【E46 M3】足廻りリフレッシュetc,,,【57,000Km】
2月もそろそろ終わりですね。
気温も徐々に上がってきて、花粉の飛散も多くなってきたようです。
花粉症の方もつらい時期かと思いますが、
車にとっても花粉は塗装にやさしくないので困ったものです。
こればかりは季節のサイクルなので致し方ないといったところでしょうか、毎日洗車頑張ります。
本日はE46 M3の足廻りブッシュ・ショックアブソーバーの交換を中心に
オイル交換などの作業をお伝えしていきましょう。
走行距離は57,000Km、他店で購入されてすぐに当社へ入庫され、ある程度整備はされているようですが
オーナー自身気になる箇所&当社でのチェック項目を合わせて今回作業を進めていきたいと思います。
まずは冷却水漏れ。入庫された際にエンジンルームを開けると甘ったるいLLC特有のにおいが・・・
どこからか漏れているかも・・・とオーナーに伝えて
お預かり後に圧力テストをすると、やはり漏れていました。
漏れている量は少ないのですが、当然見過ごす事は出来ません。
ホースクランプで固定している部分が劣化により弾力性が無くなってしまうと
痩せてしまう事で隙間から冷却水が漏れ出してしまいます。
ここまでクランプ部分の痩せが進行するといくらクランプを締め付けても冷却水漏れが止まりません。
止まるどころか、クランプ締めすぎによってエキスパンションタンクのニップルが割れてしまう危険があります。
新旧のクーラントライン。
LLCの漏れは軽微で、LLCの漏れ量もそう多くなかったので補充し冷却水漏れ作業は完了です。
では、今回メインの足廻り作業を開始しましょう。
フロントの足廻りパーツの交換から作業を進めます・・・
とここで、フロントのローターの摩耗値など測定したところ、
交換時期だったのでフロントローターも同時に交換します。
ブレーキ関連のパーツを外し、使用状況に問題は無かったかアーム類など各部の状態を確認しながら
ショックアブソーバーを外していきます。
新しいショックアブソーバーを組み立てます。今回はオーナーのチョイスで
ACSのレーシングサスペンションキットを取り付けしていきます。
スプリングコンプレッサーを使用し、アッパーマウントやダストブーツ、
コイルスプリング、スプリングパッド等を装着。もちろん新品を取り付けます。
車高調なので調整は接地後に行います。
新旧のフロントスイングサポート。
実際に取り外してみると見た目以上にボールジョイントの動きが鈍くなっている事もあるので
車体に付いている状態だけでなく一度取り外して劣化や消耗度を確認する事が大切です。
新旧のフロントスタビブッシュ。
装着時の見た目だけでは劣化具合が判り難く、実際に取り外してみると
捻じれて消耗が進んでしまっている事がほとんどなので
足廻り部品交換時には一緒に交換した方が良いでしょう。
M3のパフォーマンスを維持する為にはこういった細かいパーツだとしても見逃す事は厳禁です。
新旧のフロントブレーキローター。
マイクロメーターで使用可能な状態か摩耗状態を計測し、ダイヤルゲージで歪み測定をします。
交換時期は走行状態によって様々なので一概に言えませんが、
定期点検の際に目視だけでなく計測を行って判断し交換を行います。
E46M3はドリルドローターが使用されており、
通常のローターよりも放熱性も良い等のメリットもあるのですが、
摩耗が進むことでクラックが入ってしまう可能性が高いので
限界まで使用して思わぬトラブルに巻き込まれるよりも、若干余裕を持って交換しておいた方が安心です。
アップで比較すると良く分かりますね。
摩耗が進行すると新品のローターには無い段差が古いローター側の淵に現れる為、
この段差を見ればある程度の摩耗具合が判ります。
スリットホール部分を見ても消耗が良く分かります。
フロントとリアのショックアブソーバー一式。
前後減衰調整が可能なAC SCHNITZER レーシングサスペンションキットをチョイス。
車高は純正より2cmほどダウンが希望なので、ある程度の基準を出しておいてから
接地後に細かく調整していきましょう。リアはスペーサータイプなので
ある程度車高は固定されるタイプの足廻りです。
新旧のリアコイルスプリング。
比較するとコイルスプリングの高さの違いが判ります。
フロントロアアームコントロールブッシュ(ロアコンブッシュ)の交換。
ロアアームからSSTを使用して引き抜いて取り外します。
ブレーキングの際に荷重移動で負荷が多く掛かる為、
E46モデルの中では一番交換頻度が高いブッシュになるので
E早いケースでは20,000km程度で交換となる事があり、劣化が進行すると発進時や停止時にゴトッと
ステアリングが振られたり振動を受けたりするので、その様な症状が出ていたら交換が必要です。
新旧のロアコンブッシュ。
古いブッシュをプレス機で打ち抜いて新しいブッシュを圧入します。
装着の際もSSTを使用するのですが、無理に作業を行ったり斜めに装着してしまうとブッシュが破損したり
寿命が短くなって交換後にも関わらず直ぐに交換が必要になってしまうので慎重な作業が必要です。
リアの足廻りパーツを装着。
足廻りパーツを装着した際は本締めは行わずに仮止めの状態で接地後に馴染ませてから本締めを行う事が基本です。
接地前に本締めを行ってしまうとリフトから降ろした際に、せっかく交換したブッシュを痛めてしまったり
異音の発生等、思わぬトラブルを発生させる事があるので注意が必要です。
本締めを行った後に車高のセッティングを行うのですが、
数値を確認しながら前後のバランスを考慮しベストなポジションにセッティングしていきます。
個人的には車は低い方が好みですが
車高を下げるという事はメリット・デメリットを色々ありますので
自身はどちらにメリットがあるかを考えて車高調などはチョイスした方が良いでしょう。
車高のセッティングが終わり4輪ホイールアライメント調整を行います。
ホイールアライメントは足廻りパーツの脱着だけで数値が変わってしまう為、再調整が必要になるのですが
長期に調整を行ってなかったり、駐車の際に縁石に激しくぶつけたり、
激しく段差を乗り越えたりすると調整が変わってしまう事があります。
ステアリングを維持してないと不安定に左右に車が流れたり、
真直ぐにしているのにステアリングのセンターがズレていたり
タイヤが偏摩耗している等の症状が出ていたらホイールアライメントの再調整が必要です。
4輪ホイールアライメント調整はシビアでタイヤの摩耗やブッシュの劣化具合によっても数値に違いが出てくる為、
同じ車種だとしても全く同じ数値になるとは限りません。
メーカーの基準値をベースにテストランと調整を繰り返しながら、
その車に合った最も適した数値を導き出していきます。
これで足廻りの作業は完了です。
プレッシャーバルブからオイル漏れを発見。
M3ではお馴染みの症状なのでご存知の方も多いと思いますが、確認しにくい箇所に付いている上
アンダーカバーのお蔭で見逃している事が多いですね。
実際に見てみると『結構漏れているな・・・』と驚かれる方も多いので、
リフトアップした際にはチェックしておきたい箇所のひとつです。
新旧のプレッシャーバルブ。
取り外したアンダーカバーはオイル汚れ等を綺麗に洗浄し、
装着に使用するボルトはアルミボルトなので新品へ交換します。
エンジンオイル交換。
古いオイルを排出する前にフラッシング剤を注入し、内部で発生したスラッジやカーボンの汚れを落しやすくします。
エンジンオイルは潤滑だけでなくエンジン内部で発生する
スラッジやカーボンの汚れを吸着して取り除いているのですが
使用していくと劣化して清浄性能が低下してしまう為、取除けなかった汚れがエンジン内部に堆積してしまいます。
オイルフィルターも頑張ってくれますが、やはりその性能にも限界がありますね。
定期的にオイル交換をしていればエンジンオイルの性能だけでも汚れの定着をある程度防ぐ事は可能なのですが、
走行距離や経年によって、エンジン内部のスラッジはどうしても定着し堆積していくものです。
定着したスラッジを含めて出来るだけエンジン内部をクリーンに保つ事で
新しいオイルの再汚染を防ぐ効果が期待出来ます。
10分~15分程アイドリングを行ってフラッシング剤をエンジン内部まで浸透させ汚れを落してから
古いエンジンオイルと共に排出させ、同時に廃油に異常な汚れや金属片等が含まれて無いか確認を行って
エンジン内部の状態を探ります。
エンジン内部に古いオイルが残らない様に排出には時間を掛けて
オイルのしずくが垂れなくなるまで作業を行う事が大切です。
オイルエレメントの交換。
装着時に使用するガスケット・ワッシャ類も新品へ交換。
新しいオイルエレメントを装着し、規定量のエンジンオイルを注入してエンジンオイル交換が完了。
エンジンオイル交換後は忘れずにオイルインスペクションのリセットを行います。
エンジンオイルの交換目安は使用状況によって様々なので一概に言えませんが、
インスペクションの数値が22,000Kmを過ぎたら交換を意識し、20,000Kmまでには交換を行い、
数値に満たないケースでも半年程度で交換する等、どちらか早いほうで交換作業を行った方が良いでしょう。
ミッションオイルの交換。
排出の前にテストランを行ってオイルを温めた状態で内部で発生したスラッジと共に一気に排出させます。
排出には時間を掛けて出来るだけ古いオイルが残らない様に雫が垂れなくなるまで行います。
ドレンボルトは新しいシールテープを巻き直してオイル漏れを防止します。
シールテープは締める方向と逆に巻いてしまうと効果は無いので要注意。
規定量のミッションオイルを注入して交換が完了。
デフオイルの交換。
交換の前にフラッシング剤を注入し内部で発生したスラッジを排出させやすくします。
デフオイルは粘度が高く低温の状態では上手く排出する事は出来ないので、
排出の前にテストランを行って必ず温めた状態で排出を行います。
規定量のデフオイルを注入してデフオイルの交換が完了。
デフオイル漏れを起こしているのに気付かないで走行している方も多く
無料点検を行った際にオイル漏れを発見する事も少なくありません。
デフケースを確認し、しっとりと濡れた感じになっていたらデフオイルが漏れている可能性が高いので
被害が拡大する前に掛かりつけの工場に相談して修理を行って下さい。
バッテリーの交換。
規定量の電圧が出ているかテスターで発電量を確認するのですが、
長期に使用していたバッテリーは消耗している事が多く適正な電圧を維持出来ない為、
電気系のトラブルを発生させたり十分に充電が出来なくなると
エンジン始動が困難になったり、運よくエンジンが掛かっても出先で突然止まってしまうケースもあるので
定期点検の際に停止時電圧、始動時電圧などチェックしておくと良いでしょう。
夜間、アクセルオンオフでのライトの光量変化などちょっとでも違和感を感じたら、要チェックです。
フューエルフィルターの交換
自分は自身が乗る車に関して二年一度程度の交換をしていますが
経年から10年以上経過していても未交換の車輛が多い事に驚かされます。
フィルター内に残ったガソリンは想像以上の汚れ方をしている事がほとんどです。
フューエルレギュレーターを移植して取り付け。
クランプ止めでは無く、ワンタッチ式に変更されているのですが、最近はこういったタイプが多いですね。
新しいうちは良いのですが・・・
先日、同じタイプのワンタッチジョイントを使用した箇所の修理があったのですが、
見事に固着し砕けていました・・・そうなってしまうと作業内容が大きく変更になります。
問題があった場合の手間を考えると・・・作業側から言わせてもらうとかなり迷惑な作りです・・・
とメーカーに愚痴をこぼしても意味が無いので、こういった点の対策方法もこれから考えていきましょう。
スパークプラグの交換。イグニッションコイルを外しプラグへアクセス。
交換時期でしたね。
全ての作業を終えたらテストランでブレーキの摺り合わせ作業を行い、
修理箇所やその他に違和感等の問題が無いか確認を行います。
ブレーキローターを交換しているので極力急ハンドルや急ブレーキ等の操作は避け、
道路状況や走行状態の変化にもよりますが、通常の走行であれば300km~1,000km程で
ブレーキの慣らしは完了になりますので安全運転を心掛けましょう。
分解整備記録簿と4輪アライメントデータを渡して、車の状態や今後のメンテナンス等をお話しして納車となりました。
今回はE46 M3の足廻りパーツのリフレッシュをメインに作業を行ったのですが、
10年以上の前のモデルでもメンテナンスをしっかりと行えば十分に運転を楽しむ事が可能です。
E46 M3は市場に流通している台数も多く、
自然吸気の6気筒という点で今なお人気の衰えない当社でもメンテナンス入庫の絶えないモデルです。
だからこそ、様々なコンディションの車も多く、一台一台をしっかりとチェックさせていただき
最適なメンテナンスプランをご提案できるように努めておりますので、長く良い状態で乗っていきたい!
という方はお気軽にお問い合わせ下さい。
2019年02月22日