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MAINTENANCE REPORT

【E36 M3C】エンジンオイル漏れ修理etc,,,【120,000Km】

7月に入って暑い毎日が続いております。本日は雨ですが湿気も多くムシムシと・・・
やはり気温が高くなると、トラブルが多くなりますね。
水廻りやエアコン関連の修理お問い合わせが多くなってきました。

本日はエンジンオイル漏れが・・・との事で入庫したE36 M3Cの作業をレポートしていきましょう。
走行距離は120,000Km。
E36 M3Cは1995年~1998年まで生産された後期モデルで
最高出力300馬力オーバーを誇る直列6気筒DOHCエンジンを搭載し、
今でも非常に人気の高いモデルなのですが、生産から約20年が経過している為、各部の不具合には注意が必要です。
高性能なエンジンを搭載している分、パーツに掛かる負担も大きくなるので
劣化や状態の変化に注意しながら作業を進めていきましょう。アンダーカバーを外すと漏れたオイルが広範囲に漏れ広がっており、
長期に放置されていたのか、漏れ出た量が多かったのか…
E36 M3Cから装着される様になったアンダーカバーなのですが、オイルが漏れ出してもカバーが受け止めてしまい
かなりのオイルが漏れ出してから気付く事が多い為、定期点検の際に確認しておくと良いでしょう。
詳しく検査を進めていくと、オイル漏れは一箇所だけでなく、数箇所からの漏れと判明したので
早速修理に取り掛かりましょう。
エンジン始動時にオイルレベル警告灯が点滅していたので
DMEにアクセスするとオイルレベルセンサーのディフェクトが残っていたので
オイル交換と同時にセンサーを交換します。
まずはエンジンオイルを排出していきます。
フラッシング剤を注入してエンジン内部で発生し堆積してしまったスラッジやカーボンの汚れを落とします。
定期的にエンジンオイルを交換していない車輌はエンジン内部に汚れが堆積してしまい、
通常のエンジンオイル交換だけでは汚れを排出させる事が出来ない為、
フラッシングを行って内部の汚れを落す必要があります。
内部の汚れが酷くなるとフラッシング剤でも除去は困難になる為、オーバーホールを行って汚れを除去したり
最悪の場合、スラッジ等を多く含んでヘドロ状になったオイルの影響で
エンジンが焼き付いて使用が出来なくなる事もあるので
常にエンジン内部を良い状態を維持する為にも定期的なオイル交換は非常に大切な事になります。10分~15分アイドリングを行って十分にフラッシング剤をエンジン内部に浸透させたら、
古いエンジンオイルと共に汚れを排出。
排出されたエンジンオイルはフラッシング剤の効果で落とされた汚れを含んで真っ黒な状態でした。
出来るだけ内部に汚れたオイルを残さない為に時間を掛けてしずくが垂れなくなるまで排出を行い、
同時に廃油に異常な汚れや金属片等が含まれて無いか確認を行ってエンジン内部の状態を探ります。オイルパンには漏れ出たオイルがベットリと付着していました。ストレーナーが付いているオイルパンカバーとエラーが出ていたオイルレベルセンサーを外します。
オイルパンカバーを外すと装着部の淵までオイルが浸み出ており、カバーに付いているOリングが劣化してしまうと
この様にオイル漏れに繋がるので注意が必要です。
新旧のオイルレベルセンサー。
経年で故障してしまう事も多いのですが、エンジンオイルの交換頻度が少ない車輛も
内部のフロートの固着などによって寿命が短くなってしまう事もある為、
定期的にオイル交換を行う事は関連するパーツの寿命にも繋がるので非常に大切です。
オイルパンカバーにはOリングが装着されているのですが、経年劣化により柔軟性が無くなると密着度が薄れて
オイル漏れを発症しまう為、カバーの淵付近にオイル染みを見つけたら被害が大きくなる前に交換して下さい。オイルパンカバー、オイルレベルセンサーを装着してオイルパンのオイル漏れ修理が完了。新旧のプレッシャーバルブ。
比べて見ると装着されているOリングが潰れてしまっているのが判ります。
シリンダーブロック横に装着されているのですが、ココからオイル漏れを起こしている車輌も多く見られます。
新しいパーツを装着してプレッシャーバルブからのオイル漏れ修理が完了。オイルエレメントハウジングからも漏れがあったのでガスケット類を交換します。
新旧のオイルエレメントハウジングのガスケット。
こちらも劣化で固くなってしまうとオイル漏れを発症する事例が多く、
漏れ出したオイルがベルトやホース類に付着すると
劣化を早めてしまう為、漏れを発見したら被害が拡大する前に交換した方が良いでしょう。オイルエレメントハウジングを装着してガスケットの交換が完了。
定期点検の際に確認を行って多少でもオイル漏れを見つけたら交換するのをおすすめしています。新旧のオイルエレメント。
使用するOリングもセットで交換。
新しいエンジンオイルの再汚染を防ぐ為にもエンジンオイル交換の際には交換しましょう。
漏れ箇所最後の修理。
VANOSユニットからのオイル漏れを修理する為、カムカバーを外してVANOSユニットを取り外していきましょう。VANOSユニットを取り外す前にカムシャフトの初期位置を合わせておきます。VANOSフィルターを外して状態を確認。
VANOSユニットを取り外し完了。
オイルで汚れている箇所は後で綺麗に洗浄しておきます。。取り外したVANOSユニット。
VANOSユニットの下廻り付近に固着しているオイルから推測すると長期間オイル漏れを起こしていた様です。
ソレノイドカバーを外しソレノイドを外します。
動作確認はテスターでカムやVANOSの動きをしっかりと観察しながら使用可能なのかを診断。ソレノイドを外したらVANOSユニットは綺麗に洗浄を行って、
ガスケット跡が残らない様に接着面を綺麗に整えておきます。ソレノイドの状態を確認し、使用されているOリングを全て新品へ交換。
VANOSのオイル漏れの修理では漏れた箇所だけのパーツを交換するのではなく、
総合的に全体の状態を把握してパーツの交換をしなければ再びオイル漏れを発症するケースも多いので要注意。
ソレノイドを装着し、新しいガスケットを使用してソレノイドカバーを装着。VANOSのオイルポンプを外し、分解洗浄を行います。内部パーツを分解して異常が無いか確認。
問題が無ければ綺麗に洗浄して本体へ戻します。VANOSユニットに使用されているOリングは全て新品へ交換。VANOSユニットを装着。新旧のオイルポンプ部のOリング。
新旧のVANOSフィルター。
カムカバーのボルトに付けるラバーシールを新品へ交換。
カムカバーを装着する際にカムカバーのガスケットやプラグホールガスケット等は新品へ交換するのですが、
ラバーシールに関しては見逃しているケースも多く、
交換をせずに硬化が進んでしまうと、カムカバーからのオイル漏れが激しくなる為、
カムカバーガスケット、プラグホールガスケット、ラバーシールは
必ずセットで交換するようにした方が良いでしょう。
新旧のカムカバーガスケットやプラグホールガスケット。
今回使用したエンジンオイルはFUCHS SuperSyn 5w-50
スラッジの集約性や吸着性能も高くM3やALPINAのオーナーに高評価のエンジンオイルです。
特にVANOS機構を用いたエンジンはオイルの良し悪しだけでなく、オイルの管理次第で
エンジンの不調や故障に繋がるケースが多い為、良い状態を維持する為にも良質なオイルの使用と
定期的なオイル交換は非常に大切です。オイル交換後は忘れずにオイルインスペクションのリセットを行います。
リセット完了。
E36モデルのメモリは一コマ約3,000kmとなっており、
当社ではM3やALPINAモデルはエンジンを常に良い状態で維持する為にも
3,000km~5,000kmを目安にオイル交換を推奨しているので、1コマが消えたらオイル交換時期を意識し、
出来るだけ2コマ目が消える前に交換を行った方が良いでしょう。
スチーム洗浄を行ってオイル漏れで汚れてしまった下廻りを綺麗にします。同様にオイルまみれだったアンダーカバーもスチーム洗浄。全ての作業を終えたら最後にテストラン。
試乗した際にM3らしさが感じられなかったエンジンも非常に快調になり、
低回転域から高回転域まで安定した本来のM3の走りを体感する事が出来ました。

今回はVANOSユニットからのオイル漏れだけでなく、オイル漏れに関するトータル的な作業を行いました。
オイル漏れはガスケットやOリングの経年劣化だけで発生するのではなく、日々のオイル管理の有無でも
パーツに与える影響が大きくなるので注意が必要です。
オイル漏れを発症している車輌はオイルが汚れているケースが非常に多く、
オイルの交換時期についてはネットを検索すると様々な情報が出てくる為、
その情報に惑わされずにご自身の車輌にとって最適な交換時期を把握する事が重要で、
良い状態を維持する為にも今一度オイルの重要性を再認識し、管理体制を見直す事も大切です。

2018年07月06日