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MAINTENANCE REPORT

【E30 320i】エアコン修理&etc,,,【60,000Km】

E30 320iがエアコン修理の為入庫です。走行距離は60,000Km。
年式的にもエアコン修理の依頼が多いのがやはりE30モデルですね。
ACコンプレッサーの不具合によるトラブルが一番多いケースですが
コンプレッサーを交換したにも関わらず、数か月後にまた効かなくなる・・・というようなケースもありますので
古いモデルはコンプレッサーだけでなく、冷媒ライン内の錆や汚れなども気にしながら
総合的にエアコンシステム全体を確認しながら作業を進めていきます。エアコン修理の前に・・・
基本的なメンテナンスとしてエンジンオイルの交換を行います。
交換の前にフラッシング剤を注入して通常のオイル交換では排出されない
堆積しているスラッジやカーボンの汚れを落とします。
10~15分程アイドリングを行ってフラッシング剤をエンジン内部へ浸透させて汚れを落とした後、
エンジンオイルを排出。
排出されたオイルはフラッシングの効果で落とされた汚れを含んで真っ黒な状態でした。
排出した古いオイルに異常な汚れや金属片等が混ざってないか確認を行いエンジン内部の状態を探ります。
新旧のオイルエレメント。
フラッシングの効果で落とされた汚れを吸着している為、エンジンオイル交換と同時に交換。
エレメント内にはジュース1本分程(約100~500ml)の古いオイルが残っていて
オイル交換の際には排出されない為、そのままでは新しいオイルの再汚染に繋がります。
オイルエレメントは比較的安価なパーツですし、オイルの再汚染を防ぐ為にも毎回の交換をおすすめしています。内部に汚れたオイルを出来るだけ残さない様にする為、
排出には時間を掛けてオイルが垂れなくなるまでしっかり行う事が大切です。エンジンオイルの排出を終えたら新しいオイルエレメントを装着して
規定量のエンジンオイルを注入してエンジンオイル交換が完了。エアコンの修理。
早速、コンプレッサーを取り外し、各部をチェック。
コンプレッサーからの冷媒ガス漏れが確認できたので、コンプレッサーは交換です。
R134a対応のコンプレッサー。
R134aはR12に比べてエアコンの効きはマイルドな印象になるのでR12冷媒ガスの効きを知っていらっしゃる方は
使用感には賛否あると思いますが、こればかりはどうにもなりませんので
R134aにレトロフィットします。
あわせてエキスパンションバルブも新品に交換。
エアコンは冷媒に高圧をかけて圧縮する事で液体に変化させ、この液化した気体が常圧で気体に戻る時に
周りから熱を奪っていく作用を利用して冷却しています。
エキスパンションバルブは液体になった冷媒をエバポレーターへ噴射して気化させる役割を担っているのですが、
経年劣化でドライコンテナで取り切れなかった不純物等が徐々に詰まってしまい冷媒を充分に噴射が出来無くなる事で
冷却効果が低減してしまいます。
新旧のエキスパンションバルブ。
冷媒ラインは通常、真空状態で保たれているので管内に錆が発生することは少ないのですが
冷媒ガス漏れを長く放置してしまっている車輛などは管内が真空に保たれず、そこから錆の発生を誘発します。
今回は、冷媒ラインの洗浄で済みましたが、場合によっては冷媒ラインの交換が必要になるケースもあります。
新旧のドライコンテナ。
ドライコンテナは液化した冷媒を濾過する事で発生した水分や
コンプレッサーから出たアルミ粉を取り除いているのですが、
流入量を維持する為、微細な汚れを取り除く事が出来ずにエキスパンションバルブへ送られてしまう場合があります。
その為、定期的な交換が必要なのですがエアコンの故障等で交換する事が多く、
故障しなくても定期的に交換している方は殆どいないのが現状です。
コンプレッサーを装着して真空引き・ガスチャージを行いエアコンの動作確認を行います。エアコンの吹き出し口にサーモメーターを装着して温度を計測。
問題無く冷却する事を確認してエアコンの修理が完了。
全ての作業を終えたらテストランを行い修理箇所やその他に問題などが出ていないか確認を行い、
問題が無ければ後日オーナーの元へ納車となります。

今回はエアコンの修理を行いましたが、E30は古いモデルなのでメンテナンスが不十分な場合は
各部に問題を抱える事が多くなっていると思います。
多少でも違和感を感じたら早急に対処しないと被害が拡大する場合があるので注意が必要なのですが、
まだパーツも手に入る状態で定期的なメンテナンスを行っていれば十分楽しめるモデルですので
今後もより長く楽しんで頂きたいですね。

2017年07月28日