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MAINTENANCE REPORT

第53回 E24 635csi

635CSI.22006年も残り1ヶ月を切りましたがAUTOFINEは世の中の師走の慌しさと喧騒をあまり感じずに
新しく導入したリフトに毎日のように違う車がリフトアップされている日々を送っています。
E24 635csiが足廻り等含めブッシュ類のトータル見直しを行う為、入庫致しました。
何度もご来店いただいているお客様で、メンテナンスの順序を決めパートごとに何度か
作業を分け実施してきました。メンテナンスメニューを組み、
作業することによって施工した箇所が良くなっていくのを確認しながら
上手に古い車と付き合っていくのはいいものです。
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今回、交換するのは赤丸の箇所のブッシュとアーム類
BMWのアームブッシュは打ち換えが出来ないタイプもありますので
出来ない箇所はアームASSYでの交換になります。OLYMPUS DIGITAL CAMERA各部を分解する為に必要に応じて内装も分解します。OLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERA
リアアクスルメンバーも外しマウントブッシュを交換します。
セミトレーリングアームの足廻り構造はBMW社が確立した非常に優秀な足廻りですが
当時のこの足廻りを採用している車輌にお乗りの方でリアタイヤの内側が偏磨耗している車輌は
この部分のマウントブッシュの消耗を疑った方が良いかもしれません。そのまま放置すると最悪メンバーの変形につながります
マウントブッシュは純正品を使用します。社外品は無いの?と稀に聞かれることもありますが
サーキット等で使用するのであればウレタンブッシュの使用も可能ですが
日常使用するにはボディに対してダメージが多いのでおすすめはしません。
負荷がかかった時にしっかりと方向性を持って変形してくれるブッシュじゃないと他のパーツや車輌の挙動に支障をきたします。OLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERA
ショックアブソーバーとアッパーマウントは以前交換してるのですが
コイルスプリングの消耗も見られたので今回交換致しました。
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フロントのスウィングサポート。
元々付いていたサポートはゴムブーツが破れボールジョイントとしての機能を全く果たしていない状態。
ショックアブソーバーとスタビライザーに繋がり両方の動きをスムーズに連動させ動かす重要なパーツです。
グリスが切れ動きが悪くなるとショックとスタビの動きの連動がぎこちなくなったりし、乗り心地を損なわれます。
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フロントのロアアーム類、スウィングサポートと同様にゴム部の劣化によりグリスも切れてしまっています。
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フロントスタビブッシュ。大きさが変わってしまっているのが分かります。
長年の使用によって潰れて広がってしまっています。
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リアステアリングアームブッシュも見ての通り。
こうなってしまっては正常な機能を発揮出来ません。
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デフマウントも交換。おそらくは初めての交換になるでしょう。
デフの無駄な遊びを無くしプロペラシャフトからの駆動伝達をデフにスムーズに伝えます。
交換することによって古い車にありがちなアクセルを踏み込んだ時にワンテンポ置いて車が動き出すような感じではなく
アクセルを踏み込んだ時にその動きがリニアにリアタイヤに伝わり
ドライバーに車との一体感を感じさせてくれる重要な箇所になります。
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リアのスタビブッシュとスウィングサポート。
こちらも付いていたブッシュは広がっちゃってますね。スウィングサポートのゴム部も
ひび割れが酷い状態でした。
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リアショック、アッパーマウントはフロントと同様に交換してからそこまで日は経っていないので
そのまま使用します。コイルスプリングは交換。バンプラバーはボロボロで酷い状態でしたから交換させていただきました。
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セミトレーリングアームブッシュも交換。
こちらのブッシュも力のかかる方向性が決まっているブッシュなので
単に硬ければ良いというものではないです。取付け時は取付け角を気を付けて取り付けします。
ネジレが出てしまうと新品といえど本来のブッシュの機能を果たしません。
635CSI.37ステアリングロッドはASSYで交換。 ステアリングが左右に取られる場合はチェックしてみましょう。
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組み付け前に長年の汚れを取り除きます。
機能的に支障があるわけではありませんが、施工側のこだわりです。
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各アームをリフトアップした状態で仮組みし、一回接地させ各ボルトナットを規定のトルクで本締めすることにより
ブッシュの余計なネジレや歪みを防ぎます。
ゴムブッシュが使用されている箇所はフロント、リアで使用している箇所が全く別の場所でも
車輌の挙動バランスをリンクさせ良い方向に作用させる為に
非常に重要になってくる箇所になります。コトコトと異音がする箇所だけではなく
異常を感じたら車輌全体のブッシュの状態を一度確認することをおすすめしています。
635CSI.44テストランをし問題が無ければ作業は終了です。
フラフラと不安定だったステアリングの挙動も余計な遊びが無くなりカッチリとしたBMWらしさが甦り、
段差を越えた時の突き上げもその衝撃を受け止めしっかりと吸収分散しているのが分かります。
車高も随分と上がり、コイルスプリング自体の消耗も随分ありました。
ボディそのものにダメージが無く、しっかりとした手法で手直しされていく古い欧州車は
新車時を思い出させてくれる走りを再現してくれ気持ちの良いものです。

2007年08月10日