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MAINTENANCE REPORT

【E46 M3】フルブッシュ交換【39,000Km】

DSC07294_R本日はE46M3が無料点検で入庫致しました。走行距離は39,000Kmになります。
入庫の際にオーナーからフロントの方からコトコトと音が鳴るという事でその辺りも含め点検していきます。DSC07295_R走行距離は比較的少なかったのですが前輪部を確認するとショックアブソーバーに錆が出ておりました。
おそらく、新車納車後にすぐに取り付けられた車高調だと判断でき、かつ
凍結防止剤や融雪剤等の塩化カルシウムを使用する地域で使用されていた車輌でしょうね。
これだけの錆が出ているとう事はその他のパーツも問題を抱えている事が考えられます。
経年や錆の影響でうまくショックアブソーバーが機能していない事も考慮し、点検をしていった結果
やはりショックアブソーバーの減衰力低下、各ブッシュの経年による消耗などが目立った事もあり
オーナーと打ち合わせし、今回はショックアブソーバーを含めたフルブッシュ交換を実施する事に決まりました。
DSC07329_Rそれでは早速作業開始です。
フロント部分から取り掛かります。
取り外したのち、アッパーマウントやスタビブッシュなど個々のブッシュを確認していきましたが
経年劣化による変形などが見受けられ交換が必要な状態でした。
走行距離は少ないのですが使用していなくても日々パーツは劣化していきますので
長年一度もブッシュ類を交換されていない方は
ブッシュを交換されると乗り心地の違いに驚かされると思います。
フロントセクション取り外し後にリアセクションへ作業を移行していきます。
DSC07311_R基本はE30モデルと変わらないので、まずはリアアクスルごとボディから切り離していきます。
ここから更に各アームを分解してブッシュを交換していきます。DSC07330_Rリアアクスルキャリアを取り外した後のリア廻りです。
ボディ側に問題がないか確認しておく事も大切でしょう。DSC07331_R取り外したフロントサスペンションですが錆が多く、随分と長い間装着されていたのが想像できますね。
今回は車高調から純正形状のショック、サスに変更するのでこれでお役御免です。DSC07362_Rフロントスタビライザーブッシュの交換。DSC07364_R新しいブッシュへ交換致します。DSC07368_R新旧のサスペンションです。
新しいサスペンションはビルシュタインB12 Pro-Kitをチョイス。
錆の影響も考慮して、アッパーマウントリテーナーやサポートディスクも新品に交換致しました。
DSC07372_Rフロントロアアームコントロールブッシュの交換です。専用SSTを使用し、ロアアームから取り外します。
ここは発進時や停止時に負担の掛かる箇所なのですが
E46モデルのブッシュの中では交換頻度が、一番高いブッシュでしょう。
20,000Km程度で交換が必要になるケースも今まで確認してきています。
発進時や停止時にアクセルペダル付近からの異音や
路面からのゴトっといったような振動を感じてしまう場合には、この部分のブッシュの断裂をまず疑った方が良いでしょう。
DSC07373_R新旧のブッシュです。
ブッシュ類は装着されている状態よりも取り外してみるとその劣化具合が良く判ります。DSC07376_R各ブッシュはプレス機で古いブッシュを抜きつつ新しいブッシュを圧入していきます。
ブッシュは方向性が決まってるものがほとんどなので、圧入時にはどのように装着されているかを良く確認し作業を進めます。DSC07377_R取り付け時もSSTを使用してまっすぐにアームに圧入していきます。
まっすぐに装着しないとせっかくの新しいブッシュが損傷してしまいますので慎重に取り付けていきます。DSC07378_Rロアコンブッシュやフロントアンダー補強プレートを固定しているボルトは基本的に外したら
新品に交換が鉄則です。一度トルクレンチにより既定のトルクで締められたボルトは緩めるとその軸力が失われ
再使用する事で、固定物のガタツキや脱落などが発生する確率がグンと上がります。
ロアアームなどは先の述べたように、かなりの力が加わるところなので
取り外した際には必ず新品のボルトを使用するようにしましょう。DSC07379_Rタイロッドエンドも新しく交換致します。DSC07380_Rフロント部分はショック・サスを取り付けし、ブレーキなどを元へ戻していきます。DSC07396_Rフロントスタビライザーリンクも新しいパーツへ交換致します。
当社へ入庫前にスウィングサポートは交換されたようでしたが、純正品では無かった為、こちらも新品に交換。
DSC06188_Rリアアクスルキャリアのブッシュの打ち替えをするのですが作業に入る前に取り外したパーツはスチーム洗浄しておきます。
綺麗にするという目的だけでなく、ブッシュの圧入作業では圧入面への汚れや異物の混入は禁物ですので
作業の流れを円滑に進める為にも必要な作業だと考えております。DSC06189_Rこちらはデフマウント。
DSC06202_Rプレス機で古いブッシュを抜いていきますが、
アームのかけ方や、力の加わる方向性などを良く考えないと全く抜けてくれません・・・DSC06206_R新旧ブッシュ。
DSC06207_R全て新しいブッシュへ打ち替えしリアアクスルキャリア本体のブッシュ交換は完了です。DSC06216_R次にアッパーコントロールアームブッシュの交換です。DSC06217_R新旧ブッシュ。
DSC06220_R取り外したロアコントロールアームのブッシュを打ち替えます。DSC06222_R新旧のロアコントロールアームブッシュです。
これらのブッシュは目に見える亀裂や断裂というよりもどれぐらい偏心(本来の中心からずれる事)が
進んでしまっているのかを確認し交換の目安にする事が重要になります。DSC06223_R取り外したトレーリングアームから古いブッシュを打ち抜きます。DSC06231_R走行中は常に負荷がかかっている場所ですので装着されていた見た目よりも劣化のダメージが大きいです。DSC06235_Rナックル部のボールジョイントも交換致します。
この部分は外観で見る以上に消耗が進んでいる事も多く、このパーツの重要性を認識させられます。DSC07399_R各ブッシュの打ち替えが完了致しましたので各アームをリアアクスルキャリアへ装着致します。DSC07405_R装着の際に各アームのボルトは本締めせずに一旦仮締めで固定し、一度タイヤを取り付け転がしてから本締めしていきます。DSC07407_Rリアスタビブッシュとスウィングサポートを交換致します。
乗り心地を損なわずに左右のロールを抑える役目をしているのがこのパーツになります。
DSC07590_Rリアショックアブソーバー・リアアッパーマウント新旧。DSC07592_Rプロテクションチューブや補助ダンパー等も全て新しいパーツへ交換致します。DSC06270_Rリアショックも本締めはせずに仮締めで固定していきます。DSC06274_R作業の為、取り外しておいたフロント部の補強プレートを綺麗に洗浄致します。
下廻りに装着されておりますので汚れも凄いですね。DSC06278_R洗浄して綺麗になりました。
取り付けの際は締め付けが悪いとコトコトと異音を発生させる原因となりますので
トルクレンチを使用してしっかりと致しま取付致します。DSC06280_Rミッションマウントを新しいパーツへ交換致します。
丁度、根元で千切れてしまっていますね。
装着状態では全く分からない状態でした。
縦に潰れずに捻じれによる消耗が進む箇所ですからこのように断裂する事は珍しくないですね。DSC06282_R最後に4輪アライメントの測定と調整を致します。
測定の前にテストランをして仮締めだった箇所を全て既定のトルクで本締めしてから再びテストランをした後に測定を致します。
E46はリアセクションの調整次第で乗り味が変わってしまう事があり慎重な調整が必要になります。
DSC06286_R更にフルブッシュ交換をした場合のセッティングはメーカーの基準値をもとに
乗り手を替えながら何度もテストランと調整を繰り返してその車輌のベストな数値へ合わせていきます。DSC06287_R調整を繰り返した後は以前とは比べ物にならない程の乗り心地が体感出来る様になりました。
当初感じていた異音も解消し快適な走行をお楽しみ頂けます。
納車後に来店されたオーナーから乗り心地の違いに非常に満足いく仕上がりとの事で喜んで頂けました。

E46は最終モデルでもブッシュの交換が必要な時期にきております。
ブッシュ類は車輌を使用していなくても経年劣化しますので今回の車輌の様に
走行距離が少なくてもブッシュの劣化により異音や乗り心地に影響を及ぼします。
人間も一定の年齢になれば人間ドック等の身体のメンテナンスが必要になる事と同様に
車輌も古くなれば通常とは違った総合的なメンテナンスが必要になってきます。
特にブッシュ類の劣化は普段使用していると気が付きにくく、交換してから乗り心地の違いに驚かされます。
E46は外観の見た目には古さを感じませんが総合的なメンテナンスが必要な時期に来ておりますので
この記事を御覧になって気になった方は当社までお気軽にお問合せ下さいませ。

2016年02月01日