【E91 320iTouring】24ヶ月法定点検&車検整備【75,000Km】
いつもご利用頂いているオーナーのE91 320iTouringが24ヶ月法定点検&車検整備の為入庫です。
走行距離は75,000Km。
油脂系の交換をメインに基本的な点検を行い、その他箇所に問題は無いか注意を払いながら作業を進めます。
リフトアップをして下廻りを確認するとオイル漏れを発見。
オイルパンから滲み出ている状態でオイル漏れはガスケットの劣化が原因の様です。
外したアンダーカバーにはオイル溜まりが出来る程の量が付着していました。
アンダーカバーが装着されている車輌はオイル漏れに気付かない事が多く、漏れに気付いたとしても
大量に漏れ出してるケースが多い為、定期的にカバーを外し点検する事が大切です。
オイルパンを外す前にエンジンオイルを排出。
作業を進めるとオイルパンだけでなくフロントクランクシャフトシールからのオイル漏れも出ているようです。
オイルパンガスケットを交換する為には、フロントアクセルキャリアをステアリングギアボックス毎取り外し。
アルミ製のキャリアは溶接個所のクラックや変形など無いかを良く確認しておきます。
ここまで取り外し、ようやくオイルパンにアクセスできました。
エンジン側に残った古いガスケットはオイルストーン等で綺麗に取り除いておきます。
外したオイルパンの内部はスラッジ汚れの堆積が見られますね。
良く洗浄しておきましょう。
洗浄油でスラッジをしっかりと落とし、水洗い後良く乾燥させます。
新旧のオイルパンガスケット。
オイルパンに付いているオイルレベルセンサーのオイルシールも経年を考慮して交換。
新旧のオイルレベルセンサーのオイルシール。
今回の様にフロントのアクセルキャリアを降ろさなければならない等の大掛かりな作業では、
そう遠くないうちに交換が必要になりそうなパーツを事前に交換しておく事で、
メンテナンスコストの削減に繋がります。
新旧のオイルパンボルト。
セルフロックタイプのボルトである為、再使用は基本的にしません。
再使用し、ガスケットを交換したにもかかわらずすぐに漏れたという車を何度か見ています。
新品のボルトを使用していても装着方法のミスによりオイル漏れを起こすケースがあるので、
漏れやすい箇所には液体ガスケットを併用して適切なトルクで装着する事が大切です。
クランクシャフトシールの交換。
クランクシャフトシールの交換をする為に各ベルトとクランクシャフトプーリーを外します。
外した各ベルトも亀裂等の劣化が無いか確認。
クランクシャフトシールを外します。
新旧のクランクシャフトシール。
車種によっては外すのがかなり厄介な車種も多く、画像のオイルシールは破損していた様に見えますが、
外す際のダメージでこの様な状態になっています。
異物の混入に注意をしながら斜めにならない様にオイルシールを圧入します。
無理に装着してしまうと再びオイル漏れに繋がってしまうので慎重な作業が必要です。
フロントアクセルキャリアは戻す前に洗浄。
アクセルキャリアを車体へ戻してオイル漏れの修理が完了。
オイルエレメントの交換。
エレメントを装着して新しいエンジンオイルを規定量注入してオイル交換が完了。
今回はATFの交換を実施。
当社の交換方法は全量交換方式になります。
オイルパンを外して内部に装着されているATFエレメントを交換。
ATFエレメントを外した状態で一晩を掛けて排出を行う為、最短の交換作業でも1泊2日の作業時間を頂きます。
オイルパンの磁石に付いたスラッジの状態を確認してATメカニズムの状態を探るのですが、異常な量のスラッジや
大きな金属片があった場合はATシステム内部の異常が想定される為、大掛かりな作業が必要になります。
スラッジ等で汚れたオイルパンを洗浄油で綺麗にしておきます。
新旧のオイルパンガスケット・ATFエレメント。
ガスケットは一度使用した物は使用不可。
内部で発生したスラッジが付着して古いATFエレメントは黒くなっており、
新品と比較すると内部で発生しているスラッジの量やATFの交換が何故必要なのかが理解出来ると思います。
オイルパンを装着し、ATFを注入していきます。
テスターで油温を確認しながら慎重に油面調整を行います。
最後にテストランを行いシフトチェンジに問題が出ないか確認してATFの交換が完了。
デフオイルの交換。
車種によって排出口が付いていない場合があり、今回はデフカバーを外して排出を行います。
デフオイルは粘度が高い為、冷えた状態で排出をしても内部で発生したスラッジを上手く排出する事が出来ないので
必ずある程度温めた状態で排出を行います。
コーナーリングをスムーズに走行出来るのはデファレンシャルギアのおかげなのですが、ギアが噛み合う事で
内部にスラッジが発生します。
その為、内部で発生したスラッジを含んだオイルで可動する事になるのでデフオイルの交換を怠ると異音の発生や
最悪の場合、スラッジがギアを傷つけて破損に繋がる場合があるので注意が必要です。
外したデフカバーは洗浄油で内部を綺麗にしておきます。
デフカバーを装着する前に本体やカバーの装着面に残った古いガスケットを
オイルストーンで丁寧に削り落としておきます。
古いガスケットが少しでも残っていると新しいガスケットがしっかりと密着しない為オイル漏れを起こすので、
簡単な作業でも丁寧にしっかりと行う事が大切です。
デフカバーを装着てして適量のデフオイルを注入してデフオイルの交換が完了。
パワステオイルの交換。
パワステオイルの劣化はハンドル操作に影響を与えるだけでなく、
ギアボックスやパワステポンプにも不具合を発生させ異音やホース類等の劣化を早め、
オイル漏れを発生させるので定期的な点検・交換が必要になります。
専用の機械を使用してパワステラインのフラッシングを行い
パワステポンプやギアボックスで発生したスラッジ等の汚れを浮かせて
古いパワステオイルと共に車外へ圧送させます。
少しでも汚れが残っていると新しいオイルの再汚染に繋がる為、綺麗な状態になるまでしっかりと排出を行います。
排出を終えたら新油を規定量注入してエア抜きを行いパワステオイルの交換が完了。
交換後のパワステオイルは画像の様に透明な赤い状態になります。
交換前の画像と比べればどれぐらい汚れていたのかが判ると思います。
多少でもパワステラインに古いオイルが残っていると、
直ぐに濁ってしまうので、パワステラインにオイルや汚れを残さない様にする事が大切です。
パワステオイルは色の変化で劣化の判断が出来るので定期的に確認し、色やオイル量に変化があれば放置をせずに
ディーラーもしくは掛かりつけの工場へ相談する様にして下さい。
ブレーキフルードの交換。
劣化はパワステオイルと同様に色で判断する事が出来ます。
新油は無色透明なのですが、劣化をする事で徐々に紅茶色になり黒く変色していきます。
エア噛みを防止する為にタンクにフルードを多少残す様にしてシリンジで古いフルードを抜き取ります。
そして新油を注入してブレーキ操作を行って新しいフルードを送り込み古いフルードを車外へ排出。
排出された古いフルードに異常な汚れや錆等が含まれていないか確認します。
異常が見つかればブレーキシステム全体のチェックが必要になる為、大掛かりな作業が必要になります。
4輪全ての排出・交換作業を終えたらブレーキフルードの交換作業が完了。
交換後のブレーキフルードは無色透明です。
通常車検毎に交換するはずなので、普段使いの使用でしたら問題は無いと思いますが、高速走行や山道等で
ブレーキを多く使う走行の場合は劣化が早まるので注意が必要です。
ブレーキフルードは吸湿し続ける事でブレーキシステムに錆や水垢等を発生させ、
更に性能が低下する事で沸点が下がりブレーキ操作の際の高熱で水分が蒸発して気泡になり、
ブレーキを踏んでもスカスカと油圧が伝わらずブレーキが利かなくなる
ベーパーロック現象を引き起こすのでブレーキフルードの管理は命に関わる事なので非常に重要です。
車を使用しなくても劣化は進行します。
フュールフィルターユニットを交換。
新旧のフュールフィルターユニット。
異物の混入やホース類の取り回し等に注意をしながら慎重に装着。
フュールフィルターユニットの交換作業が完了。
燃料系のパーツは一部の機能に不具合が出るだけで走行不能になる為、
故障する前に対処しておく事が大切です。
ディフェクトのリセットを行い全ての作業が完了。
最後にテストランを行って修理箇所やその他に走行時の違和感や不具合が無いか確認。
問題が無ければ最寄りの陸運局へ持ち込み車検を取得、各書類をオーナーへお渡しして納車になります。
今回は基本的な作業の他にオイル漏れや経年劣化を配慮したパーツの交換を行いました。
オイル漏れはパーツ等が劣化すると発生する為、どうしても避けられない症状なのですが、
出来るだけ早期に発見する事で簡単な修理で完治する事が多く、メンテナンスコストの削減に繋がります。
症状に気付かなかったり、修理をせずに放置をすると他のパーツにも
影響を与えて更なる不具合を誘発する事になるのでエンジンルームの状態の変化や
各オイルの量や劣化を確認する事は非常に大切な作業になります。
車検の際に工場の担当者と今後のメンテナンスについて相談をする等、整備の計画を立てるのもお勧めです。
2017年11月19日