【E46 M3】24ヶ月法定点検&車検整備【60,000Km】
先々週からの雪で5℃前後だった気温が10℃近くなり、何となく暖かい週末でした。
このまま徐々に春に向かって一直線と行ってくれるのでしょうか。
本日は当社で整備を管理させていただいているE46 M3の車検整備をレポートしていきましょう。
一年に一度程度のご入庫で見させていただいており、今回も特に不具合箇所などは無いので
オイル廻り・水廻りのリセットを中心に作業を進め、
今後のメンテナンスメニューを作成しながら作業を進めていきましょう。
まずはエンジンオイルの交換。
エンジンオイルの役割は潤滑・洗浄・冷却・防錆・密封と様々あるのですが、
エンジン内部で発生するスラッジやカーボンの汚れや油温の変化、空気に触れると酸化してしまう等で
オイルは汚れて劣化する事で効果は徐々に薄れてしまいます。
基本的に定期的な交換を行っていれば問題無いのですが、
効果の薄れたオイルを長期に使用しているとエンジン内部には取り切れなかった汚れが堆積して
交換作業だけでは排出されなくなってしまいエンジントラブルの元となる為、
当社ではフラッシング剤を注入して堆積した汚れを排出させ易くして
フラッシング剤の効果で汚れの再付着を防止しています。
フラッシングを行ったオイルは画像の様に真っ黒な状態で排出されるのですが、
環境や走行方法によっても汚れ方は様々に違う為、
ご自身の走行でどの程度の汚れ具合になるのか知っておく事は非常に大切です。
排出の際はエンジン内部の状況を探る為、異常な金属片等が無いか排出したオイルの確認を行い、
出来るだけエンジン内部に古いオイルを残さない様にする為、
排出には時間を掛けオイルのしずくが垂れなくなるまで行います。
新旧のオイルエレメント。装着に使用するパッキンやワッシャ等も新品へ交換。
古いエレメントはフラッシングされた汚れを吸着して真っ黒な状態でした。
オイルエレメントはエンジンオイルを濾過する事で汚れを吸着して綺麗な状態にしているのですが、
汚れが多くなると目詰まりを起こしてオイル流量が減ってしまうので、
それを防ぐ為にバイパス機能を備えていて目詰まりが起きると
濾過を行わずに汚れたオイルをそのまま循環させる様になります。
そうなると汚れたオイルが循環する事になり、
含まれたスラッジ等が研磨剤の様な役割となってエンジン内部を傷つけるので
長期の使用はエンジンへ悪影響を及ぼします。
オイルエレメントの交換・古いオイルの排出を終えたら規定量の新しいオイルを注入してエンジンオイル交換が完了。
FUCHS TITAN 5W-50
ミッションオイルの交換。
こちらもエンジンオイル同様にしずくが垂れなくなるまで排出には時間を掛けます。
ミッションオイルも定期的な交換が必要なのですが、
エンジンオイル程に交換を重要視されている方は少ないのではないでしょうか?
ミッションオイルは劣化してくると、ギアの入りが悪くなりスムーズなシフト操作が出来なくなり、
無理にシフトチェンジをするとトランスミッションを傷める原因になるので、
この様な症状が出る前に交換する事が大切です。
交換時期は走行方法や走行距離によっても変化するので一概に言えませんが、
交換時にオイルの状態を確認してご自身の走行に適した交換時期を把握しておくと良いでしょう。
ミッションフィラー・ドレンボルトにはオイル漏れ防止用のシールテープを巻き、漏れが出ないようにしていきます。
規定量のミッションオイルを注入してミッションオイルの交換が完了。
FUCHS ATF4000(DⅢ)
パワステオイルの交換。
パワステライン・ギアボックスからポンプに至る全てのラインに対してフラッシングを行い
発生したスラッジ等を古いオイルと共に圧送して排出します。
パワーステアリングはオイルの油圧がハンドル操作の補助をする事でハンドルを軽く操作が出来るのですが、
汚れて劣化してくるとオイルポンプやギアボックス等の各部に影響を与え、
オイル漏れ等を引き起こしやすくなる為、定期的に交換をおすすめしています。
交換後のパワステオイルは画像の様な透明な赤色なのですが、パワステライン等に汚れが残っていると透明度は薄れて
ここまで綺麗な赤色にはならないので交換方法にも注意をしなければなりません。
デフオイルとブレーキフルードは昨年交換したばかりなので問題無い事を確認し、
水廻りの作業に移行していきましょう。
オーナーと打ち合わせさせていただき、冷却水の交換だけでなく
予防整備としてウォーターポンプとサーモスタットを交換。
故障してからではオーバーヒート等を引き起こしエンジン本体の故障や他のパーツにも影響を与えてしまい、
大掛かりな修理が必要になる事があるので故障が無くても事前に交換しておく事は、
故障を防ぐ事と作業に掛かる工賃や作業時間等のメンテナンスコストを抑える事につながります。
ウォーターポンプ・サーモスタットを外していきます。
新旧のウォーターポンプとサーモスタット。
装着の際に使用するガスケットやOリング等も新品へ交換。
新しいウォーターポンプ・サーモスタットを装着して交換が完了。
冷却水の交換。
専用の機械を使用してフラッシング剤を注入して冷却ラインに溜まった錆や水垢等の
汚れを浮かせて古い冷却水と共に車外へ圧送し、エア抜きもしっかりと行います。
新旧のフューエルフィルター。
フューエルフィルターは給油の際に紛れ込んだ砂埃や雨水、
気温の温度差でフューエルタンク内の結露で発生する水分やその影響で出た錆等を除去しています。
汚れていくと目詰まりを起こすので走行距離や経年に応じて交換が必要なのですが、
頻繁に交換するパーツではない為、見落としがちなので注意が必要です。
新しいフューエルフィルターを装着して交換が完了。
新旧のエアーフィルター。
交換時期は使用している環境に影響されるので、実際にパーツを確認して交換時期を見極める様にして下さい。
新しいエアーフィルターを装着。
エアーフィルターボックス内が汚れている事が多く、装着の前には一度フィルターボックスを清掃し
フィルターをセットします。
スパークプラグの交換。
エンジンはガソリンと空気の混合気をピストンが圧縮した際にプラグが火花を飛ばして着火させ、
その際に得た爆発力を利用して可動しているのですが、
プラグが消耗してくると上手く着火出来無くなる事で、異常燃焼を起こしエンジン出力や燃費の低下、
過度なフリクションでパーツを破損させたり、異常燃焼が原因で排気センサーや触媒にも影響を及ぼすので
定期的に電極の確認を行い交換時期と判断した場合には、交換をおすすめしています。
プラグの電極の確認。
電極が消耗して丸みを帯びていて上手く火花が飛ばなくなっている状態なので交換。
新旧のスパークプラグ。
プラグの交換は一部を交換するのでは無く、必ず全てを同時に交換する事が基本です。
全ての作業を終えたらテストランを行い、問題が無いかを確認します。
陸運支局へ持ち込み車検を取得。
車検証、定期点検記録簿、車検ステッカー、定期点検ステッカーをオーナーへ渡して全て終了です。
今回は通常の作業の他に予防整備を行いウォーターポンプとサーモスタットを交換しました。
パーツの故障は突然壊れる場合と徐々に不具合が出る場合があるのですが、
いずれにしても走行に影響を与える為、修理や交換は避けなければなりません。
故障しやすい箇所はモデルや走行環境によっても左右される為、
ご自身の車輌の弱点を把握して故障する前に予防する事も大切ですね。
人間が風邪をひかない様にマスクをしたり手洗いうがいをして病気の予防対策をしているのと同様に
車も定期点検を行って悪くなりそうな箇所は経年を考慮して交換をする予防整備をしておけば
ある程度未然に故障を防ぐ事が出来ます。
生産されてから10年以上経過したモデルでは
故障してからの修理…では無く、
メンテナンスプランを立てながら、良い状態で長く乗り続ける事を考えても良いのではないでしょうか。
2018年02月05日