【ALPINA B3S Coupe】フロントブレーキパッド・フルード交換【115,000Km】
今回のメンテナンスレポートはALPINA B3S Coupeのフロントブレーキパッド・フルード交換です。
走行距離は115,000Km。
以前、エンジンオイル交換でご来店いただいていたオーナーですが、
その際にローターの摩耗が見られた為、お伝えしたところスケジュール調整の上、入庫となりました。
摩耗具合を確認する為、マイクロメーターで前輪のブレーキローターを計測。
計測値は23.459mmでした。
許容最小値は23.4mmですが、ダイアルゲージで計測すると歪みの多く出ている事がほとんどで
丁度良い交換時期と言えるでしょう。
ブレーキローターはモデルによっても使用可能なローターの厚みや摩耗限界値は異なり
全てのモデルがこの数値ではありませんので、気を付けて下さい。
新旧のフロントブレーキローター。
ディスクブレーキはブレーキパッドを挟み押し当てて制動力を得ているのですが、
走行中にパッドとローターの間に小石等を噛んでしまうと、レコード盤の様に傷が多数入ったり、
スポーツ走行をする方は熱の変化でクラックが入ったり偏摩耗する事があるので、
ブレーキ廻りはエンジンオイル交換ごとに点検してくと良いでしょう。
このように使用最小値はローターに刻印されています。
新旧のブレーキパッド。
新しいパッドはブレーキ鳴きや偏摩耗防止の為に面取り処理をしておきます。
パッドセンサーも同時に交換。
ブレーキローター・パッドの交換が完了。
基本的に制動時はフロントブレーキに掛かる負担が多く、リア側よりも状態の変化には注意が必要です。
ブレーキフルードの交換。
劣化が進むと無色透明から紅茶色へ変化し、徐々に黒味を帯びてきます。
ディスクブレーキは油圧の力を利用してブレーキペダルからの操作をブレーキシステムへ伝えているのですが、
吸湿性が高く、劣化して多くの水分を含んでしまうとブレーキング時に発生する熱で沸騰してしまい、
ブレーキライン内に気泡を作り出す事で、油圧を妨げてブレーキが利かなくなる
ベーパーロック現象を発生させる為、劣化には注意が必要です。
その他、水分を含む事で錆の発生や水垢汚れ等がブレーキラインに詰まって
全体的なメンテナンスが必要になる事が有るので、定期的に状態を確認してフルードの交換を行う事が大切です。
専用の機械を使用し圧力を掛けてブレーキシステム内で発生した
錆や水垢等の汚れを古いフルードと共に車外へ圧送させます。
排出後は規定量のブレーキフルードを注入し、エア抜きを行ってブレーキフルードの交換作業が完了。
劣化具合はご自身でも確認する事が可能なので、エンジンルーム内のブレーキフルードのタンクの蓋を開けて
定期的にフルードの色を確認しておくと安心です。
全ての作業を終えたら最終チェックとしてテストランを行って修理箇所や走行注意に違和感が無いか確認。
この際に、ブレーキローターとブレーキパッドの摺り合わせや焼き付け作業を行います。
ブレーキの当たり付けには慣らし運転が必要なので通常の走行なら300km~1,000kmを目安に
それまでは急発進、急ブレーキ、急ハンドル等の急が付く運転は出来るだけ控えて下さい。
オーナーへ分解整備記録簿をお渡しし、今後のメンテナンスについてお伝えして納車となります。
今回の作業はフロントブレーキのメンテナンスを行いました。
ブレーキシステムは問題があると命に関わる為、
基本的に法定点検の際に確認して多少でも気になる事があれば交換をお勧めしているのですが、
警告灯が点くまで交換を行わない方も多く、
点検の結果ブレーキパッドの交換で済んだ作業がブレーキローターの交換だけでなく
ブレーキシステム全体のメンテナンスが必要になってしまう事があるので、
法定点検の際にパッドの残量が微妙な際は交換を引き延ばすのではなく、
早目の交換をして未然にトラブルを防止する事が大切です。
ブレーキのトラブルは自身だけでなく他人を巻き込む重大な事故に発展する事もありますので、
安全に走行を楽しむ為にも、定期的にメンテナンスを行って気になる箇所は早期に処置をしておけば安心です。
2018年08月10日