します。
リアアクスルキャリアブッシュ。
硬化が進んでおり、ブッシュホルダーに沿って亀裂が出ているのが分かりますね。
新旧のリアハブベアリング。
長い間お疲れ様でした・・・
リアアクスルキャリアからセミトレーリングアームを外してブッシュ交換を行います。
ベアリングにはグリスをたっぷりと充填し、オイルシールで密封していきます。
SSTを使用してエキセントリックブッシュを交換。
新旧リアアクスルキャリアブッシュ。
ホルダー一体式なので圧入などの作業は無しです。
リアショックアッパーマウント。
外したマウントはご覧の様に潰れて裂けていました。
どうしてもゴム系のブッシュは使用していなくても経年劣化により油分が抜けてしまい、硬化する事が原因で
亀裂の発生や最悪の場合は破損する事があるので定期的な点検と交換が必要になります。
ショックアブソーバーはSACHSに交換。
新旧のサイドブレーキワイヤー。
さすがに40年程度経過していると、切れる事もありますので交換します。

ブレーキシューも新品へ交換。
ドラム内の錆や汚れを丁寧に落とし、新品のホイールシリンダー・ブレーキシューを装着。
ブッシュ交換が終了したら、トレーリングアーム等のパーツを組んで車体へ戻します。
トレーリングアームブッシュ。
このブッシュとリアアクスルキャリアブッシュが摩耗するとタイヤ内側の偏摩耗に繋がります。
ブッシュ交換をしないで偏摩耗した状態乗り続けているとタイヤだけでなくリアアクスルキャリア自体も変形する場合があります。
接地するまではアームはガッチリと固定せずに仮止め程度にしておきます。
リアセクションはこれで完了です。
フロントセクションへ作業を移行します。
リアはドラムブレーキでしたが、フロントにはディスクブレーキが採用されています。
こちらも外してオーバーホールを実施。
サスペンションも交換。
アクスルキャリアマウントも交換していきます。
フロントセクションはアクスルキャリアを降ろさなくてもブッシュ交換が可能なのでパーツ毎に外して作業を行います。
センターロッド・タイロッドはAssyで交換。

まずはブレーキキャリパーのオーバーホール。
ピストン・パッド・シーリングキット・パッドホルダーなどを交換していきます。
対向ピストンは抜くのにちょっとコツがいります。
その上、錆で固着している事がほとんどなので、案外と重労働です・・・
錆・ダスト汚れなどでボロボロです。
新品のシール、ピストンを装着。
装着の際はゴミなどが入らない様に慎重に作業を行います。
フロントショックを交換。
スプリングパッドはその役割を果たせそうにありません・・・
ショックアブソーバー等、交換するパーツ一式。
パッド受け部分に泥や錆が堆積している事がほとんどなので、綺麗にしてから装着していきます。
アッパーマウント、ショックアブソーバー、バンプラバー、スプリングパッド等の新しいパーツを装着。
サスはそのまま使用します。
外したロアアーム。
アーム本体が変形している事も多いのですが、問題無かったので
ボールジョイントとブッシュを打ち替えてアームはそのまま使用していきます。
ボールジョイントは・・・
お疲れ様でした。
一見すると、まだ大丈夫かな・・・とも思えますが
マイナスドライバーを当てるとボロボロと崩れていきます。
これではブッシュとしての機能は望めませんね。
それぞれプレスで打ち抜いて交換。
新旧のロアアームブッシュ。
比較すると劣化による状態の変化が判ります。
左右のエンジンマウントを交換。
ミッションマウントも新品へ交換。
エンジンマウント交換と同時にミッションジャッキで
ギリギリまでエンジンを傾けてアクスルキャリアブッシュも交換します。
フロントハブベアリングの交換。
ベアリングだけでなく、ベアリング受け部分も交換していきます。
ベアリング受けは圧入されているので、貫通ドライバーなどで叩き出して、サイズの合ったソケットなどを使用して
キッチリと圧入していきます。
新しいパーツを組んでグリスを充填。
ブレーキキャリパーを組んで元に戻しフロントセクションの作業は完了です。
ミッションマウント・ユニバーサルジョイントなどを交換し、ブッシュ廻りの作業は完了。
あとは通常通りの納車整備(各部オイル交換・冷却水交換・スパークプラグ交換など・・・)を実施し、作業は完了です。
リップスポイラーを同色に仕上げ装着。
ホイールはスチールへ、タイヤはDUNLOP AQUAJET SP SPORT 165HR13に変更。
ストックリストに掲載されていた時よりも精悍でスポーティな外観に・・・
2016年11月19日