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MAINTENANCE REPORT

【ALPINA B3 3.3】24ヶ月法定点検&車検整備【115,000Km】

DSC08717_R今回はALPINA B3 3.3が24ヶ月法定点検と車検整備の為入庫です。
基本的な作業を行いながら点検確認をしていきます。DSC08768_R先ずはエンジンオイル交換。
交換の際にはフラッシング剤を注入してエンジン内部に堆積したスラッジやカーボンの汚れを落としていきます。
フラッシング剤の効果でエンジン内部に被膜を構成し、スラッジやカーボンの汚れの再付着を防止する事で
新しいオイルの再汚染を防ぎます。DSC08775_R10分から15分程アイドリングを行いフラッシング剤をエンジン内部に浸透させ汚れを落とした後に
エンジンオイルを排出させます。
エンジンオイルはフラッシング剤の効果で落とされたスラッジやカーボンの汚れが混ざり黒い状態で排出されるのですが
しっかりと排出させないとエンジン内部に汚れたオイルが残ってしまい新しいオイルと混ざってしまいます。
そうならない為にも時間を掛けてオイルのしずくが垂れなくなるまで排出を行う事が大切です。DSC08777_R新旧のオイルエレメント。
フラッシングを行う事でオイルエレメントもスラッジやカーボンで真っ黒になります。
新品のオイルエレメントと比べるとエンジン内部の汚れ具合が判りますね。
交換の際には必ずパッキンも一式で交換します。DSC08769_R今回交換に使用したオイルはFUCHS TITAN Super Syn 5W-50。
厳しい基準で知られる欧州車メーカーに認められ苛酷なレースやチューニングエンジンに使用される高性能オイルで
オイルの消費量を最小限に抑え低温から高温まで優れた潤滑性能でエンジンを保護してくれる等
ALPINAのエンジンパフォーマンスを十分に引き出してくれる当社で人気のロングセラーエンジンオイルです。
DSC08723_R次にATFの交換。
当社の交換方法は全量交換です。
排出には一晩を掛けてじっくりと行います。
一般にATFの交換まであまり気にしていない方もおりますが使用していれば当然汚れますし交換は必要になります。
DSC08740_Rオイルパンを外して異常な摩耗が出ていないかオイルパン内部の磁石に付着している鉄粉の量や大きさを確認します。DSC08741_R拡大して見ると鉄粉の量も特に問題は無いですね。前回の交換が2年前、走行距離は30,000Km増えたので
丁度良い交換のタイミングでしょう。
DSC08744_R新旧のATFエレメントとオイルパンのガスケット。
右側の黒いエレメントはAT内部で発生したスラッジが付着しているのが分かりますね。DSC08746_Rオイルパンを綺麗に洗浄して乾燥させた後に本体へ装着。DSC08748_RATFを規定量注入しその後、油面を調整していきます。DSC08749_Rエンジンを始動させ油面調整を行います。
その際にATFの温度が高過ぎてしまうと膨張してしまい正確な油面調整が出来なくなってしまうので
ATFの温度管理をしながら油量の調整をしていきます。DSC08750_Rデフオイルの交換。
デフオイルは粘度が高い為、ある程度油温を上げた状態で排出させます。
内部スラッジも同様にしっかりと排出させます。DSC08754_Rドレンボルトのワッシャは必ず新しい物へ交換。
ワッシャはドレンボルトを締め付ける際に自身が潰れる事で密着性を高めますので一度使用した物は再利用出来ません。排出を終えたらデフオイルを規定量注入してデフオイルの交換は完了。DSC08764_Rパワステオイルの交換。
専用の機械を使用してフラッシングを行いパワステラインだけでなく
ギアボックス・ポンプ内に堆積した汚れを古いオイルと共に圧送させ車外へ排出。DSC08763_R交換前のパワステオイル。
汚れや劣化により透明度が薄れ赤茶色に変色してしまっています。DSC08767_R交換後のパワステオイル。
フラッシングする事でライン内だけでなくギアボックスやポンプ内のスラッジが無くならないと
このような状態にはなりません。
DSC08757_Rブレーキフルードの交換。
こちらも専用の機械を使用して古いフルードを圧送してブレーキライン内に溜まったエアや
スラッジなどを古いフルードと共に排出させます。DSC08760_R排出されたフルードに異常な錆や汚れが無かったか必ず確認します。
錆等の問題が見つかればブレーキラインを確認し原因を突き止め修理を行います。DSC08730_Rブレーキフルードは汚れや劣化で濃い紅茶色へ変色してきます。
ブレーキフルードは吸湿性が高い為、
劣化すると水分を含む事でブレーキの操作で油温が上がった際に気泡が出来易くなり
それが原因でブレーキを踏んでもスカスカと圧力がブレーキへ伝わらなくなる
ベーパーロック現象を引き起こしてしまいます。
車は走行していてブレーキを踏めば簡単に止まるイメージですが、内部ではこの様にブレーキフルードの作用で
ブレーキが機能しているので非常に重要な箇所になります。
重大な事故に合わない為にもしっかりとメンテナンスを行う事が大切です。DSC08762_R交換後のブレーキフルードはこの様に透明な状態になっています。
ブレーキフルードの劣化はタンクを開けて色の変化を見れば簡単に確認出来るので
自分の走行方法・走行環境等を考慮して交換時期を見極める事が大切です。DSC08721_Rブレーキシステムの確認。
計測するとブレーキパッド・ブレーキローター共に交換が必要な状態でした。
前後共に交換します。DSC08725_R新旧の前輪のブレーキローター。DSC08727_R新旧のブレーキパッド。DSC08726_R新しいブレーキローターと並べて見ると厚みが違っているのが判ります。
取り外したブレーキローターには特に偏摩耗は見られません。DSC08728_RDSC08729_R新しいブレーキパッド・ローターを装着して前輪のブレーキ交換は完了。DSC08734_R次に後輪側の交換。
後輪のブレーキローターはパッドの偏摩耗が原因で異常な摩耗跡があります。DSC08737_R新旧のブレーキパッド。
新しいパッドを装着する際には必ず面取り作業を行います。
そうする事でブレーキの鳴きを抑え、パッドの偏摩耗も防止できます。DSC08739_R新しいブレーキパッド・ローターを取り付けてリアブレーキの交換も完了。
パッドとローターを交換した際はテストランの際に必ずローターの焼き付け作業を行います。
焼き付けを行う事でパッドとの密着性を高めローターの歪みも防止します。
交換直後はローターとパッドの摺り合わせが出来ていない状態ですのでしばらくの間は急激なブレーキ操作は厳禁です。DSC08778_Rフロントロアアームコントロールブッシュが劣化していたので交換。
発進や停止時に負荷が掛かる場所なので他のブッシュと比べ劣化が早くなります。
発進や停止時にアクセルペダル付近からゴトゴトと異音を感じたり路面の振動を拾ってしまう場合には
このブッシュに異常が出ている可能性が高くなるのでその様な症状を感じた時は放置せずに早急な対処が必要です。DSC08783_RSSTを使用してロアコンブッシュを引き抜きます。DSC08791_R新旧のロアコンブッシュ。
ブッシュ部とブラケットが同時に供給されるのでASSY交換。DSC08792_R再びSSTを使用してロアコンブッシュを元の位置へ装着。
装着の際にはアームに対して真直ぐに圧入しないと異常な負荷が掛かってしまい
折角交換したブッシュが直ぐに損傷する場合があるので装着の際は慎重に圧入します。DSC08800_R冷却水の交換。
専用の機械を使用してフラッシング剤を注入し水冷ラインに圧送して冷却ラインに発生した錆や水垢等の汚れを
古い冷却水と共に車外へ排出。
排出後に新しい冷却水を注入して冷却水の交換は完了。
当社で使用している冷却水はFUCHS FRICOFIN G12 Plusで冷却性能に優れるばかりでなく、
不凍効果が高く水冷ラインのジョイント部のシール類の劣化が軽減される等、
防錆防蝕効果も有り非常に優れた冷却水になります。
冷却水の交換時期は様々言われていますが、基本的に車輌の年式問わず1年に一回の交換が良いでしょう。
年1回交換を行う事で交換作業だけでなくその際に各部を点検するので水漏れの発生や不具合を予防する事が出来ます。
近年の夏は非常に高い気温が続きエンジンも苛酷な状況に晒されるので冷却水の管理はしっかりと行う様にしましょう。DSC08787_Rスパークプラグの焼け具合を確認。DSC08789_R新旧のスパークプラグ。
取り外したプラグは電極が摩耗して交換が必要だったので全て新しいプラグへ交換。
プラグは古い物をそのまま使用し続けていると
始動性が悪くなったり燃費の悪化、異常燃焼等多くの不具合を引き起こします。
プラグメーカーでは約2万kmを目安に交換を勧めていますが
使用状況によっても状態は変わってきますので定期点検の際に
確認して不具合が発生する前に交換する事が大切です。DSC08790_R新旧のエアクリーナー。湿式の社外クリーナーから純正に変更。
交換の際にはエアクリーナーボックス内部にも汚れが溜まっている場合があるのでエアクリーナーを装着する前に
必ずボックス内を綺麗にしておきます。DSC08807_R新旧のマイクロフィルター。
エアコンのマイクロフィルターは思ったより汚れている事が多く悪臭の原因になります。
更に汚れたまま使用しているとブロアモーターの寿命にも関わるので汚れを確認し定期的に交換する様にしましょう。DSC08803_R最後に4輪アライメントの測定と調整を行います。DSC08806_Rアライメント調整はメーカー基準値だけを合わせただけでは
車輌によって状態が違う為上手くセッティングする事が出来ません。
テストランを行いリセッティングをしながら直進性やコーナーリングでの安定性、
ALPINA特有の走行を楽しめる様にメーカー基準値から現在の車に最適な数値を導き出していきます。DSC08801_Rオイル交換を行ったのでオイルインスペクションをリセット。DSC08802_Rリセット完了。
22,000Km~20,000Kmぐらいがエンジンオイルの交換時期になるので数値が交換時期の目安になります。
ちょっと今回は走りすぎでしたね。
DSC08834_R全ての作業が終了後、テストランを行い修理箇所や各部に異常は無いか確認。
問題が無ければ車検に備えてエンジンルーム、下廻り等スチーム洗浄を行い綺麗にしておきます。DSC08837_R最後に車検を取得。
オーナーへ車検証、定期点検記録簿、車検ステッカー、定期点検ステッカー、
アライメントデータを渡して全て終了になります。
オーナーには現在の車輌の状態や今後の消耗品の交換時期等をお知らせし
今後のメンテナンスの相談も行う様にしております。

2017年03月28日