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MAINTENANCE REPORT

【BMW X5】足廻りからの異音修理etc,,,【85,000km】

今日は寒の戻りでしょうか。かなり強めの雨で寒いですね。
来店予定だった方も明日にスライドとなったので、メンテナンスレポートをまとめていきましょう。

今回のメンテナンスレポートはBMW X5の足廻りからの異音修理等をメインに作業を行います。走行距離は85,000km。
テストランで走らせてみるとフロントからの異音と振動が大きいので、そういった点を踏まえて見ていきましょう。
まずはフロント部の異音なのですが、
経年や走行距離等を考慮するとショックアブソーバーやアーム類に
トラブルを抱えている事が多いのでそういった点を確認していきます。
これは経験則ではありますが、X5や7シリーズなど車重があるモデルは、
ある一定の距離、期間を過ぎると一気に足廻りの消耗が進むイメージが強いですね。アッパーマウント先端部、かなりズレが生じているのが分かりますね。
アッパーマウントの断裂が原因のひとつである事が分かったので、早速フロント足廻りを分解していきましょう。
ショックアブソーバーを外していきます。
ショックアブソーバーを取り外す際は足廻りに関連するその他のパーツの劣化具合も同時に確認しておき
必要に応じて交換していきましょう。
取り外したフロントショックアブソーバー、ロアコントロールアーム。ロアコントロールアームブッシュに亀裂が入っていた為、新品へ交換。
今回は反対のボールジョイントの状態は悪くなく、アームの再使用とさせていただきましたが
ボールジョイント側の消耗が著しい場合は、アームアッセンブリーでの交換になります。
ロアコントロールアームのブッシュは使用されているブッシュの中でも
負担が大きく定期的に点検・交換が必要なパーツの為、
出来ればこの様になる前に経年等を考慮して交換しておきたいパーツですね。
ブレーキ時にガクガクと振動がステアリングに伝わってきたり、
走行中にガクンとステアリングが取られてしまう等の症状が気になれば交換が必要で、
そのまま交換を行わなければその他のパーツに影響を与えて
2次被害、3次被害とトラブルが拡大してしまう恐れがある為、
上記の様な違和感を感じたら早めに掛かりつけの主治医へ相談して下さい。
プレス機で古いブッシュを打ち抜いて新しいブッシュを圧入。ロアコントロールアームブッシュの打ち替えが完了。
ボールジョイント側は状態を確認した所、特に問題は見られなかった為そのまま使用します。アッパーマウント中央のゴムマウントが破損してボルト装着部が完全に抜けてしまいました。
症状的にX5では多く見るトラブルなので、フロント周辺から異音が出ている車輌は早急に対応が必要な状態です。異音等の違和感を見逃していると原因の箇所が大きく破損するだけでなく、
付随したパーツへの被害も拡大してしまう為、早期発見、早期処置をしておく事が大切です。バンプラバーは経年劣化で変色が進行し、このまま使用していれば大きく破損してしまう可能性が高いです。サポートマウントは経年劣化が進行しボロボロの状態。
洗車時の際等にアッパーマウント装着部周辺に、
サポートマウント等の破損したカス等が付着してないか確認をしておくと良いでしょう。前述のアッパーマウントは中央のボルト装着部が抜けてしまっていましたが、本来ならこの様な状態なっています。
経年劣化が進行するとゴムの油分が抜けて固くなる事で振動を吸収出来なくなって破損してしまう為、
主治医と相談しながら経年を考慮して破損してしまう前に交換しておく事が大切です。新旧のアッパーマウント、サポートマウント(アッパー・ロア)、
バンプラバー、スプリングパッド(アッパー・ロア)
スプリングパッドは大きく破損する事は稀なので見た目には再使用出来そうなのですが、
経年劣化で固くなって衝撃を吸収出来無くなってしまう為、見た目に状態が良かったとしても再使用は厳禁です。新旧のアッパーマウント。
固定する部分が破損してしまうと大きく暴れてしまう事で走行が不安定になったり異音を発生させるのですが、
この固定されていない状態のまま高速走行を続けていたとしたら…想像するだけでゾッとしますね。新旧のショックアブソーバー。
ショックアブソーバーの減衰力も正常では無かったので交換します。
新しいショックアブソーバーに各パーツを装着。フロントショックアブソーバーを車体へ戻します。交換作業を終えたロアコントロールアームを装着して足廻りフロントセクションの作業が完了。
各部装着の際は本締めを行わず、テストランを行い各部パーツを馴染ませてから本締めを行います。次に足廻りリアセクションの作業へ入ります。
フロントセクション同様にショックアブソーバーを外して各パーツの状態を確認し交換。
エアサスは以前に交換されたようなので、今のところ問題無しの状態でした。
取り外したリアショックアブソーバー。
分解してから各パーツの状態を確認し交換を行います。新旧のアッパーマウントガスケット、バンプラバー、サポートマウント(アッパー・ロア)
構成部品が少ない事もありますがフロント側と見比べると、破損具合が大きく違う事が伺えますね。
リア側と比べてフロント側に掛かる負担が大きい事が判ります。
新旧のリアショックアブソーバー。
リア側も同様にビルシュタイン社製に交換。
フロント側に症状が多く出る為、たまにフロントのみのショックアブソーバーを交換するケースを見掛けるのですが、
経年劣化や総合的なバランスを考慮すると前後共に同時交換してしまった方が走行も安定するだけでなく、
最高のパフォーマンスを発揮させメンテナンスコストの削減にも繋がる為、
トータル的な事を考慮して作業を行う事が大切です。
前後サスペンションの交換を終え、冷間始動時にキュルキュルと音が鳴っているベルト廻りの交換を実施。ベルト類やテンショナー、プーリー等に不具合があると異音を発生させ、
プーリーが固着してしまうと摩擦の影響でベルトが断裂し
、冷却機能が失われる事でエンジンのオーバーヒートを発生させ、
パワステも利かなくなり操作が出来なくなって非常に危険です。
断裂したベルトがエンジンルーム内で暴れたり、巻き付いてしまう事でエンジンにダメージを与え、
こちらも2次被害、3次被害と確実に被害が拡大してしまいます。
新旧のベルトテンショナー、アイドラプーリー。
内部ベアリングの消耗は目視では確認できませんので、走行距離やエンジンをかけた際の音などの
情報も頼りに交換のタイミングを見極めます。
新旧のファンベルト、エアコンベルト。
4輪ホイールアライメント調整を行います。
ショック交換後している事もありますが、アライメント数値の狂いが大きすぎますね。
アライメントの調整は車を正常に走行させるのに欠かせない作業のひとつです。
街中を走らせているだけでも徐々に狂っていきますので、2年に一度は測定・調整をおすすめしています。
タイヤの摩耗や部品の消耗・劣化等も関係する為、同じモデルであったとしても車輌によってそれぞれ
適正な数値は変わってきます。テスターで測定し、メーカーの定める基準値に合わせたから
作業が終わりというわけではなく、テストランを繰り返し行い、その車の状態に最も適した数値を導き出していきます。全ての作業を終えたら最終のテストランを実施し、修理箇所だけでなくその他に違和感等が無いか確認を行います。テストランで問題が無ければオーナーへ分解整備記録簿と4輪ホイールアライメントデータをお渡しし、
今後のメンテナンス等をお話しして納車となりました。

今回はX5 E70の足廻りからの異音修理等の作業を行いました。
車重の重いXシリーズはウィークポイントとして足廻りにトラブルを抱えるケースも多く見られ
中でもE53やE70モデルでは今回の様に足廻り部品の破損や
エアサスの不具合等の症例も多く、走行中の状態の変化や異音等の違和感があれば症状が酷くなる前に
掛かりつけの主治医へ相談する事が大切ですね。
人間と同様に年を重ねればあちこちに不具合が出てしまう事は仕方が無い事なのですが、
掛かりつけの主治医と長期のメンテナンスプランを立てて対応していく事で
色褪せないBMWらしいドライビングフィールをキープし維持していく事も楽しみのひとつではないでしょうか。

2020年03月14日