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MAINTENANCE REPORT

第29回 E30 カブリオレ

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昔から御来店いただいてるお客様から電話を頂きました。
お客様 『走行中、ファンベルト切れちゃったみたいなんだけどどうすれば良いでしょう?』
『え?今ですか?』
お客様 『いや、一昨日です。』
『どのような状況で切れたんですか?走行中ですか?』
お客様 『走行中です。バッテリマーク付いて水温計が右の方に振れたけど、走れたので自宅の駐車場まで走りました。』
お客様 『原因はなんでしょう?普通に走ってて切れるなんてあるんですかね?』
『いや普通ないですよ。走っちゃ駄目です(汗)。すぐにキャリアカーで引き取りにお伺い致します。
こんなやり取りの後、車輌を引き取りに行き、確認すると見事にベルトが千切れ飛んでいました。
原因はウォーターポンプがロックした事によるものでした。
通常走行中にベルトが自然に切れるという事は極稀で、ベルトもそこまで古くないのに
切れるには何かしらの原因があります。走行中に切れてしまった場合は2次的な故障を
出来るだけ防ぐ為、すぐにエンジンは止めた方が良いでしょう。営業中であればご連絡頂ければ
お引取りも出来ますし、いざと言う時の為にJAF等に加入しておくのも良いかと思います。
ファンベルト、ロックしたウォータポンプとタイミングベルトを新品に交換し、エンジンを掛けると・・・
エンジンオイルがヘッドガスケット周辺より滲み出してきました。
原因はオーバーヒートによるヘッドガスケット抜けによるものでした。
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お客様に、症状を説明し修理内容を相談致しました。
この車輌はカブリオレボディの上、走行はまだ40,000キロ、今となっては希少車ですし、まだまだ走れます。
運良く、腰下には全く被害が出ていないことから、ヘッドガスケット交換作業を依頼されました。
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シクネスゲージとストレートゲージで測定した所ヘッドの歪みは
基準値内に収まっていた為、ヘッドガスケットのみの交換でオイル漏れは止まりますが
普段、触れる部分では無いので、せっかくですからビッシリとこびり付いたカーボンワニス汚れを
削ぎ落とします。こういった作業がエンジンを組み上げた時のレスポンスの違いに現れてきます。
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燃焼室内も非常に多くのカーボン汚れが付着しており、ちょっと擦った位では落ちません。
しっかりと汚れを取ることにより、アクセルレスポンスやエンジンの吹け上がりの良さが全く変わってきます。
ガスケットをただ交換するだけではなく、普段、手の届かない部分にしっかりと手を入れてあげる事により、
以前よりもっと良い状態で車を乗っていただければ。と常に思いながら作業をしています。
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エンジンの各部品を組み、オイルパンガスケットからのオイル漏れも見られたので
交換致しました。同時にオイルプレッシャースイッチも交換です。
オイルパンガスケットも一度エンジンを持ち上げないと交換できない場所なので作業的は慎重に進めます。
最近、この部分からのオイル漏れを起こしているE30を良く見受けます。
気が付いたら早期に手を入れてあげる部分ですし、オイルパンにカーボンスラッジが大量に付着している場合には
同時にオイルポンプの交換を行うことをおすすめ致しております。
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全ての作業が完了し、最後にしっかりとテストランをし異常が見つからなければ
作業終了になります。走行距離があまり出ていない車輌だからという事もありますが
とにかく全てのレスポンスが軽く、全ての機関の動きが噛み合っており、走行に全くストレスを感じませんでした。
私自身、テストラン自体を楽しんでしまい、ついついググッとアクセルを強く踏み込んでしまうほどでしたし
今となっては中々ここまで良いコンディションのE30も少なくなってきた事にちょっと寂しさを覚えながらも
しっかりと手を入れてあげる事によって、本来の性能を引き戻してあげるという作業の重要性をしっかりと認識させられました。
ですがエンドユーザーの皆様は年式が古くなればなるほど他車との比較検討が難しくなる為、
何が良くて何が悪いのか判断が付かない場合も多々あると思います。
せっかく好きで買った車をどこか壊れるのではないかとビクビクしながら
乗って行くのは決しておもしろいものでは無いと思います。
気持ちよく乗って頂く為の、お手伝いとして無料の50項目の点検もしておりますし、
メンテナンスに関しての的確なアドバイスもメールや電話にて受け付けております。
お気軽にご利用していただければと思います。

2007年07月17日