【E24 635csi】定期メンテナンス&足廻りブッシュ交換etc,,,【90,000Km】
今回はE24 635csiが定期メンテナンス&足廻りブッシュ交換の為入庫です。走行距離は90,000km。
今回は定期的なメンテナンスの他に足廻りのブッシュの交換を行います。
ちなみに前回交換は約10年前、随分と走行中の突き上げ感が大きくなってきました
当社で定期的なメンテナンスを行っているので大きなトラブルは無いと思いますが…早速作業を進めます。オーナーから運転席ドアノブを引いてもドアが開かない状態になっている・・・
との事でドアパネルなどを取り外し内部のドアメカニズムを確認。外したドアキャッチのアルミパーツ。
一見すると特に問題なさそうですが・・・よく見るとクラックが入っていて今にも断裂しそうな状態でした。
新旧のドアキャッチパーツ。新品へ交換。
この部分は開閉時に常にテンションがかかるので金属疲労を起こし亀裂が入ったと考えられます。
右ドアのインシュレーターを交換。
内ドアのドアハンドルカバーが割れていたので交換。
新旧のインナードアハンドルカバー。
経年劣化しているプラスチックパーツは操作時の衝撃で割れてしまう事が多いですね。
機能的には割れていても問題の無いパーツではありますが、何となくそのままではションボリしてしまうものです。
廃番になる前にこういったパーツは手配しても良いかも知れませんね。
交換して綺麗な状態になりました。
右ドアのウィンドウモールが裂け走行中、室内に風切り音が酷く鳴り響く原因になっていました。
上部も亀裂が入っています。
新旧のウィンドウモール。
クーペボディのウィンドウはガラスとモールがしっかりと密着することにより
雨水の浸入などを防いでいるので、一箇所でも破れてしまうとその役割は果たせなくなります。
高価なパーツでもあるので補修がきけば良いのですが、そうもいきません・・・
エンジンオイルの交換。
交換の前にフラッシング剤を注入してエンジン内部に堆積したスラッジやカーボンの汚れを落とします。
車を使用しているとエンジン内部にスラッジやカーボン等の汚れが発生するのですが、
定期的にオイル交換を行っていればエンジンオイルの洗浄効果だけでも内部はクリーンな状態を維持出来ます。
しかし、交換時期を先延ばしにしてしまう方が多く、
エンジンオイルの効果だけでは落とせない汚れが徐々に溜まってしまいます。
その為、当社ではエンジンオイル交換の際にはフラッシング剤を使用して
出来るだけエンジン内部をクリーンな状態にして
汚れが原因で起こる燃費の悪化や異音の発生、エンジン出力の低下等を防ぐ様にしています。10分~15分アイドリングを行ってフラッシング剤を浸透させて汚れを落してから古いエンジンオイルを排出。
フラッシング剤で落とされた汚れと共に黒くなった状態で排出…と思っていたら
排出されたオイルは若干白く濁った状態でした。
エンジンオイルは水分が含まれると乳化して白く濁った状態になるのですが、
機械的な故障以外の原因はエンジン内部の結露によるものが殆どです。
通常はエンジンオイルに水分が含まれてもエンジンが高温になる事で水分は蒸発するのですが、
短い距離しか使用しない車輌はエンジンが高温にならない為、
水分が蒸発出来ずに徐々に混ざり合ってオイルが乳化してしまいます。
この程度でしたら問題の無いレベルですが、余りにも酷い場合はエンジンの調子も当然悪くなります。
乳化を防ぐには週1程度で長距離を走行してエンジンを高温状態にして水分を蒸発させれば良いのですが、
なかなかそう思っていても、思い通りにはならないものです。
チョイ乗りが多いな・・・と感じた時は通常よりも早目のオイル交換を心掛けるのが良いかも知れませんね。
新旧のオイルエレメント。
新しいエレメントを装着し、規定量のエンジンオイルを注入してエンジンオイルの交換が完了。
ボンネットダンパーの交換。
新旧のボンネットダンパー。
ダンパーは内部のガスやオイルの力を利用してボンネットを支えているのですが、
経年で内部のガスやオイルが徐々に抜けてしまう事でボンネットを支える事が出来なくなってしまいます。
そうなると重いボンネットが自然に下がってしまう事で中途半端に開いた状態になって頭をぶつけたり、
整備中に頭や身体を挟んだりする等で大きな事故に繋がる事があり非常に危険です。
十分に支えられずにボンネットが直ぐに下がってしまう状態になっていたら
危険なので放置せずに早急に交換して下さい。新旧のフューエルポンプ。
ジージーと鈴虫の鳴くような音が出ていたので交換。
フューエルポンプは燃料をエンジンへ供給しており、ポンプに不調が出るとエンジンが始動しなかったり、
走行中にエンストを起こす等、徐々に症状が出たりする事もあるのですが、
走行中に予兆もなく突然故障してしまう最悪のケースもあります。
その為、故障してからではなく経年・走行距離などを考慮して交換しておく事も大切で
不調が起きているのにも関わらずそのまま放置していると思わぬ場所で突然止まってしまう事もありますので
音・燃圧など古いモデルは定期的にチェックしておきましょう。
インパネのオンボードコンピューターのディスプレイが点灯不良だったので外して状態を確認。
ディスプレイは全く表示されません。
新旧のディスプレイ基盤。
電球も新品へ交換。
点灯を確認すると…ディスプレイが見事復活。
各操作や機能も問題無く正しく表示されます。
オンボードコンピューターは壊れていても
走行不能になる訳では無いので故障をしてもあまり気にされない方もいますが、
自身の走行情報が随時確認出来る等、走行方法を見直せば燃費の向上にも役立てる事が出来るので、
そんな情報を駆使しながら走行するのもドライブする楽しみの一環でしょうか?
クーラントレベルセンサーの交換。
クーラントレベルセンサーは冷却水の量が少なくなると感知してエラーとしてドライバーへ警告してくれるのですが、
センサー不良で冷却水が入っているにも関わらずエラーが出る事があったので新品へ交換。新品のクーラントレベルセンサー。
同時に使用する配線も新しいパーツへ交換。冷間時・温感時共にエラーが出ないか確認してクーラントレベルセンサーの交換が完了。
足廻りのブッシュ一式を交換。
車輌には多くのブッシュが使用され、ブッシュが走行中の振動や捻じれ等を吸収する事で
安定した走行を実現しています。しかし、ゴム製のパーツなので使用していくと
経年劣化でブッシュ自体の硬化や走行による外的衝撃により劣化が進み
路面からの衝撃を吸収出来ずに亀裂が入ったり、酷い場合は破損してしまいます。
そうなると異音の発生だけでなくタイヤの偏摩耗、ハンドルが取られたりする等、
その車の醍醐味は全く味わえなくなります。
フロントセクションのブッシュ・ボールジョイントアーム一式。
どうしても足廻りを構成しているパーツ点数が多い場合、
駄目になっている一部のブッシュやアームを交換するケースが見られますが
今回の様に一度に全てのブッシュやアーム類の交換時期を統一する事は
次回の交換の計画を立て易くなるばかりか、交換の度に掛かる時間や工賃が一度で済む事もあり
メンテナンスコストの軽減に繋がります。
全てが新しいブッシュになる為、トータルバランスにも優れて非常に安定した状態を維持する事が出来ます。新旧のフロントアッパーマウント・スプリングマット。
スプリングマットの交換は状態の変化が小さく見逃されてしまう事も多いのですが、足廻りブッシュの交換では
必ず交換しておきたいパーツです。フロントセクションのパーツを外します。
脱着の際はブレーキシステムや各ホース類を傷付けない様に注意をしながら作業を進め、
同時にその他に問題が無いかも確認しておきます。新旧のコントロールアーム・スラストロッド。
全てAssy交換。新旧のステアリングロッドアーム。
こちらもAssy交換。ボール・ナットステアリングギアボックスはどうしてもこのロッドに負担がかかりますので
交換頻度は多めでしょう。
新旧のフロントスタビリンク・スタビブッシュ。
リアセクションのブッシュ一式。
マフラー等を外し、リアアクスルキャリアを降ろします。
降ろしたリアアクスルキャリア。
アクスルメンバーに亀裂や歪み等が出ていないか確認。
ブッシュ交換の為、更に左右のセミトレーリングアームを外します。デフ本体・ドライブシャフト・リアスタビライザー・リアスィングサポート・リアディスクローター
リアアクスルキャリアを外した下廻りも各パーツに異常が無いか確認。
リアサスペンション・アッパーマウント・スプリングパッド
リアアクスルキャリアはブッシュ交換の為、左右のセミトレーリングアームを外します。
今回はハブベアリングも交換します。
スライディングハンマーを使用してハブフランジを外します。ベアリングプーラーでベアリングを引き抜きます。
新旧のハブベアリング一式。
スナップリング、ハブナットも必ずセットで新品へ交換。リアアクスルメンバーのマウントブッシュの交換。
セミトレーリングアームの足廻り構造はBMWが開発した画期的な足廻りなのですが、
マウントブッシュが摩耗してしまうとリアタイヤの内側が偏摩耗が酷い場合などは
放置せずにマウントブッシュの状態を確認して下さい。
放置したまま乗り続けるとアクスルメンバーが変形してしまう事があるので注意が必要です。
SSTを使用してセミトレーリングアームブッシュを交換。
新旧のセミトレーリングアームブッシュ。
新旧のリアステアリングアームブッシュ。
新旧のデフマウント。
新旧のリアのスタビブッシュとスウィングサポート。
前後共に各ブッシュに特に大きな破損は無く、交換のタイミングは良かったと思います。
ブッシュ交換は破損する前に経年や走行距離・車の挙動を考慮して交換する事が大切で
破損してしまうと様々な箇所へ負担を掛けるばかりか
アクセルメンバーやセミトレーリングアームの変形に繋がるので注意をしなければなりません。
ブッシュの劣化は様々な症状として発生するので、異音がしたりアクセルペダルを踏んでも加速が追い付いてこない
コーナリングが不安定等、走行中に違和感を感じたら要チェックですね。
各ブッシュを交換後にリアアクスルキャリアを本体へ戻します。
リアステアリングアームブッシュはセミトレーリングアームの横方向の力を吸収する重要なパーツです。
ブレーキフルードの交換。
専用の機材を使用して圧送させてブレーキライン内で発生した錆や水垢等の汚れを古いフルードと共に排出。
マフラーを車体へ戻します。
リアと同様にフロントのハブベアリングを交換。
新旧のハブベアリング一式。
ハブナット・ベアリングキャップ等も全て新品に交換。
ダストキャップを再使用している車を見かけますが、ハブベアリングの寿命が確実に短くなる為、再使用は不可です。足廻りの作業を終えたらテストランを行い足廻りを馴染ませた後に各部のボルトナットを本締めして固定をして
最終的に4輪アライメントの測定と調整を行い仕上げていきます。
調整はメーカーの基準値を元に現状の車輌に最も適した値を導き出す事が重要でタイヤの摩耗だけでも調整は
違ってくるので納得出来るまでテストランを繰り返しながら調整を実施。
全ての作業を終えたらテストランを行い修理箇所やその他に問題が無いか確認します。
各ブッシュをとハブベアリングを交換した事で操作感もキビキビとした反応で
非常にクイックなコーナーリングが可能になりました。
これで納車・・・の予定だったのですが新たなミッションを継続中です。
2017年07月09日