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MAINTENANCE REPORT

【E36 318i】エンジンオイル漏れ修理【120,000Km】

DSC06097_Rエンジンオイル漏れの修理でE36 318iが入庫致しました。走行距離は120,000kmになります。
早速、何処からオイルが漏れているのか点検していきます。DSC06099_Rリフトアップして下廻りを確認するとオイルパン付近にオイル漏れを見つけました。
オイル漏れは滲みだすと言うよりも量は少ないですがポタポタと垂れる状態だった様です。
駐車スペースにもオイルの漏れた後が付いていたのではないでしょうか?
DSC06103_R他にオイルの漏れは無いかエンジンルームも入念に点検致します。DSC06105_Rウォーターポンプの外観もチェック、そろそろ交換時期のような・・・
…とその横にオイルの滲み汚れを見つけました。DSC06106_R拡大してみるとお判り頂けると思いますがタイミングチェーンカバーはオイル滲み汚れで真っ黒でした。
オイルパンからも漏れているようでしたが、オイル漏れの主原因はどうやらこちらからのようです。
オーナーと打ち合わせし、フロントのタイミングカバーガスケットとオイルパンガスケットの交換をメインとして
作業を進めていく事に決定しました。DSC06108_Rこのエンジンはタイミングチェーンカバーを外すにはシリンダーヘッドを降ろさなくてはいけないので
まずはインテークマニホールドから取り外し。
DSC06109_Rカーボン等の汚れが堆積しておりました。
こちらは取り外し後に専用のクリーナーで洗浄していきましょう。DSC06116_R更にカムカバー、シリンダーヘッドを取り外していきます。
DSC06119_R徐々にタイミングチェーンが見えてきました。
カバーは上下に分かれておりますので先ずは上部のカバーから取り外します。DSC06123_Rウォーターポンプを取り外し下のカバーも取り外しました。DSC06127_R取り外したシリンダーヘッドに異常燃焼等は出ていないか確認致します。
更に各バルブやウォータージャケットに腐食痕が出ていないかそれぞれ確認致します。
燃焼室は長年の走行によるカーボンスラッジの堆積がみられます。DSC06129_R拡大するとこの様な状態です。
こちらも専用のクリーナーを使用してこびりついたカーボンスラッジを取り除いて綺麗にしていきます。DSC06130_Rピストン上部のカーボンスラッジの付着具合やシリンダー内部のクロスハッチに不自然な傷が出ていないか慎重に確認致します。DSC06133_Rカーボンスラッジや古いガスケットを丁寧に取り除きました。
エンジンは非常に繊細な精度で作られておりますのでカーボンスラッジを落とすだけでも
エンジンフィーリングの向上に期待が出来ます。DSC06134_Rオイル汚れを綺麗に落としたタイミングチェーンカバー、新しいガスケット類を装着していきます。DSC06135_R古いオイルシールは取り外して新しいオイルシールを圧入。DSC06136_R新旧のクーラントホースコネクターです。
このパーツは劣化すると先端が折れたりする事がありますので経年劣化を考慮して新しいパーツへ交換致します。
DSC06137_Rシリンダーヘッドのバルブに堆積したカーボンスラッジも綺麗に洗浄し
ウォータージャケットやヘッドの歪み等も問題有りませんでした。
今回はシリンダーヘッド分解作業は無し。DSC06138_R新しいシリンダーヘッドガスケットを装着しエンジンを元の状態へ組上げていきます。DSC06143_Rシリンダーヘッドとシリンダーブロックを固定するヘッドボルトは新しい物へ交換致します。
ボルトは通常規定トルクで締め付けるとボルト自体が伸びてしっかり固定する特性になっていますので
使い回しは厳禁です。 DSC06144_Rメーカーの指定通りに締め付ける順番でトルクレンチを使用して既定のトルクでしっかりと装着していきます。DSC06148_Rエンジンの振動を吸収するエンジンマウントも年式や走行距離を考慮すると交換が必要です。
劣化したエンジンマウントはエンジンの振動を吸収出来ずに振動がそのまま室内やステアリングへ伝わり
乗り心地や他のパーツにも影響を及ぼしますので振動を気にされている方はエンジンマウントの劣化が原因かも知れません。DSC06149_R次にエンジンオイルパンガスケット交換作業です。
オイルパンを取り外して不具合が出ていないか確認します。DSC06153_R取り外したオイルパンです。洗い油で綺麗に洗浄し、古いガスケットをすべて取り除き
新しいガスケットへ交換致します。DSC06159_R新旧のエンジンマウントです。
取り外したエンジンマウントにはヘタリがみられましたので交換後には今までよりも更にエンジンの振動が吸収されますので
快適な乗り心地をお楽しみ頂けると思います。DSC06173_Rガスケット、下部のタイミングチェーンカバーを装着致しました。
更にウォーターポンプやプーリー類を装着していきます。DSC06174_Rインテークに堆積していたスラッジを綺麗に落とし新しいガスケットを装着します。DSC06176_R新旧のウォーターポンプです。
古いウォーターポンプは錆が発生していた事と上部の取り付け部が割れておりましたので新しい物へ交換致します。
こういった重要部分でもある消耗パーツは事前に劣化を考慮し、
パーツを新しい物へ交換する事で再び故障をするリスクを回避させ
結果的にメンテナンスコストを抑える事が出来ますので総合的にメンテナンスをする事が重要になります。DSC06178_Rファンベルト類も全て新しい物へ交換致します。DSC06179_R拡大して見るとベルトには亀裂が多数有りました。
定期的な点検と交換が必要なパーツです。DSC06180_R取り外した新旧のテンショナープーリー、アイドラプーリーです。
ベルトと同様に新しいパーツへ交換致します。DSC06181_R各プーリーと各ベルトの装着が完了致しました。DSC06184_R最後にカムカバーを装着します。
装着には新しいカムカバーガスケット・ラバーシールに交換致します。
特にラバーシールが劣化するとカムカバーから漏れたオイルが
エキマニへ付着したりすると非常に危険ですので必ず交換が必要です。DSC06185_R全てのパーツを装着した後に規定量のエンジンオイルを注入しオイル漏れがないか確認致します。DSC06186_R冷却水を交換し、いざエンジン始動。
この瞬間は、どんなにエンジン分解を経験しても緊張するものです。
DSC06187_R全ての作業が終了後、テストランを繰り返し走行に問題が出ていないか確認致します。
オイル漏れも解消し快適な走行が楽しめる様になりましたので、その後オーナーの元へ納車となりました。

今回は年式や走行距離も考慮すると劣化がみられるパーツが多く見つかりましたが
この車輌だけにみられる症状ではありません。
使用していなくてもゴムパーツ等は経年劣化を致しますので振動が大きくなったりオイル漏れの症状が出て来ます。
古くなれば人間と同様に車輌もメンテナンスが必要になりますが今回のE36は非常に元気なエンジンで
定期的なメンテナンスをしていればこの先も十分に楽しめる状態でした。
古い車輌はメンテナンスにコストがかかるので敬遠される方が多いですが、
手間がかかる分愛着が湧くというオーナーもいらっしゃいます。
消えていく運命にある車輌を出来るだけ長く楽しんで頂きたいですね。

2016年02月08日