【ALPINAロードスター 3.4S】法定12ヶ月点検整備【7,000Km】
あっという間に3月突入しましたね。3月になった途端に春一番が吹き荒れて本日の横浜は雨です。
気温もここ数日は20度程度と春を感じさせてくれます。
やはり寒いより暖かい方が、活動的にもなりますね。
レストア・一般整備共に精力的に進めていきたいと思います。
本日のレポートは、ALPINAロードスター 3.4Sの法定12ヶ月点検整備をお伝えします。走行距離は7,000Km。
BMW Z4をベースにALPINAチューンが施され
総生産台数が367台で正規輸入されたのが約一割程と言われている希少車ですね。
今回は12ヶ月法定点検の他に各オイルのリセットやホイールのリペア・タイヤ交換などをメインに
作業を進めていきたいと思います。
先ずはエンジンオイル交換。
交換の前にフラッシング剤を注入し、エンジン内部に堆積したスラッジやカーボンの汚れを落とします。
当社で使用しているフラッシング剤はエンジンだけでなく、ミッション・デファレンシャル各オイル交換時の
フラッシングにも使用でき、且つ、清浄効果の高いフラッシングになります。
内部のスラッジを集約し、排出する性能が非常に高いフラッシング方法になりますので
オイル交換時にはデフォルトでメニューに組みこまれる作業のひとつになります。
10~15分程アイドリングを行ってエンジン内部にフラッシング剤を浸透させてから、
内部の汚れと共にエンジンオイルを排出。
排出には出来るだけ時間を掛けてしずくが垂れなくなるまで行います。
時間や作業効率から考えると非常に手間が掛かりますが、
折角新しいオイルを入れても古いオイルと混ざってしまうと再汚染されてオイル性能の低下に繋がってしまうので、
しっかりと排出させる事が大切です。
オイルエレメントの交換。
エレメントキャップのOリングも必ず交換します。
使用したオイルは人気の高いFUCHS社のTITAN SuperSyn 5w-50。
ALPINAやM3のオーナーに長い間支持されているオイルのひとつです。
規定量のオイルを注入してエンジンオイル交換が完了。
ミッションオイルの交換の前にフラッシング剤を注入して内部に堆積したスラッジを集約してから排出します。
フラッシング剤を注入後に15分から20分程テストランをし、フラッシング剤をメカニズムに浸透させます。
ミッションオイルの交換。
フラッシング剤を浸透させ排出を効率的に行う為、
ある程度、油温を上げた状態で行いスラッジと共に古いオイルを一気に排出。
排出を終えたら規定量のミッションオイルを注入して交換が完了。
FUCHS 5SPEED 75W-90
デファレンシャルオイルの交換。
こちらも同様にフラッシングしてから排出していきます。
こちらも粘度が高い為、温めてから排出を行います。
排出を終えたら規定量のデフオイルを注入して交換が完了。
FUCHS HLS 75W-90
ブレーキフルードの交換。
ブレーキフルードは吸湿性が高く、徐々に水分を含む事で沸点が低下してブレーキの熱で
含まれた水分が沸騰して気泡を作りブレーキラインの油圧を妨げる事でブレーキが利かなくなる
ベーパーロック現象を発生させる為、劣化したままの走行は非常に危険です。
更に吸湿した水分が原因で錆を発生させ、パーツにダメージを与える事で動作不良やフルード漏れを起こすと
不具合を発生させブレーキシステムのオーバーホールが必要になるので要注意。
劣化はフルードの色で判断が可能で、透明から徐々に紅茶色へ変わって色味が濃くなっていくので
高速走行や渋滞、山道の走行等でブレーキを多用する方は特に注意が必要で、
1年毎の点検の際にブレーキのメンテナンスが必要であれば都度実施するよう心掛ける様にして下さい。
ブレーキフルードは車を使用していなくても徐々に劣化していくので、
普段乗らない方も定期的に変化を確認しておくと安心です。
排出された古いブレーキフルードに異常な汚れや錆、金属片等が混ざってないか確認を行い状態を探ります。
もし問題が見つかれば原因を突き止める為、ブレーキシステム全体を外す等の大掛かりな作業が必要になります。
同時にクラッチフルードの交換を行います。
交換を怠ると吸湿した水分が原因となってレリーズシリンダー内に錆を発生させフルード漏れを起こす事も。
OMV Racing DOT4
エアクリーナーの交換。
エンジンが適切に可動するには燃料のガソリンだけでなく綺麗な空気も必要で、
空気取り込む際に不純物を取り除いているのがエアクリーナーになるのですが、
交換時期が走行環境等に左右されるので適正な交換時期を逃してしまって
目詰まりを起こしたり不純物をエンジンへ送りこんで不具合を発生させるケースもあるので、
汚れ具合は実際に確認して判断するか、ご自身の走行ではどの程度の走行距離で交換が必要なのかを
把握しておく事が大切です。
新旧のエアクリーナー。
比べて見ると汚れ具合が良く判りますね。
エアクリーナーボックス内は思ったよりも汚れている事が多くエアクリーナーを装着する前に
必ず内部の清掃を行っておきます。
エアコンマイクロフィルターの交換。
エアコンを操作した時に不快な匂いを感じた経験を持っている方は多いと思いますが、
思ったより汚れているケースが多いですね。
新旧のエアコンマイクロフィルター。
比べて見ると思ったより汚れているのが判ります。
こちらもエアクリーナーと同様に走行環境で汚れ方は変化し、交換時期はそれぞれ違う為、
エアコン操作時に不快と感じたら直ぐに交換するか、
ご自身の車輌ではどのぐらいで交換が適切なのかを把握しておくと良いでしょう。
虫の死骸等が付着してる事も多く、そこからの空気を吸っていると思うと… 定期的に交換しておきたいパーツですね。
全ての作業を終えたらインスペクションのリセットを行います。
ホイールのリペアとタイヤをミシュランのPS4Sに変更し、全ての作業は完了しました。
定期点検記録簿・定期点検ステッカーをオーナーへお渡しして納車となりました。
10年以上前のモデルになりますが、車体の状態は7,000Kmとまだまだこれからが楽しみな車輛でしたが
経年という点において、必要になるメンテナンスも今後考えてはいけなくなるでしょう。
E46のB3Sとはまた違ったフィーリングを持ち、Z4のMモデルともまた一味違うフィーリングを持った
非常に運転の楽しさを再認識させてくれる一台でした。
希少なモデルなのでいつまでも良い状態をキープして頂きたいですね。
またのご来店をお待ちしております。
2018年03月05日