【E46 M3】法定24ヶ月点検&車検整備【79,000Km】
今回は法定24ヶ月点検と車検整備の為、E46 M3が入庫しました。
基本的な作業を行い各部に不具合がでていないか点検・確認をしていきます。
エンジンオイル交換。
エンジンは使用していると内部で発生したカーボンやスラッジが堆積してしまい通常のオイル交換だけでは
全ての汚れを排出する事は出来ません。
エンジンオイルを定期的に交換していれば
オイルの清浄性能だけで十分にエンジン内部を綺麗に保つ事は可能なのですが
交換を先延ばしにする方が多く、汚れた状態のオイルで走行している車輌が多い傾向です。
その為、当社では交換の際にはフラッシング剤を注入してエンジン内部に堆積したカーボンやスラッジの汚れを
出来るだけ落として排出する様にしています。
使用するフラッシング剤には洗浄の他にもエンジン内部に保護被膜を形成し落とした汚れの再付着を防止するので
新しく注入したオイルの再汚染を防ぐ効果が期待出来ます。
エンジンオイルはフラッシング剤で落とされた汚れと共に真っ黒な状態で排出されました。
オイルの排出には時間を掛けてしずくが垂れなくなるまで排出させる事が大切で
非常に時間が掛かり効率は悪くなるのですが
出来るだけエンジン内部へ汚れたオイルを残さない為にもしっかりと行います。
画像では判り難いのですがプレッシャーバルブからのオイル漏れがあります。
M3では定期的に交換が必要になるパーツなので交換です。
新旧のプレッシャーバルブ。ガスケットの劣化が判ると思います。
小さなパーツなのですが、一度漏れ始めると思っているより漏れの量が多いので注意が必要です。
オイル交換と同時にオイルエレメントも交換。
エレメントにもフラッシング剤で落とされたスラッジやカーボンの汚れが溜まり真っ黒な状態になります。
一度使用したパッキンは再使用せず、必ず新品へ交換。
ミッションオイルの交換。
ミッションオイルもエンジンオイル同様に交換が必要です。
ギアが噛み合う事で削られた鉄粉がオイルに混ざっていくので交換を怠るとギアが上手く入らなくなったり
異音がする等の症状が出て最悪な場合はギアが欠けてしまう場合も有ります。
鉄粉を含んだオイルのまま走行する事を考えると交換する事の重要性が判るのではないでしょうか?
ミッションオイルは粘度が高く、鉄粉を含んだオイルを一気に排出させる為に出来るだけ油温を上げ排出を行います。
排出後は規定量のミッションオイルを注入してミッションオイルの交換が完了。
ATFかギアオイルどちらを選択するかはミッションタイプでも異なりますが
両方大丈夫なケースもありますので、走り方などを考慮して選択するのも良いでしょう。
デフのセンターシール付近がオイル漏れでベトベトな状態。
拡大するとオイルの漏れ具合が判ります。
センターシールの交換の前にデフオイルを排出。
デフセンターシールの交換は遮熱板・マフラー・プロペラシャフト等を外してから行います。
フランジを外すとシールが見えるのですが、この状態でかなり染み出ている様子が判ります。
新旧のセンターシール・ロックプレート。
フランジを止めるロックプレートは一度使用した物は使用せずに必ず新しい物を使用します。
センターシールは密着性を高める為に若干きつめなサイズなので圧入の際は斜めに入らない様に
真直ぐに圧入する事が重要で、斜めに入ったり密着面にゴミや埃がついたまま装着すると
オイル漏れの原因になるので慎重に装着します。
フランジ、ロックプレート・ガスケットを装着してプロペラシャフト、
マフラー等を元に戻してセンターシールの交換が完了。
最後に規定量のデフオイルを注入してデフオイルの交換も完了。
新旧のスパークプラグ。
プラグを確認した所、交換時期に入っていたので全てのプラグを交換します。
イリジウムタイプのプラグが装着されていましたが、オリジナルプラグに変更。
以前は当社もイリジウムを使用していた時期もありましたが、
設定のあるモデルでも個体差?により点火不良やイグニッションコイルに
問題が出たりと良く分からない現象が続いたので、現在の所使用していません。
安直に関連付けるつもりはありませんが、ノーマルに戻したら問題無かった・・・という事もあったので。
新旧のフューエルフィルター。
見た目での判断はアルミケースが汚れているか綺麗か・・・というパーツなので
整備記録に車検毎に交換されている車はあまり見たことがありません・・・
交換を怠りやすいパーツなのですが、M3やアルピナ等の燃圧が高いモデルは
通常のモデルよりも特に定期的な交換が必要になります。
フィルターからは真っ黒になったガソリンが出て来る事が多く、早目のサイクルでの交換を勧めています。
パワステオイルの交換。
専用の機械を使用してフラッシングを行いポンプやギアボックス・パワステラインに
堆積したスラッジを古いオイルと共に車外へ排出させ、新しいオイルを入れ作業は完了です。
ブレーキフルードの交換。
ブレーキフルードは本来無色透明なのですが、
吸湿性が高く劣化していくと紅茶色から徐々に黒く変化していくので
劣化具合が非常に判り易くご自身でも簡単に状態を確認出来ます。
劣化したブレーキフルードは吸湿し、沸点が低下してブレーキの熱で蒸発した際に出来た泡が
ブレーキラインに発生する事で油圧が伝わらなくなり、
ペダルを踏んでもスカスカとブレーキが機能しなくなってしまう
ベーパーロック現象を発生させるので非常に危険です。
自分だけでなく他人の命にも関わる箇所なので定期的な交換をおすすめしています。
交換の際には排出されたフルードに異常な量の錆や汚れが出ていないか確認します。
異常が見つかれば原因を特定する為にブレーキラインやマスターシリンダー等を総点検する事になります。
車検に備えオイル漏れ等の汚れをスチーム洗浄で綺麗に落とします。
全ての作業が終了後、陸運支局へ車輌を持ち込み車検を取得し、車検証、定期点検記録簿、車検ステッカー、
定期点検ステッカーをオーナーへ渡して納車になります。
今回の作業はM3で良くみられるオイル漏れの修理や交換を見逃しがちなパーツの交換を行いました。
車輌により故障の出やすい箇所や点検・修理のタイミングの時期も様々なので
点検記録簿を参考に自分の車輌の状態を把握する事は、安全に走行を楽しむ為にも非常に大切な事になりますね。
2017年08月11日