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MAINTENANCE REPORT

【ALPINA B3 3.3】足廻りからの異音修理【100,000Km】

今回は足廻りからの異音修理の為、ALPINA B3 3.3が入庫したのでレポートしていきましょう。
走行距離は100,000Km。
E46モデルをベースとし、NAエンジンを搭載した最後のB3シリーズとして馴染み深いモデルですね。
現状を確認する為にテストランをしてみるとフロントの足廻りからゴトゴトと異音が発生しており、
ブレーキ時も安定せず走行が困難な状態でした。
早々にファクトリーへ戻り、原因を探る為、足廻りの点検を行います。
フロントの足廻りを確認するとコントロールアームのボールジョイントにガタが出ており交換が必要な状態でした。
E46はロアアームコントロールブッシュのみを交換する事が多く、
早いケースでは20,000Km程度で交換が必要な場合もあり、気にされている方も多いのですが
アーム本体のボールジョイント2箇所からのガタが多くなっている、E46モデルも最近よく見るようになってきました。
左右共にコントロールアーム・ロアアームコントロールブッシュを交換。新旧のコントロールアーム・ロアアームコントロールブッシュ。ASSY交換になります。
ボールジョイント部分は手で動かすと、かなり遊びがある状態で
これでは路面の僅かな凹凸もステアリングに伝わり、気持ち良く走る事は不可能でしょう。
左右の新しいコントロールアームを本体へ装着。SSTを使用してロアアームコントロールブッシュを垂直に圧入。
無理に装着したり斜めに圧入してしまうと破損や劣化を早める原因になる為、装着は慎重に行います。4輪ホイールアライメントの測定と調整。
メーカーの基準値を元にアライメント調整を行います。
サスペンションの状態やブッシュの摩耗具合、
タイヤの消耗度等によっても調整する数値は様々なので何度かのテストランと微調整を行いながら
その車輌に最も適した数値を導き出していく事が大切です。
ホイールアライメントは足廻りパーツの交換や車高を調整した後以外にも
タイヤの摩耗やショックアブソーバー、ブッシュ類の劣化でも徐々に変化してしまいます。
日々の運転では慣れてしまって微妙な変化を察知するのは難しい為、
2年に1度はコンディションに合わせて調整を行う事をお勧めしており、
特にスポーツモデルはアライメント数値が狂っていると明らかに走行性能がダウンしてしまう為、
定期的に調整行う事は非常に大切ですね。エンジンオイル交換。
フラッシング剤を注入してエンジン内部で発生したスラッジやカーボンを落とします。
10~15分程アイドリングを行ってフラッシング剤を浸透させて汚れを落し、古いオイルと共に一気に排出させます。
排出の際には廃油に異常な汚れやスラッジ、金属片等が混ざってないか確認を行ってエンジン内部の状態を探ります。オイルエレメントの交換。装着に必要なパッキン等も同時に交換。
新しいオイルエレメントを装着したらエンジンオイルを規定量注入しエンジンオイル交換が完了。
FUCHS TITAN 5W-50
エンジンオイル交換の作業を終えたら忘れずにオイルインスペクションのリセットを行います。
オイルインスペクションはドライバーに交換時期を教えてくれるのですが、
リセットを行わないと正確な数値を導き出す事は出来ません。
オイルインスペクションのリセットが完了。
リセット後は画像の様に25,000kmになり走行する事で徐々に数値が減っていきます。
数値が0になるまで交換不要と勘違いされている方はいないと思いますが…
22,000Km~20,000Km、もしくはそこまで走行しなくても半年を目安に交換を行って下さい。
定期的にオイル交換を行って同時に下廻り等の点検をしておけば、より安全に安心した走行が楽しめるので
単にオイル交換のみを行うのではなく、総合的な事を考慮して作業を行う事が大切です。
全ての作業を終えたら最終チェックのテストランを行って修理箇所だけでなく、
その他に異常や運転していて違和感が無いかを確認。
ゴトゴトする異音も無くなり、スムーズなコーナーリングやブレーキ時のふらつきも無くなり
安定した走行を楽しむ事が出来ました。
体感出来るレベルでスムーズな操作感や走行安定性の変化に驚かれると思います。
後日、4輪ホイールアライメントデータをオーナーにお渡しして納車となりました。

B3(E46)のフロント足廻りの異音やステアリングのふらつきはロアアームコントロールブッシュの
劣化によるものが多く、定期消耗パーツと言える箇所になります。
(走行距離から判断するとコントロールアームのボールジョイントが経年劣化していた可能性もありますが…)
人間でも少し調子が悪ければ病院へ行く様に車輌も定期点検や症状の早期発見と適切な処置が必要で、
異音が出たり違和感を感じた際は放置をせずに直ぐに掛かりつけのファクトリーへ相談して下さい。
軽かった症状も放置をする事で次第に重症状態になる事もあり、致命的な事に発展するケースもあるので、
何か違和感を感じた際は自身で安易な判断をせずに出来るだけ早く処置をする事が大切です。

2018年07月09日