【E30 ALPINA C2 2.5】24ヶ月法定点検整備&納車前整備【110,000Km】
納車してから随分と時間が経ちましたが・・・
24ヶ月法定点検整備&車検整備の為、E30 ALPINA C2 2.5の納車前整備。
車検取得の為に基本的な整備を行いながら各部のチェックをしていきます。
リフトに乗せて下廻り、サスペンション、ブレーキシステム等に問題がないか各部の状態を確認。
タイミングベルトの交換履歴をみると、前回の交換が15年1月となっています。
E30モデルのタイミングベルトの交換時期は走行方法によっても変わるので一概に言えないのですが、
一般的に約40,000~50,000kmを目安に交換した方が良いと言われています。
国産車では100,000km毎の交換を推奨しているメーカーがある様ですが、
交換時期を国産車と同様に考えている方は要注意です。
ステッカーが交換されておらず、その後に交換されているかもしれませんが
当社ではタイミングベルトが使用されているモデルに関しては
1年未満に交換がされているような場合を除いて、必ず交換してお渡しするようにしています。
ラジエーター・ホース類・冷却ファン・デスビ・各種ベルト、カバー等を外していきます。
新旧のタイミングベルト・テンショナー・ウォーターポンプ。
交換のタイミングとしては良い時期だったのではないでしょうか。
ベルト・テンショナー・ウォーターポンプ必ず1セットでの交換がセオリーですね。
新しいタイミングベルト・テンショナー・ウォーターポンプを装着。
新旧のサーモスタット。
サーモスタットは冷却水の温度管理を担っているパーツなのですが、劣化が進むと適切な温度管理が出来なくなり
それが原因でオーバーヒートやオーバークールの症状を発生させるので不具合が出る前に
定期消耗品として交換する事が大切です。
冷却水の交換。
専用の機械を使用してフラッシング剤を圧送し、冷却ラインに堆積している水垢や錆等の汚れを車外へ排出させます。
冷却水にはオーバーヒート防止・凍結防止・防錆効果等が期待出来るのですが、経年で徐々に機能は失われていくので
定期的な点検と交換が必要になります。
古い冷却水を排出後に規定量の新しい冷却水を注入しエア抜きを行って冷却水の交換が終了。
エンジンオイル交換。
排出の前にフラッシング剤を注入しエンジン内部に堆積したスラッジやカーボンの汚れを落とします。
通常、エンジンオイルには汚れを吸着して綺麗に保つ清浄効果があるのですが、
汚れていく事でその効果は薄れていきます。
取り切れなかった汚れは徐々にエンジン内部に溜まっていくのですが、通常のエンジンオイル交換だけでは
なかなか取り除く事が難しく、新しいオイルの再汚染にも繋がってしまいます。
このフラッシング剤は素早く浸透して汚れを落とすだけでなく、
摩擦からパーツを保護して汚れの再付着防止の効果も期待出来ます。
10分~15分程アイドリングを行いエンジン全体にフラッシング剤を浸透させます。
排出したオイルはフラッシング剤の効果で落とされた汚れで真っ黒な状態でした。
出来るだけエンジン内部に古いオイルを残さない様にする為、しずくが垂れなくなるまで排出させます。
新旧のオイルエレメント。
フラッシングを行ったので同時に交換。
オイルエレメントは内部に濾過紙が組み込まれオイルを濾過しながら
綺麗にしたオイルをエンジンへ再び戻すのですが、
交換を怠ると汚れが溜まって目詰まりを起こし、取り切れなかった汚れがエンジンへ回ってしまいます。
通常ではエンジンオイル交換2回に1回の交換と言われておりますが、オイル交換時期によっても
エレメントの汚れ具合が変わってくるのでコスト面から見ても毎回の交換をお勧めします。
エレメントを装着後、規定量のオイルを注入してエンジンオイルの交換が完了。
ミッションオイルの交換。
使用しているのはギアオイルでは無くATF。
AT車で使用しているイメージが強いのですが
MT車でも使用が可能でE36 M3ではATFがギアオイルとして指定されていて
低温時から効果を発揮しシフト時の抵抗が軽くなります。
ATFはギアオイルより粘度が低いのですが、交換は必ず温めた状態で行いスラッジと共に一気に排出します。
ドレンボルトの先端の磁石部に付着したスラッジを綺麗に落とし、シールテープを巻いておきます。
ドレンボルトを装着し、規定量のATFを注入してミッションオイルの交換が完了。
デフオイルの交換。
デフオイルは粘度が高いので温めた状態でないと上手く排出が出来ません。
排出の際もオイルの汚れやスラッジの具合を見て内部に不具合等が出てないか確認する事が大切です。
古いオイルを排出後、規定量の新しいデフオイルを注入して交換が完了。
パワステオイルの交換。
状態を確認すると赤黒く劣化しているのが判ります。
劣化が進むと赤みが消えて徐々に黒く変色していくので黒い状態になっていたら
要交換時期と考えて良いでしょう。
エンジンルーム内のパワステオイルタンクの蓋を開ければ
簡単に確認する事が可能なので御自身で車輌の状態を確認してみてはいかがでしょうか?
専用の機械を使用してフラッシングを行いパワステポンプやパワステラインに溜まったスラッジ等の汚れを
圧送して車外へ排出します。
排出後に新しいパワステオイルを注入してエア抜きを行い、パワステオイル交換が完了。
ハンドル操作で重要な役割を担っているオイルなので状態の変化に注意をし、定期的な交換が必要です。
ブレーキフルードの交換。
パワステオイルと同様にタンクの蓋を開ければ確認が可能です。
劣化が進むと無色透明から徐々に紅茶色へ変色していきます。
ブレーキフルードは吸湿性が高く、劣化して水分を含んでしまうとブレーキが高温になった際に水分が蒸発して
ホース内に気泡を発生させそれが原因で圧力が掛からなってしまい
ブレーキペダルを踏んでもスカスカとブレーキが利かなくなるベーパーロック現象を引き起こします。
大きな事故に直結する箇所でもありますので定期的な点検と交換が必要です。
専用の機械を使用して古いフルードを圧送してブレーキラインに溜まったスラッジなどを車外に排出します。
排出した古いブレーキフルードを確認して内部の状態を探ります。
錆が多く見つかった場合は問題の場所を特定する為にブレーキマスターシリンダーや
ブレーキシステム等の確認の為、大掛かりな作業が必要になります。
古いブレーキフルードを排出後に新しいフルードを規定量注入し、エア抜きを行いブレーキフルードの交換が完了。
交換後のブレーキフルード。
新しいブレーキフルードは画像の様に無色透明なので状態の変化も確認し易いと思います。
最低でも2年に1度は交換をした方が良いでしょう。
4輪アライメント調整。
車は真直ぐに走行させる為に適正な数値で角度が設定されています。
しかし走行する事でタイヤが減ったり、縁石にタイヤをぶつけたりする等の強い衝撃を受けると
アライメント値が変わってしまい、それが原因で不安定な走行や微振動、タイヤの片減り等の症状を引き起こします。
調整はメーカーの基準値を目安にタイヤの減り等も考慮しつつ、何度もテストランを繰り返して
快適に走行出来る様にその車に最も適した調整を導き出していきます。
車種によっても調整は様々なので細かい知識と熟練の調整が必要になります。
シートダンパーの交換。
運転席のシートダンパーが劣化していてスムーズにリクライニングやシートの高さ調整が出来なかったので交換します。
新旧のシートダンパー。
リクライニング調整用のダンパーはガス抜けしてしまうとバックレストを倒しても起き上がってきません。
シートを手で支えながらでないと調整が出来無い等、ダンパーのヘタリを感じたら早目の交換が必要です。
走行中にバックレストが倒れたままの状態になってしまうと見た目には滑稽な感じに見えますが、
実際にその様な状態になるとハンドルにつかまって身体を支えなければならなくなる態勢になるので
そのまま走行する事は非常に危険です。
ダンパー以外のパーツも可動の異常や劣化等が出てないか確認しておきます。
新しいダンパーを装着してシートダンパーの交換が完了。
スピードメーターのオドメーター・トリップメーターが動かない状態だったので取り外して確認します。
近年の車輌は殆どの車がデジタル化され動かなくなる事は稀なのですが、E30系等の80年代~90年代頃のメーターは
経年劣化で内部機構にトラブルが起きる事が多くなっている傾向です。
内部を確認すると…やはり定番の症状のギア欠けが発生していました。
使用されているギアは樹脂製なのですが、経年劣化で硬化する事でギアの歯の部分の嚙み合わせが破損してしまいます。
新旧のギアパーツ。
ギアの交換は必ず3つセットで行います。
欠けたパーツだけを交換しても他のパーツも劣化が進んでいる為、直ぐに故障してしまいます。
E30モデルではVDO社、MOTO社と2社のメーターが使用されているので、
交換の際は必ずメーカーに適したギアを用意する必要があります。
メーター内部にも注油を行う事でその他のメーターも正確にスムーズに可動するのでメーターを分解した際には
一工夫を加える作業をしています。
全ての作業を終了後、テストランを行い修理箇所やその他に問題が出ないか確認します。
その後、陸運支局へ持ち込み車検を取得し、24ヶ月定期点検記録・車検証・車検ステッカー
定期点検ステッカー等を後日オーナーへお渡して納車となりました。
今回は基本的な作業の他に経年劣化の為、パーツを交換しました。
ALPINA C2 2.5は登場してから既に30年が経過しているモデルになるので各パーツの劣化は避けられないのですが、
状態を見極めて故障する前に早めに交換をしていけば、それ程大きなトラブルには繋がらないと思います。
古いモデルは故障してからの修理だと故障箇所以外にも影響を与える事が多い為、事前に交換する事が重要です。
ALPINA C2 2.5は存在自体も非常に貴重なモデルになってきているのでしっかりとメンテナンスを行って
出来るだけ長く楽しんで頂きたいですね。
またの御来店をお待ちしております。有難うございました。
2017年07月14日