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MAINTENANCE REPORT

【BMW X5】24ヶ月法定点検&車検整備【89,000Km】

今回はBMW X5が24ヶ月法定点検と車検整備の為入庫です。
このX5は初代モデルの中でも最高グレードの4.8is 4798ccのV8エンジンを搭載し初代モデルの中では唯一6速ATを採用、
価格も1,000万円以上とスポーツカー並みの価格と性能に驚かされました。
今回は基本的な点検と車検整備のメンテナンスメニューで作業を進めます。
エンジンオイル交換の前にフラッシング剤を注入して内部の汚れを落とします。
オイルの管理が不十分だと本来の性能を発揮する事が出来なくなる為、高性能なエンジンを搭載しているモデルは
性能を維持し、燃費の低下を防ぐ為にもエンジンオイルの管理には注意が必要です。
10分~15分アイドリングを行ってフラッシング剤をエンジン内部へ浸透させて汚れを落とし、
古いエンジンオイルと共に排出。
思ったよりも汚れは少なくオイル管理もしっかりとされている事が分かりますね。新旧のオイルエレメント。パッキンやドレンボルトのガスケットワッシャも新しい物へ交換。
オイルエレメントを装着してから規定量のオイルを注入。
V8エンジン搭載の最大排気量のエンジンは約8リッターのエンジンオイルが入りました。4輪駆動なのでフロント側にもデファレンシャルギアがある為、先ずはフロント側のデフオイル交換。
粘度が高い為、必ず温めた状態で内部で発生したスラッジと共に排出させます。
排出したオイルに異常な金属片等が混ざっていないか確認。排出を終えたら規定量のデフオイルを注入してフロント側のデフオイル交換が完了。リア側のデフオイル交換。
流れはフロント側の交換と同様に作業を行います。
排出を終えたら規定量のデフオイルを注入してデフオイル交換が完了。
トランスファーオイルの交換。
トランスファーは4輪駆動車に付いている機構でエンジンからの駆動力を前輪と後輪に分配する役割を担っており
デフオイルと同様にトランスファーギアを可動させる為にトランスファーオイルが注入されています。
トランスファーのオイルはBMW純正を使用。
繊細な機構なので車検毎にはチェックし、汚れが目立つようであれば交換した方が良いでしょう。排出を終えたら規定量のトランスファーオイルを注入して交換作業が完了。前輪のブレーキを確認するとブレーキローターとパッドの消耗が多く、交換が必要な状態でした。
大きなエンジンを搭載し制動時にも車重が掛かる為、リア側よりもフロント側の方が負担が大きく摩耗も早い傾向で
スポーツ走行も楽しめるモデルなのでしっかりと減速する為にもブレーキの摩耗には注意が必要です。ローターを交換する際に同時にブレーキシステムに錆やフルード漏れ等の異常が無いか確認しておきます。新旧のブレーキローター。
摩耗具合に関しては大きな傷や異常摩耗も無く特に問題は有りません。新旧のブレーキパッド。
こちらも使用状況には問題無く、欠けや異常磨耗は無し。
新品のパッドはそのまま取り付けてしまうと音鳴りする事が多く、取り付けの前にパッドの面取りを行って
音鳴りを防止し、更に面取りをする事によりブレーキの利きも良くなります。新品のブレーキパッドと比べると消耗具合が判ります。
ブレーキパッドは使用していくと摩耗して異音を発生させるのですが、
異音の要因は様々で摩耗以外の原因でも鳴る事が有り、
異常を知らせている事が多いので、気になる音が鳴り始めたら早めに点検を行って下さい。
問題無く停止するから音ぐらい気にならないと放置していると、
更に被害が拡大して取り返しのつかない事になりかねないので
ブレーキの異常は見逃さないで下さい。
新品のブレーキパッドとブレーキローターを装着。
基本的にこの2点はセットで交換するのですが、どちらかがまだ使用出来る状態だからとそのまま使用してしまうと
古いパーツには摩耗のクセが付いている為、新品のパーツに悪影響を及ぼして本来の性能を発揮する事が
出来なくなってしまうので使用は控えた方が良いでしょう。
新旧のブレーキパッドセンサー。
高年式のモデルではパッドが多く残っている状態からセンサーが削られパッドの残量を自動計測しながら
残量を管理するシステムになっている為、パッドと同時に交換が必要です。ブレーキフルードの交換。
ブレーキフルードは吸湿性が高く水分を含むとブレーキ経路内に水垢や錆を発生させ、最悪の場合含まれた水分が
ブレーキの熱で蒸発して出来た泡がブレーキの油圧を妨げる事でブレーキが利かなくなる
ベーパーロック現象を引き起こします。
ブレーキフルードは車輌を使用するしないに関わらず徐々に劣化していくので定期的なメンテナンスが必要です。
単にブレーキフルードを交換するだけでなく、
交換の際に古いブレーキフルードに異常な汚れや錆が発生していないか確認して内部の状態を探ります。
交換後のブレーキフルード。
交換後は画像の様に無色透明。
ブレーキフルードの劣化は透明から徐々に紅茶色から黒く変色していく為、
ご自身でもチェックする事が可能なので定期的に確認しておくと良いでしょう。冷却水の交換。
専用の機械を使用してフラッシング剤を注入し冷却ラインに堆積した
汚れや錆等を浮かせて古い冷却水と共に車外へ圧送。
単に交換するだけでなく経路内をフラッシングしておく事で冷却効率を向上させ、
ウォーターポンプの不具合を抑えて冷却水漏れ等も低減させます。
冷却水の交換時期は1年を目安として行うようおすすめしていますが
使用環境により様々なのでご自身の使用環境を考慮して判断する事が大切です。
近年では10年交換不要という商品もある様なのですが、ウォーターポンプ等の冷却システムの経年劣化を考慮すると
冷却水の寿命だけを延ばすより定期的に新しい冷却水へ交換し、
その他のパーツも同時に点検する方が安心ではないでしょうか。ATFの交換。当社の交換方法は全量交換になります。
圧送方式はAT内部にスラッジが詰まる危険性が有る為、行っておりません。
閉店間際から作業を行い一晩掛けて排出させる為、最短でも1泊2日の作業工程なのでご注意下さい。
今回排出したATFは定期的に交換されているので状態も問題無さそうです。排出後にオイルパンを外します。ATFはそれなりに綺麗でしたが、オイルパン底部にはそれなりにスラッジの堆積がありますね。
洗浄油でオイルパンを綺麗に洗浄。新旧のオイルパンガスケット。
ガスケットは自身が潰れる事でパーツとの密着性を高める為、再使用は不可なので必ず新品のガスケットを使用。
稀にガスケットを再使用されたのか液体ガスケットで固められた車輌を見る事があるのですが、
粗悪な作業は再び不具合を発生させるので、どの様な作業を行われていたのか把握しておく事は大切です。ATF漏れ防止の為、パッキンと一体型のドレンボルトは新品へ交換。
ATFの注入は多くても少なくても不調に繋がる為、シビアに油面調整を行うのですが、温度が高くなると膨張して
正確な調整が困難になってしまう為、温度管理をしながらテストランを行ってしっかりと調整を行います。

全ての作業を終えたら最終のテストラン行い作業箇所に不具合が無いか、ブレーキの摺り合わせ等も含めて確認。
ブレーキの慣らしは通常の走行なら300~1,000Km程で完了するのですが、慣らし中の急ブレーキや急ハンドルは
ブレーキローターやブレーキパッドを傷める原因になるので行わないようにしましょう。
テストランで問題が無ければ陸運支局へ持ち込み車検取得し、
オーナーへ車検証、定期点検記録簿、車検ステッカー、定期点検ステッカーを渡して納車になります。

初代モデルは登場してから15年以上経過している為、そろそろ各部のメンテナンスが気になる所なのですが、
不具合が発生する前に対処しておく事が重要で、故障による被害を低減する事が重要です。
当社では50項目の無料点検も行っておりますのでご自身の車輌で気になる事等がありましたら気軽にご利用下さい。

2017年12月03日