【E36 M3B】法定24ヶ月点検&車検整備【150,000Km】
今回は宮城県から初めてご来店のオーナーがお乗りになるE36 M3の法定24ヶ月点検と車検整備をお伝えします。
車輛チェックを進めていくと、それなりに不具合箇所がありました。
ボリューミーな内容となりましたが、オーナーと打ち合わせしたところ
これからもコンディション良く乗っていきたいとの事で、ご提案させていただいた内容で作業を進めていきます。
エアコンを使用して一時間程すると
送風口から異音が発生するという事でブロアモーターを取り外してチェックします。
送風時の異音の原因はダクト連結部分のシーリングの劣化やフィンの破損など様々なので
写真のようにある程度分解していかないと、その原因がつかめないケースが多いですね。
今回は一時間程使用すると音が出て来るという条件があったので、直接ブロアモーターにアクセスし
モーターの動作を直接確認したところ、負荷がかかりモーターが過熱してくると
駆動がスムーズに行われなくなり、音が出始めるというものでした。
新旧のブロアモーター。
フィン部分の硬化も始まっていたので、交換時期としては良いタイミングだったのではないかと。
取り付けし、操作確認をすると異音も解消して快適にエアコンを使用出来る様になりました。
ラジエター本体にクーラントの漏れを発見。
一度ラジエター本体を取り外して全体の状態を確認。
取り外したラジエター本体。
アッパー側から水を流し込むと、内部から細かい異物が排出され、かなり汚れが堆積している事
応急処置をしてこのまま使用してもあまり意味が無さそうだったので、ラジエター本体を交換する事にしました。
新旧のサーモスタット。
水温の温度調整をするサーモスタットやパッキンもあわせて新しい物へ交換。
ラジエター本体の劣化を判断し、トータル的な冷却効率と二度手間にならないように
といった点を考えて作業を進める事が重要です。
新しいサーモスタットを装着。
これで正常な水温管理をする事によりオーバーヒートやオーバークール等の故障からエンジンを守ってくれます。
残念ながらヒーターバルブの動きもイマイチなので交換。
新旧のヒーターバルブ。
かなり汚れが溜まっていました。
ラジエターのアッパーホースとロアホースを交換。
新しいラジエター本体。
専用の機械を使用してフラッシング剤を圧送させ古い冷却水・冷却ラインの錆や汚れを同時に排出させます。
今回、冷却経路の汚れが酷かった為、通常より多めにフラッシングを繰り返し行いました。
排出した冷却水に汚れが無くなるまで、念入りに洗浄し新しい冷却水を入れ、エア抜きをしっかり行い
水廻りの整備は完了です。
ブレーキブースターから伸びるバキュームホースの劣化。
経年劣化でホースの硬化ひび割れが進行しています。
完全に断裂するとブレーキアシストが効かなくなりますし、アイドリングも不安定になりますので、
そうなる前に交換します。
新旧の負圧ホース。
ホース類は必ず経年による劣化は避けられないので、定期的にチェックして
交換時期を見誤らないようにしましょう。
アイドリングが不調との事で一度インテークマニホールドを外して点検。
インマニに繋がる各ホースも経年劣化を考え新しいパーツへ交換。
ブローバイホース、オイルセパレーター等、各ホース類を交換。
取り外してみると写真のようにOリングが切れていました。
これでは十分な機能を発揮する事が出来ません。このような小さなパーツの破損でも
アイドリング不調などを引き起こす事がある事を忘れてはいけません。
原因が分かれば何てことないパーツですが、この結果を導き出すにはそれ相応の時間がかかります。
この切れ方は恐らく組み付け時のミスでしょう。
VANOSからのオイル漏れが酷いので取り外しオーバーホール。
フロントカバーはVANOSから漏れたオイルと汚れで酷い状態です。
スプロケット周辺にもヘドロのような汚れの堆積付着が見られるので綺麗に取り除きます。
取り外したVANOSユニット。
かなりのスラッジ量なのでとにかく洗浄しオイルラインを正常に戻します。

ガスケットは必ず新しい物へ交換。
ソレノイドユニットは必ず動作チェックを繰り返し行い、正常に機能しているか確認します。
今回は特に問題無かったのでそのまま使用します。
取り付けの際にはソレノイドのOリングも新しい物へ交換。
オイルポンプ部のOリング交換。
本体のOリングの交換。
フロントカバーを洗浄後、元通りにVANOSを取り付けます。
VANOSフィルターも消耗品なので交換。
新旧のVANOSフィルター。
最後に圧力リミットバルブを交換。
新旧の圧力リミットバルブ。
ソレノイドバルブだけでなく、圧力リミットバルブも重要なパーツの一つになります。
圧力リミットバルブを装着してVANOSの修理は完了です。
新旧のカムカバー・プラグホールガスケット。
カムカバーを取り付けるボルトラバーシールも都度交換します。
このラバーシールですが、交換されない事も多く
カムカバーガスケットを交換したのにすぐに漏れが再発した・・・といった時は大概この部分からの漏れですね。
プラグホールガスケットもプラグホール内へオイルが侵入してしまいプラグ自体がオイルまみれになり
正常な点火が出来なくなる事もありますので、それを防ぐ為にも同時に交換する事が大切です。
新旧のスパークプラグ。
取り外した古いプラグを確認して焼け具合からイグニッションコイルなどに不具合が出ていないかを推測します。
焼け具合・電極の消耗に異常は無かったので新しいスパークプラグへ交換。
走行すると明らかにアーム類からの異音が出ていたのでを確認したところ
左タイロッドエンドのボールジョイント・タイロッドのラック側のジョイント部分のガタが大きく
交換が必要な状態でした。
タイロッドを外した際にその他の部分に不具合が出ていないか確認します。
新旧の左右のタイロッド。
左の消耗が著しかったのですが、左右共に交換します。
新しいタイロッドを装着して作業完了。
交換前では考えられない程にスムーズなハンドリングと音の無さに驚きます。
ブレーキは目視だけでも交換が必要な状態。
前後共に取り外して交換。
不規則な縞模様の摩耗がみられます。
同時にブレーキパッドも交換します。
新旧フロント側のブレーキパッド。
見たところ、欠けている箇所も多いですしこのまま使用するには無理がありますね。
ブレーキローターを装着。
新旧リア側のブレーキローター。
見た目でも摩耗具合がはっきりと判りますね。
新旧リア側のブレーキパッド。
レッドゾーンまで回転数を上げていくと、エンジンが振れるのが良く分かります。
街中を20~30Km/h程度では気にならないかも知れませんが、
写真のような状態でM3らしさを感じる走りは出来ませんね・・・
新旧のエンジンマウントブッシュ。
エンジンの重さがかかっておりますので明らかに大きさに変化が出ていますね。
新旧のミッションマウントブッシュ。
こちらも同時に交換。
新しいエンジンマウントブッシュを装着。
新しいミッションマウントブッシュを装着。
車検に備え下廻りのオイル汚れ等を重点的にスチーム洗浄します。
エアクリーナーを交換。
エアクリーナーケース内もしっかりと清掃します。
エンジンオイルの交換の際にオイルフィラーキャップの割れを発見。
新旧のオイルフィラーキャップ。
滅多に壊れなさそうなパーツですが苛酷な状況下にある事は間違いないので割れる事は稀ではありません。
エンジンオイルを交換。
10分~15分程アイドリングを行いフラッシング剤をエンジン内部に浸透させます。
エンジンオイルはフラッシング剤の効果で落とされたスラッジやカーボンの汚れで黒い状態で排出されます。
新しいオイルの再汚染を防ぐ為、時間をかけて内部の汚れたエンジンオイルを排出させておきましょう。
新旧のオイルエレメント。
古いオイルエレメントにはエンジン内部から出たスラッジやカーボンがたっぷりとこびりついています。
エンジンオイルを排出後、新しいエンジンオイルを規定量入れてエンジンオイルの交換は終了。
全ての作業が終了後、テストランを繰り返し問題がないかを確認し
問題が出なければ車検取得の為、陸運支局へ持ち込み車検を受けて納車になります。
ボリュームのある内容でしたが、納車後は快調になったと喜んでいただきました。
またのご来店をお待ちしております。
2017年04月03日