【E65 735i】各部メンテナンス【90,000Km】
 6月も終盤に差し掛かった来ました。
6月も終盤に差し掛かった来ました。
梅雨も本格的に始まり今週は一週間丸々雨マークが・・・と思っていたら本日は晴れてくれました。
雨だと作業効率はどうしても落ちますが、
レストアから車検一般整備まで毎日モクモクと元気にこなしていきましょう。
今回のメンテナンスレポートは、初めてご来店のE65 735iの各部メンテナンスをお届け致します。
E65モデルからガラッと雰囲気を変えたBMWで、私たちから見るとデザインの古さを感じさせない風貌なのですが、
リリースされたのが2001年で最終モデルでも2009年となり、既に10年以上が経過している事もあって
総合的なメンテナンスが必要になって来ている時期だと思います。
オーナーによるとエンジンルームからの異音が気になるとの事なので
走行距離・経年を考慮しながら各部のチェックを進めていき、作業を進めていきましょう。
 ボンネットを開けてエンジンルームを確認しようとしたのですが、
ボンネットを開けてエンジンルームを確認しようとしたのですが、
ボンネットダンパーのガスが経年劣化で抜けてしまい、ボンネットを支える事が出来なくなっており、
点検の際にボンネットが下がってしまうと非常に危険なので、新しいダンパーが入荷するまで
応急処置として支柱を立ててボンネットを支えておきます。
あくまでも応急処置なのでボンネットダンパーが駄目だからとマネをしてメンテナンスを行わない様にして下さいね。
 冷却経路に加圧ポンプで圧力を掛けてゲージをチェックしながら冷却水漏れの確認。
冷却経路に加圧ポンプで圧力を掛けてゲージをチェックしながら冷却水漏れの確認。 ラジエターのサブタンクに繋がるホース周辺が白くなっているのを発見。
ラジエターのサブタンクに繋がるホース周辺が白くなっているのを発見。
加圧した際もにホースから冷却水が漏れ出ていた様で噴出した箇所も白く跡が残っています。
この箇所は通常カバーが付いているのでなかなか水漏れには気付き難く、このままの状態で更に水漏れが進めば
冷却不足でオーバーヒートに繋がっていたかも知れません。
 新旧のボンネットダンパー。
新旧のボンネットダンパー。
ダンパーは中にガスが充填されガスの圧力でボンネットを支えているのですが
経年劣化で徐々にガスが抜けて圧力が低下するとボンネットを支える事が出来なくなり下がってしまいます。
メンテナンス中にボンネットが落ちてしまうと非常に危険なので必ず交換して下さい。
 ボンネットダンパーを装着。
ボンネットダンパーを装着。
これで安心して作業を進める事が出来ます。
 ヒーターバルブにも加圧した際の水漏れの形跡が有ったのでヒーターバルブを交換。
ヒーターバルブにも加圧した際の水漏れの形跡が有ったのでヒーターバルブを交換。
E65系では多くみられるトラブルなので要注意。 新旧のヒーターバルブと補助ポンプ一式。
新旧のヒーターバルブと補助ポンプ一式。
 冷却水が漏れていたサブタンクに繋がる箇所の冷却水ホース一式を交換。
冷却水が漏れていたサブタンクに繋がる箇所の冷却水ホース一式を交換。 水漏れを起こしていたパーツの交換を終えたら冷却水の交換を行います。
水漏れを起こしていたパーツの交換を終えたら冷却水の交換を行います。
専用の機械を使用して圧力を掛けてフラッシング剤を注入し冷却経路内に発生した錆や水垢等を
古い冷却水と共に車外へ圧送します。
冷却経路が綺麗になったら規定量の冷却水を注入し、エア抜きを行って冷却水の交換作業が完了。
単に冷却水の交換をするだけでなく経路内をクリーンにする事は
ウォーターポンプ等の冷却パーツの故障や水漏れを防ぎ、安定した冷却が可能になるので
基本的に年一回は交換をおすすめしています。 エンジンオイルが減っていてオイルレベル警告灯が出ていたのでエンジンオイルの交換を実施。
エンジンオイルが減っていてオイルレベル警告灯が出ていたのでエンジンオイルの交換を実施。
エンジンオイルの交換の際にはフラッシングを行ってエンジンオイルの清浄効果だけでは落とせない
エンジン内部で発生したヘドロ状に堆積したカーボンやスラッジの汚れを古いオイルと共に排出させます。
使用するフラッシング剤はフラッシングの際の摩擦を抑え保護被膜を形成して
再付着防止効果で古いオイルによる新しいオイルの再汚染を防ぎます。
定期的にフラッシングを行ってエンジン内部を綺麗に保つ事は、
性能の安定性を高め燃費の低下を防ぐ事に繋がるのでエンジンオイル交換の際に行う様におすすめしています。
 10~15分程アイドリングを行ってフラッシング剤をエンジン内部へ浸透させて
10~15分程アイドリングを行ってフラッシング剤をエンジン内部へ浸透させて
汚れを落とした後に古いオイルと共に排出。
エンジン内部は汚れが堆積していた様で古いオイルは黒くなった状態になっていました。
排出には時間を掛けて出来るだけ古いオイルが内部に残らない様にする為、
完全にしずくが垂れなくなるまで行う事が大切です。
単にオイルを排出するだけでなく排出後のオイルに金属片等の不純物が混ざってないか確認をして
エンジン内部の状態を探ります。 新旧のオイルエレメント。同時に装着に使用するパッキンも交換。
新旧のオイルエレメント。同時に装着に使用するパッキンも交換。
外したオイルエレメントは汚れが溜まって真っ黒な状態でした。
 オイルエレメントを装着後に規定量のエンジンオイルを注入してオイル交換が完了。
オイルエレメントを装着後に規定量のエンジンオイルを注入してオイル交換が完了。 新旧のベルトテンショナー・アイドラプーリー・ベルト一式。
新旧のベルトテンショナー・アイドラプーリー・ベルト一式。
冷間始動時にギュルギュルとかなり異音が出ていたので交換です。
異音はベルトの経年劣化やベルトテンショナー、アイドラプーリー内部の
ベアリングが摩耗する等が原因で発生する事が多く定期的に状態を確認して、交換していくようにしましょう。
 フューエルフィルターの交換。
フューエルフィルターの交換。
交換された形跡が無かったので燃圧を計測すると規定値よりも燃圧が低く交換が必要な状態でした。 内部のガソリンを排出すると画像の様に黒くなったガソリンが出て来ました。
内部のガソリンを排出すると画像の様に黒くなったガソリンが出て来ました。
この様な燃料がエンジンへ送りこまれていたと思うと…ゾッとしますね。
フューエルフィルターは給油の際に入り込んだ砂埃や雨水、
結露で発生した水分等を濾過して取り除いているのですが、
今回の様に汚れが堆積してしまうと燃圧が下がり、適量の燃料がエンジンに送り込まれなくなる事で、
燃費が低下したり始動不良や加速不足(吹けが悪くなる)やノッキングを起こして
エンジン不調となる原因になりますので注意が必要です。 新旧のフューエルフィルター。
新旧のフューエルフィルター。
 新旧のエアフィルター。
新旧のエアフィルター。
装着の際にはエアフィルターケース内部を綺麗にしておかないと効果が半減してしまうので要注意。 スパークプラグを交換します。
スパークプラグを交換します。 新旧のスパークプラグ。
新旧のスパークプラグ。
カーボンがプラグの発火部に付着して黒くなっていました。交換時期としては遅かったですね。
もうちょっと早めの交換をおすすめします。
この様な状態ではイグニッションコイルからの電流がカーボンを伝わって逃げる原因になり失火してしまう為、
十分な爆発力を得られなくなります。プラグは15,000km~20,000kmで交換をおすすめしていますが
走行方法やモデルによっても様々なのでご自身の車輌がどれぐらいで交換が必要なのか
把握しておいた方が良いでしょう。尚、スパークプラグの交換は数本のみを交換する事はせずに
必ず全てを同時に交換して下さいね。
 冷却水漏れで汚れてしまっていたエンジンルームを綺麗にスチーム洗浄。
冷却水漏れで汚れてしまっていたエンジンルームを綺麗にスチーム洗浄。
汚れたままのエンジンルームではオイル漏れや水漏れ等が発生した際に原因を特定するのが困難になる為、
エンジンルーム内の清掃を行います。
また、次回の点検時の誤診なども無くす為に当社では必ず実施する作業のひとつです。
 テスターでエンジンオイル・フィルター交換のリセット。
テスターでエンジンオイル・フィルター交換のリセット。
基本的に車輌に問題があればエラー表示として知らせてくれるのですが、
機械の故障でエラー表示がされない場合があるので
ご自身でもどれぐらいの期間で交換が必要なのかを把握しておくと安心です。 スパークプラグ交換の表示をリセット。
スパークプラグ交換の表示をリセット。 全ての作業を終えたら最後にテストランを行って作業箇所やその他の箇所に違和感や不具合が出ないか確認を行います。
全ての作業を終えたら最後にテストランを行って作業箇所やその他の箇所に違和感や不具合が出ないか確認を行います。
入庫の際はもたついていた加速も問題無く、E65本来の重厚感のある落ち着いた安定した走行を取り戻しました。
走行後に水漏れのチェックを行い特に問題がなければオーナーの元へ納車となります。
2018年06月19日