【E36 ALPINA B3 3.0/1】各部メンテナンス【50,000Km】
本日はE36 ALPINA B3 3.0/1が各部のメンテナンスの為入庫です。
オーナーによるとブレーキをかけた時に違和感を感じるそうで、ブレーキに何かしらの問題を抱えている様です。
ブレーキを中心に原因を探りつつ各部の点検・作業を行っていきましょう。
下廻りを確認すると直ぐにオイル滲みを発見。
漏れたオイルに砂埃が付着して黒く汚れています。
漏れたオイルのしずくは、色やオイルの状態から推測するとパワステからのオイル漏れの様です。
こちらにも漏れたオイルのしずくを発見。
オイルの状態を確認するとこちらはどうやらエンジンオイルのようですね。
エギゾーストを固定するブラケットの断裂。
アイドリングやテストラン時に下廻りからの打音が気になっていましたが、原因はココにありました。
これだけでマフラーが脱落する事はありませんが、こちらは交換します。
ちなみにALPINA専用パーツになります。
まずはエンジンオイル漏れ修理とオイル交換から開始しましょう。
排出の前にフラッシング剤を入れ、アイドリングで10~15分程エンジン内部の汚れを集約させます。
そして排出。
汚れたオイルをエンジン内部に残さない様にする為、
時間を掛けてしずくが垂れなくなるまで排出します。
新旧のオイルエレメント。装着に使用するOリング類も新品へ交換。
古いエレメントは汚れを吸着して真っ黒な状態でした。
エンジンオイル漏れはカムカバーのガスケットの劣化が原因だったので
カムカバーを外し新しいガスケットへ交換。
カムカバーを外し、丁寧に古いガスケットを取り除きます。
古い液体ガスケットが張り付いたまま新しくガスケットを装着してもすぐに漏れにつながるので
装着前に綺麗に除去しておきます。
新旧のカムカバーガスケット一式。
カムカバーガスケット・プラグホールガスケット・カムカバーを固定するボルトのラバーシール。
ポイントを抑えながら液体ガスケットも併用しながら装着します。
ボルトのラバーシールの交換をしていない車も良く見かけますが、
ここを交換しないとせっかく交換してもすぐにオイル漏れが発生する事もありますので
必ずこの3点は同時交換しましょう。
カムカバーを装着したら新しいエンジンオイルを規定量注入してエンジンオイル漏れとエンジンオイル交換が完了。
今回入れたオイルはFUCHS TITAN Super Syn 5w-50をチョイス。
低回転域から高回転域まで気持ち良くスムーズな走行が可能になり当店でも人気が高く
ALPINAやM3のオーナーには長年高評価を頂いているオイルです。
パワステのオイル漏れはパワステラインの劣化が原因。
ラインの構造上の問題からどうしてもゴムホース部分と
スチールパイプ部分のカシメ箇所からの漏れが良く見られます。
新旧のパワステオイルライン一式。
ホースバンド、ワッシャガスケットも全て新品へ交換。
パワステオイルライン一式を装着。
パワステオイルの交換。
ホース取り外し時にある程度のオイルは抜けますが、
ギアボックスやポンプ内のオイル全てが排出されるわけではありません。
専用機材を使用してフラッシングを行い、
ポンプやギアボックス内に固着したスラッジを古いオイルと共に車外へ圧送します。
排出後、新しいオイルを規定量注入・油面調整をしてパワステオイル交換が完了。
デフオイル交換。
オイルは粘度があるので温めた状態で行い、内部で発生したスラッジと共に一気に排出します。
ドレンワッシャガスケットは自身が潰れて密着性を高めるので一度使った物は再使用出来ません。
必ず新しいワッシャを使用して装着します。
オーナーが気にされていたブレーキの違和感ですが、確かにテストランで確認すると
ピストンが綺麗に動いていないのかな・・・という症状。
ブレーキング時に微妙にステアリングが取られ、ペダルにも僅かなジャダーのような振動が伝わります。
発進時などに違和感は感じなかった為、ロアアームに問題は無さそうです。
ブレーキキャリパー本体に問題があるとすれば、
外さないと何も始まらないので、全てのキャリパーを外し状態を確認。
ピストンをキャリパーから抜くにはエアーの力を利用して抜くわけですが
正常なピストンは抵抗も無く、スポンと抜けます。
今回は、フロントリアそれぞれ片側のピストンを抜くのに非常に時間もかかった事で
微妙にスティックしていた事が想定できたので、全てのピストンの研磨清掃、シールの交換を実施します。
ピストンは錆や汚れを研磨し再使用。
今回は特に問題は無いですが、傷や腐食痕などが深い場合は新品交換になります。
こればっかりはピストンを抜いて目視で確認が必要なので
ピストンは耐水ペーパーやコンパウンドを使用して表面を綺麗に磨いて整えます。
同様にキャリパーのシリンダー内部も綺麗にしておきます。
ブレーキキャリパーのオーバーホールキットを使用して各シール類を交換。
異物や水分等が入り込まない様にピストンを組込んで車体へ装着。
キャリパーを取り外す際に、フルードが流れてしまった為、4輪エア抜き作業。
排出したフルードに異常な錆やスラッジが無いか確認し、異常が見つかれば問題を突き止める為、
マスターシリンダーやブレーキラインを外す等の大掛かりな作業が必要になります。
折れてしまっていたマフラーハンガーブラケットを外して新しいパーツへ交換。
新旧のマフラーハンガーブラケット・マフラーバンド。
古いパーツは根元から折れていました。
補強も考えましたが、今回はそのまま装着します。
バッテリー交換時期。
交換したバッテリーは欧州車でも信頼性や装着率が高いVARTA製をチョイス。
オイルインスペクションのリセット。
E36のメモリは一コマ約3,000km。
M3やALPINAモデルは3,000~5,000kmを目安にオイル交換をお勧めしているので、
一コマ消えた時点でオイル交換時期として考え、二コマ消える頃には確実に交換時期と考えた方が良いでしょう。
オイルインスペクションのリセットが完了。
全ての作業を終えたらテストランを行い、修理箇所や走行フィーリング等に問題や違和感がないか確認します。
ブレーキ操作から違和感が消えスムーズな安心した走行が楽しめる様になりました。
今回はオイル漏れとブレーキに関する修理を行いました。
ブレーキのトラブルは自分だけでなく他人の命に関わる事なので
大きなトラブルになる前に解決できて良かったと思います。
2017年09月03日