【E30 320i】24ヶ月法定点検&車検整備【165,000Km】
平成最後のメンテナンスレポート。
そんな平成最後のメンテナンスレポートはE30 320iの24ヶ月法定点検と車検整備をお伝えしていきましょう。
走行距離は165,000km。
E30モデルは登場してから30年以上が経過しているのですが、まだまだ人気の衰えないモデルですね。
今お乗りの方も大事にされていますし、これから購入を検討している方も多いのではないでしょうか?
今回は基本的な油脂の交換の他にメンテナンスの注意点等も含めて紹介していきますで
E30のオーナーだけでなくこれから購入を検討している方も参考になるようまとめていきたいと思います。
カムカバーからのオイル漏れ修理とタイミングベルト類の交換。
カムカバーを外して古いガスケットを取り除き新しいガスケットへ交換します。
同時にロッカーアームやカムに異常が無いかなど確認しておきます。
カムカバーからのオイル漏れはE30だけでなくその他のモデルでも比較的多い症例で
ガスケットが経年劣化してしまうとガスケットの密着度が失われてオイル漏れを発生させる為、
カムカバー付近にオイル染みを発見したら多少なら大丈夫と放置をせずに出来るだけ早い対応が必要です。
エンジン周りがオイルでしっとりと濡れてないか、オイルが焼けた様な匂いがしてないか等
確認しておくと良いでしょう。
タイミングベルト、タイミングベルトテンショナー、ウォーターポンプの交換の為、
ホース類等のパーツを外していきます。
この3点のパーツは消耗品として経年・走行距離を考慮して交換が必要になる為、基本的に3点セットで交換を行います。
タイミングベルト、タイミングベルトテンショナー、ウォーターポンプを取り外す際には
水漏れや経年よる錆の発生、パーツのがたつきや異音の発生等、
今まで正常に機能していたのか現状を確認しておきます。
新旧のタイミングベルト。4~5年に一度は交換しても良いでしょう。
新旧のタイミングベルトテンショナー。
交換を行わないとベルトのコマ飛び等のトラブルを発生させるので必ずセットで交換して下さい。
サーモスタット交換。
冷却水の温度管理をしているパーツなので、
故障してしまうとオーバーヒートやオーバークール等の症状を引き起こします。
水温計が異常な数値を示したりヒーターの温度が上がらなかったりする場合は
早急に掛かりつけの工場へ相談して下さい。
こちらも消耗品ですね。水廻り整備時などで同時に交換する事の多い部品です。
新旧のウォーターポンプ。
新旧のウォーターポンプガスケット。
ウォーターポンプを取り外した際は必ず新品へ交換します。
新品のタイミングベルト、タイミングベルトテンショナー、ウォーターポンプを装着して交換が完了。
カムカバーを装着する前に古いガスケットをオイルストーンで取り除き、装着面を綺麗に整えてから
漏れやすい箇所には液体ガスケットを併用して装着を行います。
新旧のカムカバーガスケット。
ガスケットは経年劣化で徐々に固くなって密着度が失われてしまう為、オイル漏れ等の問題が無かったとしても
経年を考慮してトラブルが発生する前に交換しておくと安心です。
新旧のエアコンベルト。
亀裂が多数発生していた為交換。
見比べると劣化具合がお判り頂けると思います。
経年劣化が進行すると油分が抜けて固くなる事で柔軟性が無くなり徐々に亀裂が入ると異音を発生させ、
最終的にベルトが断裂してしまい、更に被害を拡大させてしまうので異音の発生には注意が必要です。
ヒーターコアからの冷却水漏れ。
ヒーター操作時等に車内に冷却水独特の甘い匂いを感じたら冷却水が漏れている可能性が高いです。
ヒーターコアからの水漏れは最終的に車内が水浸しになってしまう事もある為、
発見したら即修理した方が良いでしょう。
新旧のヒーターバルブ。
ヒーターコアは両端のプラスチック部分の接合部が経年劣化で水漏れを発生させる事が多いのですが、
冷却水の交換を怠っていると発生した錆がヒーターコア内部に溜まってしまうので
冷却系パーツのメンテナンスにも注意が必要です。
新旧のヒーターコア。
それぞれのパーツを元通りに装着し、水漏れの確認を行ってヒーター系パーツの交換が完了。
冷却水の交換。
専用の機械を使用してフラッシング剤を注入し内部で発生した錆等の汚れを浮かせて
古い冷却水と共に車外へ圧送させます。
排出を終えたら規定量の新しい冷却水を注入し、エア抜きを行って冷却水の交換が完了。
ブレーキの点検と整備。
マイクロメーターを使用してブレーキローターのパッドが当たる面の外周、中心、内周の厚みを計測し、
更にダイアルゲージで歪みの測定を行います。
基準値を下回っていれば当然交換が必要なのですが、
使用可能だとしても摩耗状況等を判断して交換をおすすめするケースもあります。
前後共にブレーキローター、ブレーキパッドが共に使用限界だった為交換。
新旧のフロントブレーキパッド。
見比べると摩耗具合が判ると思いますが、
一部のパッドは残量が無くなって使用限界ギリギリの状態になっていました。
ブレーキパッドはそのまま装着するのではなく、不快なブレーキ鳴りを抑える為に面取り加工を施し
表面を研磨して綺麗に整えておきます。
新旧ブレーキローター。
デフオイル交換。
交換の前にフラッシング剤を注入し、内部で発生したスラッジを落として排出しやすくします。
デフオイルの交換を怠ると内部で発生したスラッジがシール部分を傷める事でオイル漏れを発生させるだけでなく
最悪の場合、スラッジの影響で内部のギアを破損させる事があるので定期的な交換が必要です。
テストランを行いデフオイルの温度を上げた状態で排出を行います。
デフオイルは粘度が高い為、オイルを温めた状態で作業を行わないと排出に時間が掛かるだけでなく
上手くスラッジを排出する事が出来ません。
しずくが垂れなくなるまで排出を終えたら、規定量のデフオイルを注入してデフオイルの交換が完了。
ブレーキフルード交換。
ブレーキは油圧の力を利用してブレーキを操作を伝達しており、
油圧を伝える為に使用されているのがブレーキフルードなのですが、
吸湿性が高く交換を怠ると吸湿した水分の影響でブレーキシステムに錆を発生させブレーキ操作の不具合や、
ブレーキの熱により含まれた水分が蒸発してブレーキ経路内に気泡が出来る事で
油圧が失われてブレーキ操作が出来なくなる
ベーパーロック現象を発生させる為、交換時期には注意が必要です。
ブレーキの不具合は自身だけでなく他人を巻き込む大きな事故に繋がりかねないので
しっかりとメンテナンスを行う事が大切ですね。
ブレーキフルードの交換は専用の機械を使用してフラッシングを行い、ブレーキラインで発生した錆や水垢等の汚れを
古いブレーキフルードと共に車外へ圧送します。
排出されたブレーキフルードに異常な汚れや錆等が含まれてないか確認を行い、異常が見つかれば原因を突き止める為
ブレーキシステム全体を外す等の大掛かりな作業が必要になります。
ブレーキフルードの交換が完了。新油は無色透明な状態。
ブレーキフルードには酸化防止剤や防錆剤等が添加されているのですが、経年で徐々に効果は失われていく為
定期的に交換を行う事が重要で劣化が進むと透明から紅茶色へ変化し徐々に黒味を帯びてくる為、
ブレーキフルードの色の変化には注意して下さい。
エアエレメント交換。
エンジンはガソリンと空気の混合気を圧縮した後に点火・燃焼・膨張を繰り返しながら
運動エネルギーを出力しているのですが、
空気中の不純物がエンジンに混入してエンジンに不具合を与えてしまう事がない様に
空気を濾過して汚れを取り除いているのがエアエレメントです。
汚れが堆積してしまうと空気の流入量が減ってしまう為、性能が発揮出来無くなり燃費の低下や
不純物の混入でエンジンにダメージを与える事もあるので注意が必要です。
エアエレメントは走行環境によっても汚れ具合が変化する為、一般的な交換時期では当てはまらないケースもあるので
ご自身の走行環境ではどれぐらいで交換するのが最適なのかを把握する為にも
掛かりつけの工場に確認しておくと良いでしょう。
エレメントケース内も汚れている事が多く、装着の際には内部を綺麗に清掃しておく事も大切です。
フューエルフィルター交換。
ガソリンの給油の際に雨水やゴミ、塵等が混入したりフューエルタンク内の錆汚れ等がエンジンへ混入しない様に
濾過を行っているのがフューエルフィルターですね。非常に重要な消耗品のひとつです。
新旧のフューエルフィルター。
外観の見た目だけでは汚れの判断が出来ない為、走行距離や経年だけでなく走行中の状態を見極めて交換を行います。
もちろん必要があれば燃圧も測定致します。
各リレーの交換。
新旧のフューエルポンプリレー。
何故交換かというと、リレーの端子部分が焼けてしまっているのでポンプ・メインリレー共に交換致します。
新旧のメインリレー。
こういった端子の消耗も侮っていると、リレー本体の焼き付きだけでなく、
ヒューズボックスの焼き付きやハーネス焼き付きなどを起こす可能性もありますので要チェック箇所のひとつです。
車検に備えてエンジンルームや下廻りをスチーム洗浄し、最終チェックを行います。
最寄りの陸運支局へ車を持ち込んで車検を取得。
車検を取得して工場へ戻る際も気になる箇所は無いか各部のチェックを行いながら走行。
タイミングベルトを交換したので次回のメンテナンスの為にシールに
走行距離と交換した日を忘れずに記載しておきます。
車検証、定期点検記録簿、車検ステッカー、定期点検ステッカーをオーナーへお渡して納車となりました。
今回は基本的なメンテナンスの他にオイル漏れしやすい箇所や
経年・走行距離で交換が必要な箇所等のメンテナンスを行いました。
人間も年齢を重ねれば人間ドック等が重要になるのと同様に車も年を重ねれば各部の劣化に注意が必要になります。
病気も気付くのが遅れたり、対応が遅くなってしまう事で大病を抱えてしまったり命に関わる状態になってしまう様に
車もメンテナンス時期を見誤ると大きなトラブルに発展してしまう事がある為、
定期的な点検・整備を行っていく事が大切になります。
これからE30モデルの購入を検討されている方は、
年式や走行距離だけでなくどのようなメンテナンスが行われてきたのかなども確認し、
メンテナンス履歴などがはっきり分からない場合は、
そのまま乗るのではなく一度しっかりと点検し、必要に応じたメンテナンスを行ってから
乗っていくのが良いでしょう。
2019年04月30日