【Z3 M Coupe】内装リフレッシュ・アイドリング不調修理etc,,,【57,000Km】
ようやく梅雨明けしました。
雨量はそこまで多くなかったのですが、雨天が続き作業が思うように捗らない事もあって我慢の7月でした。
しばらく晴れの日が続いてくれるようなので、8月は全開で作業を進めていきましょう。
ちょうど本日、夏季休業日が決まったようで12日(月)から15日(木)の四日間をお休みとさせていただきます。
それ以外は通常通りの営業になりますので、お時間ある方は遊びにいらして下さい。
本日のメンテナンスレポートはZ3 M Coupeの内装リフレッシュとアイドリング不調修理等です。
Z3 M CoupeはMロードスターをベースにボディ剛性力を高め、E36 M3と同じエンジンを搭載したモデルとして
1998年~2002年まで生産されたのですが、初期モデルなら20年、最終モデルでも15年以上が経過しており
各部品の経年劣化に注意が必要です。ひとつひとつ丁寧に作業を進めていきましょう。
ルーフライニングの交換。
後部側から剥離が進んでいますね。
ルーフライニングやピラーの生地はベースとなるボードに
スポンジが一体となったウレタンフォームが使用されている事がほとんどで
スポンジと表面生地の接着剤が経年によって剥離し、写真のようにだらしなく垂れさがってしまいます。
スポンジ自体の劣化でこのようになってしまう事もあり、そうなるとちょっと触っただけで
ボロボロと細かくなったウレタンフォームが落ちてくることもありますので
見た目だけでなく体にも悪そうです。
各ピラー・ルーフライニングを取り外します。
取り外したルーフライニング。
部品として廃番であれば、こちらのベースを使用しての張替になりますが
まだデリバリーされていたので、今回は新品のルーフライニングに交換します。
いざ取り付け。
取り外しの際にはリアハッチから引き抜けたのですが、リアハッチから新品のルーフライニングを入れようとすると
どうにも真っ直ぐに入ってくれず、せっかくの新品のライニングが変形してしまう可能性があった為
急遽、フロントガラスを取り外します。
ウィンドウを外し終わったので、ライニングを取り付けしていきましょう。
ルーフライニング新品。
前方からスムーズにルーフライニングを車内へ引き込み、フロントウィンドウを取り付けし
ルーフライニングの交換は完了です。
新旧のセンターコンソール(シフトレバー部分)
拡大して見ると上部が割れてスイッチの仕切りも取れてしまっています。
経年劣化しているパーツでは特に強度が弱い部分等は振動や
脱着時の軽い衝撃でも割れてしまう事があるので注意が必要です。
センターコンソール全体を外す為、配線等に注意しながら作業を進めます。
配線に注意しながらセンターコンソール全体を取外します。
取外したセンターコンソール一式。
丁寧にクリーニングを施し、ダメージがあったパーツを交換して車体へ戻します。
2シーターモデルはスペースが限られている事もあり、シートを取り外した方が
作業効率が上がる為、助手席を外してから作業を行い、配線に注意しながらセンターコンソールを装着していきます。
新旧のAピラー
ルーフライニングとセットで交換。
根元部分から生地が剥がれてしまっていて機能的に問題があるわけではありませんが
ルーフライニングもリフレッシュされたので、同時に交換してしまいます。
吹け上がりに問題は無いのですが、アイドリング時の微妙なハンチングが出ているので
原因を探る為、問題が有りそうな箇所の状態を確認していきます。
インテークマニホールドを外して各部の状態を確認すると多数のホースにクラックが発生しており
それが原因で二次エア吸い等が発生しアイドリングが不安定になっていました。
アイドリングの不調は画像中央のアイドルバルブ内部の汚れが原因の事もあるので
ホース類の劣化だけでなくこういった部品の良否判定も必要になってきますね。
アイドルバルブホースにクラックが入っています。
画像中央のメクラキャップも大きく破損していました。
ここはS50B32系のアイドリング不調の原因のひとつとして良く見られる箇所ですね。
チェックバルブの前後のホースも劣化が酷かったので交換。
ソレノイドバルブに繋がるバキュームホースにも劣化を発見。
新旧のエアガイド。
経年劣化で多数のクラックが入っていました。
エアフロセンサーとの装着側にもクラックが見られます。
特に蛇腹付近はクラックが入りやすいので注意が必要です。
サージタンクに繋がる箇所も大きなクラックを発見。
新旧のメクラキャップ。
新旧のアイドルバルブホース(下部)
ホースクランプで固定している箇所は経年劣化で弾力性が無くなると徐々にクラックが入ってしまうので
経年を考慮して交換をしておく事が大切です。
新旧のアイドルバルブホース(上部)
こちらもホースクランプで固定した部分の弾力性が無くなり根元にクラックが発生していました。
サージタンクに問題は無いか状態を確認。
新旧のスロットルボディとサージタンク間に装着されるOリング。
装着の際は必ず新しいOリングを使用します。
アイドリングの不調はスパークプラグの劣化により適正に火花が飛び難くなる事が原因のケースもある為
スパークプラグの状態を確認。
新旧のスパークプラグ。
交換の際にはスパークプラグが適正に使用されていたか消耗具合や焼け具合を確認します。
スパークプラグは1本だけに不具合が出ていたとしても必ず全てのスパークプラグを同時に交換し、
交換の際にはイグニッションコイルにも不具合が出ていないか同時に確認する事が大切です。
インテークマニホールドを元に戻してアイドリング不調の修理が完了。
4輪ホイールアライメントの測定と調整を実施。
ブッシュの摩耗やサスペンションの状態、タイヤの減り具合によって変化していくので
メーカーの基準値をベースとしてテストランを何度も繰り返しながら微調整を行って
その車に最も適した数値を導き出していきます。
4輪ホイールアライメントは経年による状態変化だけでなく、車高を変更したり足廻りのパーツを交換した際は
数値が変わってしまう為再調整が必要なのですが、激しく縁石に乗り上げたり駐車の際に車止めにぶつける感じで
駐車している方は数値が変わってしまっている事があるので注意が必要です。
全ての作業を終えたら高速での最終のテストランを行って修理箇所やその他に問題は無いか確認を行います。
このモデルの魅力を存分に堪能する事が出来ました。
オーナーへ分解整備記録簿、4輪ホイールアライメントデータをお渡しして納車となります。
今回は経年による内装のリフレッシュやエンジンのホース類の劣化によるアイドリング不調の修理、
4輪ホイールアライメント調整等を行いました。
経年劣化による車の状態の変化はどうしても避ける事が出来ない為、状態を見極めて修理や交換が必要なのですが、
トラブルが発生してからではなく、発生する前に経年を考慮して交換しておいた方が安心ですね。
2019年07月30日