MENU

MAINTENANCE REPORT

【E30 325i Touring】法定24ヶ月点検&納車前整備【91,000Km】

dsc09561_r売約となったE30 325i Touringの法定24ヶ月点検&納車前整備をお届けします。
登場から約20年以上経過しているモデルなのでオイル類交換などの基本的な作業を行いながら
各部に問題が出ていないか確認していきます。dsc09562_rまずはエンジンオイル交換。
交換を行う前にフラッシング剤を使用しエンジン内部に堆積したスラッジやカーボンの汚れを落とします。
この作業があるかないかで、随分とスラッジなどの堆積物の排出に変化があります。
dsc09564_r約10分~15分程アイドリングを行いフラッシング剤をエンジン内へ浸透させてからエンジンオイルを排出。
排出されるエンジンオイルはフラッシング剤で落とされたスラッジやカーボンの影響もあり真っ黒な状態になります。
エンジン内部に汚れたオイルを出来るだけ残さない様にする為、
ある程度時間をかけて出来るだけオイルパン内のオイルも排出します。
dsc09565_r同時にオイルエレメント・ドレンボルトワッシャも交換。
ドレンボルトのワッシャは締め付けた際に潰れて密着性を高める事で
オイル漏れを防いでいるので再使用はせずに必ず新品を使用します。dsc09593_r排出が終わったらドレンボルトを装着して新しいオイルを規定量注入してオイル交換は完了です。
FUCHS TITAN 10W-40 約7リットル
dsc09567_rATFの交換。
オイルパンを脱着し、全量交換で作業を進めていきます。
ATFの排出は閉店前に作業を行い翌日まで一晩掛けて排出。
こちらもエンジンオイルの交換と同様にATシステム内部に出来るだけ古いATFを残さない様にする事が大切です。dsc09582_rATFはわりと綺麗でしたが、オーナーチェンジなのでリセットです。
dsc09583_r磁石にはそれなりに金属スラッジの付着が確認出来ます。
金属粉ではなく金属片などがマグネットに付着している場合は要注意で、その時に異常が無くても近い将来
異常がが出る事も想定されますので、こういった機会でしか点検出来ない箇所に関しては十分に
内部の状態を把握する為の材料集めも重要になってきますね。
dsc09586_rバルブボディはフラッシングし、内部スラッジを排出。
dsc09587_r新旧のATエレメント。
外したATエレメントはスラッジの汚れで真っ黒な状態。
装着していたOリングは取り外し時に割れてしまいました。dsc09589_r新しいATエレメントを装着。dsc09590_r新旧のオイルパンガスケット。
一度装着されたガスケットの再使用などはご法度です。dsc09591_rオイルパンは綺麗に洗浄してから装着。dsc09592_rオイルパンを装着した後に新しいATFを注入するのですがE30はオイルレベルゲージが付いているので規定量を注入し
テストランを行いテスターで油温も確認しながら慎重に調整を行います。
ATFの交換はシビアな調整が必要な部分もあり、今ではオイルレベルゲージが付いていない車輌がほとんどなので
それなりの機材や経験がある主治医での交換をおすすめします。
FUCHS ATF4000(DⅢ)約8.3リットル
dsc09570_rデフオイルの交換。
粘度の高いオイルなので、冬などの気温が低い時には思うように排出が出来ません。
一度、走らせるなどして粘度を下げ内部スラッジと共に十分な排出をするように作業を進めていきます。
dsc09580_r新旧のドレンワッシャ。
ワッシャ類は再使用せずに常に新しい物を使用しましょう。dsc09581_r規定量のデフオイルを注入してデフオイルの交換は完了。
FUCHS HLS90約2.5リットル
dsc09578_rパワステオイルの交換。
交換前のパワステオイル。
dsc09594_r専用の機械を使用してフラッシングを行いギアボックス・ポンプ内に堆積したスラッジを集約。
フラッシングを終えたら古いオイルと共にスラッジを圧送して完全に車外へ排出させ新しいオイルを注入します。
この作業では除去したスラッジや古いオイルをパワステラインに残さない様にする事が大切です。dsc09596_rパワステオイル交換後。
交換前と比べると違いが良く判ります。
タンク内のオイルだけを排出したのでは、ポンプやギアボックス、オイルライン内に残った古いオイルが混ざり合い
オイル交換の意味が無くなるばかりか、ポンプやギアボックス、オイルラインなどへダメージを与えるケースも見られますので
適正な交換方法と定期的な交換を。
FUCHS ATF4000(DⅢ)約3リットル
dsc09597_rブレーキフルードの交換。
ブレーキフルードは吸湿性が非常に高く、劣化していくと写真のように紅茶色に濁ってきます。
吸湿性が高いので徐々に水分を含んでいく事で沸点が低下していき、ペーパーロックなどの走行不具合を引き起こす事も。
当たり前に効いていたものが、突然効かなくなった場合、冷静に対応出来る人はどれくらいいるでしょうか・・・
車検毎・2年に一度は交換するようおすすめしております。
dsc09600_r排出したブレーキフルードに異常な汚れや錆が出ていないか確認します。
異常が見つかった場合はブレーキシステムやブレーキラインに何かしらの問題が想定されるので
原因を突き止める為、ブレーキシステムのオーバーホールが必要になる場合があります。dsc09603_r交換後のブレーキフルードは御覧の様に無色透明なので劣化具合が目視で判ります。
この部分はボンネットを開け、フルードキャップを緩めれば確認出来ますので、
いつ交換したか分からない時など、ちょっと確認しても良いでしょう。
OMV Racing DOT4約2.8リットル
dsc09632_r冷却水の交換。
専用機材を使用してフラッシングし汚れや錆を浮かせ、
圧送の力で冷却ライン内に堆積した錆や汚れを古い冷却水と共に車外へ排出させます。
排出後に新しい冷却水を規定量注入して冷却水の交換は完了です。
FUCHS FRICOFIN G12約10リットル
dsc09572_rそれでは劣化部品の交換を進めていきましょう。
新旧のファン・エアコン・パワステのベルト。
亀裂が入り劣化しているので全てのベルトを新しい物へ交換。
ベルト類は摩擦熱やエンジンからの熱を受け徐々に硬化していきヒビ割れていくので定期的に交換が必要です。
特にE30までのモデルでは細いVベルトを使用しているので、プーリーの錆などによっても
劣化速度は大きく変わってきますので、定期的な点検を。
dsc09575_r新旧のエアクリーナー。
エアクリーナーは目詰まりしてくるとエンジンへ送られる空気量が減ってしまい
アイドリングの不調やパワーダウンによる加速不足、燃費の低下等の影響を与えるだけでなく
濾過しきれなかった汚れがエンジン内へ入り込みシリンダーやピストンを傷つけるトラブルを誘発するので
定期的な点検・交換が必要ですね。
dsc09577_rエアクリーナーを装着する前にエアクリーナーボックス内の清掃も必ず行います。
経年劣化でエアクリーナーボックスやダクト部分に亀裂等の損傷が出ている場合があるので確認しておきます。
新しいエアクリーナーを装着して交換作業は完了。dsc09604_r新旧のルームランプ。
電極部分がショートしていた為、新しいパーツへ交換。dsc09605_r新しいパーツを装着してルームランプの交換は完了。dsc09606_rプロペラシャフトのセンターベアリングを交換。dsc09607_rブーツが破れ、内部のベアリングの状態も良くありません。
dsc09608_rプロペラシャフトを取り外した下廻りも異常が出ていないか確認しておきます。dsc09609_r汚れ・錆などで固着しているので、外すのは一苦労・・・
dsc09612_r古いセンターベアリングを外し新しいセンターベアリングを装着。dsc09613_r新旧のセンターベアリング。
dsc09614_rスプラインの汚れを落とし新しいセンターベアリングを装着してグリスアップ後に元に戻して
センターベアリングの交換は完了。dsc09617_rタイヤは新品に交換。dsc09619_r195-65-14のサイズですが徐々に取り扱いメーカーが少なくなってきました・・・
dsc09621_r
ホイールバランス調整も当然行います。
dsc09628_rシートダンパーの交換。
シートにはバックレストに1本とシートの高さ調整用の2本のダンパーが付いているのですが、
今回はバックレストのダンパーを交換します。
経年劣化で徐々にダンパー内のガスが抜ける事でバックレストの調整が出来なくなり、走行中にシートを調整したら
そのままシートが戻らずハンドルにつかまりながら走行する等、笑い話の様ですが実際にそうなると
非常に危険ですのでシートの戻りが遅く抵抗がなくなったと感じたらダメになる前に交換して下さい。dsc09629_r運転席側は常に使用されるのでダンパー交換は助手席に比べて多いですね。
ダンパーを圧縮して装着するので、ある程度の経験と工具が必要な作業になります。dsc09630_r新旧のシートダンパー。
ダンパーの寿命は生産ロットの良し悪しでも違いますし、使用回数等でも変わるので一概に決める事は出来ません。
数年の物もあれば数十年大丈夫な物もありますが基本的にシートの戻りが悪くなれば交換した方が良いでしょう。dsc09624_r新しいタイヤを装着したら最後に4輪アライメント調整を行います。
dsc09627_r調整はメーカーの基準値だけでは行わず、基準値を元に実際に走行を繰り返して
その車輌状態に最も適した数値を導き出していきます。
経年により車輌の状態は様々に変化しているのでメーカー基準値はあくまで目安として車輌の状態に
合わせて調整する事は非常に大切な作業になります。dsc09635_r車検に備えてスチーム洗浄をして下廻り等の汚れを綺麗に落としておきます。dsc09636_r全ての作業が終了後にテストランを行い各部に不具合が出ていないか確認します。
約25年を経過している事を忘れさせるキビキビとしたTouringとしての性能を存分に楽しめる仕上がりになりました。
今回は新オーナーの希望で、抹消状態での納車となりましたので、オーナー自ら陸運支局へ持ち込みし
無事に車検取得されたと先日ご連絡がありました。またのご来店お待ちしております。

2016年11月23日