MENU

MAINTENANCE REPORT

【E30 320i】パワステギアボックスオーバーホール【30,000Km】

猛暑から一転、過ごしやすい気温になってきましたね。
お盆前までは尋常ではない猛暑続きで、今年は冷却系統や原因不明のエンストによるトラブルによる入庫も多く、
夏季休業後から全開でピットも稼働しております。

本日のレポートはE30 320i パワステギアボックスのオーバーホールです。
E30は3シリーズの第2世代モデルとして1982年にリリースされマイナーチェンジ後、320iは1991年まで生産されたので
最終モデルでも既に25年以上、1987年のマイチェン直後のモデルなら30年以上が経過しているので
各部の状態の変化には注意が必要です。
経年車や走行距離が100,000Kmを超えている車輛は
ステアリング操作時の異音や左右にハンドルを切るとガタついた感じや
ハンドルを回すと引っかかったり、急に重くなる操作感等…
今回の320iはギアボックスからのオイル漏れによるオーバーホールですが、上記のような症状の場合でも
ギアボックスオーバーホールが必要になるケースもありますので、ステアリング操作に違和感を感じたら
チェックしてみるのをおすすめします。
リフトアップして下廻りを確認した所、ステアリングギアボックスにパワステオイル漏れを発見。
内部パーツにはオイルシールやOリング等が多く使用されており
そういった部品の消耗によって徐々にオイル漏れを発生させます。
状態により内部ラックやピニオンの交換が必要になるケースもありますので
まずは取り外して、分解をしていきましょう。
車体からステアリングギアボックスを降ろし、
作業の為にタイロッドエンド、タイロッドエンドブーツを外しておきます。
全体にオイル漏れによる汚れが多く付着しており、各部の状態が気になります。状態を確認しながらステアリングギアボックスを分解していきます。
ステアリングコラムに繋がるピニオンを抜き取ります。ラックのテンショナー部分。
状態を確認し、パッキンは交換、錆等の汚れは綺麗に落としておきます。シリンダーケースから慎重にラックを抜き取ります。ラックのオイルシールも全て新品へ交換。E30のステアリングはラック&ピニオン式ステアリング機構。
ピニオンはステアリングコラムに繋がり、
ラックはシリンダー内で可動して、丸ギア(ピニオン)と平ギア(ラック)が噛み合う事で
回転運動(ハンドル)を平行運動(タイヤの向き)に連動させています。
当然ギアが噛み合う事でスラッジが発生するのですが、
パワステオイルの管理が不十分だとスラッジが堆積してしまいギアを傷付けたり
固着する事でハンドル操作の違和感に繋がり、
最悪の場合破損に発展する可能性が高くなるのでオイルの管理には注意が必要です。
今回は綺麗な状態だったので、ラック・ピニオンともにそのまま使用し、各オイルシールを交換していきましょう。
シリンダーケース内部のオイルシールも新品へ交換。シリンダーケースから外したラックやピニオン、バルブボディ、シリンダーケース内にも腐食や損傷等は無く
気になる様な大きな問題はありませんでした。
交換するオイルシールやOリング。
数が多いので使用する箇所等を間違えない様に1点1点確認しながら慎重に交換を行います。 新旧のピニオンのOリング。
細いOリングも有るのでピックツールやピンセットを使用して傷を付けない様に注意を払いながら装着します。オイルシールは斜めに圧入してしまうとオイル漏れに発展してしまう為、しっかりと確認しながら圧入します。ラックとピニオンをシリンダーケースに戻す前にグリスを補充しておきます。Oリングを交換した各パーツをシリンダーケースへ戻します。オイル汚れや錆が発生していたテンショナー部は錆を落として綺麗な状態にして装着。パイプラインのOリングも全て新品へ交換。全てのオイルシール、Oリングを交換してステアリングギアボックスのオーバーホールが完了。シールガスケットの交換。
ホローボルトはそのまま使用しますが、一度トルクを掛けて締め込んだシールガスケットは再使用出来ない為
見た目に状態が良かったとしても取り外したら必ず新品へ交換して下さい。規定量のパワステオイルを注入しエア抜きを行ってパワステオイルのフラッシングと交換が完了。
単なるオイル交換だけでなくオイルライン全体の状態を最適な状態に保つ事はオイル漏れの発生を防ぎ、
パーツの劣化を抑えトラブルを回避する事に繋がる為、
ウィークポイントであるパワステのトラブルに悩まされている方には特におすすめの作業です。パワステオイルの汚れはパワステオイルタンクの蓋を開ければ確認出来ます。
新油は赤く透明なのですが、使用していくとスラッジ等を含んで黒味を帯びてくるので黒くなっていたら交換が必要で
汚れた状態を放置するとパーツを劣化させたり、オイル漏れの原因になるので定期的に確認する事が大切です。ステアリングのセンター調整を終えたら、最後にテストランを行って修理箇所やその他に違和感が無いか確認します。
低速時や高速時も安定したハンドリングで駐車の際のハンドルの操作も軽快に行う事が出来ました。
後日、オーナーへ作業内容をお伝えして納車となりました。

2018年08月20日