【E46 M3】24ヶ月法定点検&車検整備【70,000Km】
7月久しぶりのレポートアップです。
前回も雨が多いと言ったような気がしますね・・・
どうにもならない事ではありますが、ちょっと降りすぎです~。
雨天だとどうしても作業が捗らない部分も出てきますので、少々困っております。
今回のメンテナンスレポートはE46 M3の24ヶ月法定点検と車検整備です。走行距離は70,000Km。
こちらのオーナーは夏に都内から関西へお引越しの予定。
特に異常箇所は無さそうではありますが、各部のオイル交換を中心に総合的なリフレッシュを行っていきましょう。
エンジンオイル交換。
通常は交換の前にフラッシング剤を注入してエンジン内部のフラッシングを行っているのですが、
今回はBILSTEIN社のR2000の施工を行います。
オイルエレメントベース部にアダプターを取り付け、そこから加熱した洗浄液を圧力を掛けて注入し
オイルラインに堆積したスラッジやカーボンの汚れを分解し除去します。
アダプターを取り付けたオイルパンのドレンから汚れと共に洗浄液をバキュームして
R2000のフィルターで濾過を行ってから再びオイルライン内を循環させてオイルラインを洗浄する事で
通常のオイル交換よりスラッジの排出を可能にします。
単発でも効果は期待出来るのですが、20,000kmを目安に定期的に施工を行っておくとより効果的で、
経年車への効果は勿論の事、ALPINAやM3等のハイパフォーマンスエンジンを搭載しているモデルでは
エンジンの吹け上がりやアクセルのレスポンスの違いを体感出来る為、
エンジンのもたつきやパワーダウンを感じている方にはおすすめの施工方法になります。
新旧のオイルエレメント。使用するパッキンやワッシャ等も全て新品へ交換。
オイルエレメントを装着し、規定量のエンジンオイルを注入しエンジンオイル交換が完了。
ミッションオイル交換。
交換の前にフラッシング剤を注入し内部で発生したスラッジを落としやすくします。
排出時は必ずある程度あたためた状態でスラッジと共に一気に排出させます。
SMG搭載のモデルではミッションオイルにはATFが使用されているのですが、
特にATモードで運転される方は頻繁にギアチェンジが行われている為、ミッションオイルの汚れには注意が必要です。
ミッションのフィラー・ドレンボルトには漏れ防止のシールテープを巻いておきます。
シールテープは巻く方向が決まっている為、安易に巻いてしまうとオイル漏れを誘発するので要注意。
しずくが垂れなくなるまで排出を終えたら、規定量のミッションオイル(ATF)を注入して交換作業が完了。
デフオイル交換。
内部ではデファレンシャルギアが噛合う事でスラッジが発生するのですが、
デファレンシャル部にはエンジンオイルの様に汚れを取り除く役割のエレメントは付いていない為、
汚れていけばスラッジがオイル中に浮遊して研磨剤の様になってギアを傷付けてしまうので
デフからの異音の発生だけでなく、最悪の場合ギア欠けの原因になる事があるので定期的な交換が必要です。
内部に汚れたオイルを残さない為にも排出には時間を掛けてしずくが垂れなくなるまで行います。
デフオイルは画像の様に汚れている事が多く、異常が発生すると異音の発生だけでなく、
内部で発生したスラッジがオイルシールを傷付ける事でデフオイル漏れを誘発する事もありますし
スポーツ走行を行う方やカーブの多い地区、峠道等を走行する方は
想像以上にデフオイルが汚れているケースが多いので
ご自身の走行方法や走行環境等を考慮して交換時期を把握しておくと良いでしょう。
規定量のデフオイルを注入してデフオイルの交換が完了。
パワステオイル交換。
専用の機械を使用してフラッシングを行い、
ギアボックスやポンプで発生したスラッジを落とし古いオイルと共に車外へ圧送します。
交換前のパワステオイル。
交換後のパワステオイルは赤く透明な状態。
オイルの劣化は透明の状態からスラッジを含む事で透明度は失われ、徐々に黒味を帯びて劣化していきます。
交換後に直ぐに透明度が失われてしまう場合は内部のスラッジが上手く排出されてない状態なので
施工方法にも注意を払い、単に古いオイルを交換するのではなく、
今回の施工の様にスラッジ(汚れ)を完全に排出させる事が大切です。
ブレーキフルードの交換。
こちらも吸湿劣化が進行し交換が必要な状態でした。。
専用の機械を使用してブレーキラインで発生した錆や水垢等の汚れを古いフルードと共に車外へ圧送させます。
ブレーキフルードは吸湿性が非常に高く、劣化により水分を多く含むと錆を誘発させ
ブレーキシステムのトラブルに繋がる為、交換時期には注意が必要です。
エンジンの性能が良くてもブレーキのフィーリングが悪ければM3の魅力が半減してしまうだけでなく
しっかりと止まるという事は自身の命だけでなく他人を巻き込む事故を未然に防ぐ事にも繋がる為、
安全に走行する為にもブレーキシステムのメンテナンスをしっかりと行う事が大切です。
4輪全て作業を行って排出されたフルードに異常な汚れや錆等が含まれて無いか確認を行います。
もし異常が見つかれば原因を突き止める為、ブレーキ全体を外す等の大掛かりな作業が必要になる事があります。
交換作業は状態によってはタンク自体を取り外し洗浄を行ってから新しいフルードを注入します。
新油のブレーキフルードは画像の様に無色透明な状態で、水分を含んで劣化が進行すると
透明から徐々に紅茶色へ変化して黒味を帯びてくる為、ご自身でもリザーブタンクの色の変化を確認し
劣化具合を把握しておくと良いでしょう。
SMGのハイドロリックオイルの状態を確認し交換を行います。
汚れた状態ではポンプ等にも負担を掛けてSMGの異常作動に繋がる恐れがある為、
定期的に点検と交換を行って下さい。
使用するオイルはONLY PENTOSIN CHF 11Sと指定されているので、
必ず指定のハイドロリックオイルを使用します。
インジェクションパージの施工を行います。
専用の機械を使用してフューエルラインからインジェクターまでのスラッジを除去。
除去されたスラッジは燃焼室へ運ばれ燃焼されてマフラーから白い煙となって車外へ排出されます。
吹け上がりやアクセルのツキ具合が以前と比べてイマイチと感じている方にはおすすめのメニューです。
VICの施工。
アイドリング時の負圧を利用して燃焼室内のカーボンスラッジへ浸透させて除去を行い
除去した汚れをそのまま燃焼させてマフラーから車外へ排出させます。
インジェクションパージと同様に白い煙となってマフラーから排出されるのですが、
除去された汚れが多ければ排出する煙も多くなります。
インジェクションパージと同時に施工する事で
非常に効果的にカーボンスラッジを除去する事が可能になるだけでなく、
施工後には吹け上がりの違いを体感出来る為、リピート率も高く非常に人気の施工メニューになります。
フューエルフィルターの交換。
VICの施工ではプラグの負担が大きくなり消耗が激しくなる為、全てのスパークプラグを新品へ交換。
冷却水の交換。
専用の機械を使用してフラッシング剤を注入し
冷却経路内やポンプ等の錆や水垢等を浮かせて古い冷却水と共に車外へ圧送。
E46モデルは冷却系のトラブルが多くウィークポイントとして注意が必要で
トラブルに悩まされている方も多いのではないでしょうか?
経年劣化で破損してしまうパーツ等もある為、
定期点検の際に冷却水の交換と各部のチェックを行っておく事が大切です。
4輪アライメント調整。
足廻りの脱着や交換等を行った際は、アライメントの数値が変わってしまう為必ず調整が必要になるのですが、
縁石等を激しく乗り越えたり経年によっても徐々に数値が変わってしまう為、
定期的な調整が必要になってきます。
真直ぐ走行しているのにステアリングのセンターがずれていたり、
ステアリングを維持してないと真直ぐに走行が出来無い、
走行中に左右どちらかに車が流れてしまう、
タイヤが偏摩耗している等の症状が出ていたら早急に調整を行うようにしましょう。
調整はメーカーの数値を元に何度かのテストランを繰り返し行って作業を行うのですが、
タイヤの摩耗やパーツの劣化等でも数値は変わってしまう為、
その車輌に最も適した数値を導き出していく事が重要になります。
車検に備えて下廻りやエンジンルームなど各部を綺麗に洗浄しておきます。
全ての作業を終えたら最終のテストランを行って修理箇所やその他に不具合が無いか確認を行って、
特に問題が無ければ最寄りの陸運支局へ車輌を持ち込んで車検を取得します。
後日オーナーへ車検証、定期点検記録簿、車検ステッカー、定期点検ステッカーをお渡し、
今後のメンテナンス等を伝えて納車となりました。
E46 M3は2006年で生産が終了し、最終モデルでも消耗部品だけでなく
全体的なコンディションにも注意が必要な時期にきている為、
同モデルのオーナーはM3の最高のパフォーマンスを維持する為にも
総合的なメンテナンスを行う必要のある車輛も増えてきていると思います。
NA最後の直列6気筒エンジンのフィーリングを長く楽しみたい方はお気軽にご相談下さい。
2019年07月16日