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MAINTENANCE REPORT

【ALPINA D3 Bi-Turbo】ウインズ マルチサーブ【200,000Km】

あっという間に4月下旬です。自宅と職場の往復のみでちょっと退屈・・・かな・・・とも思いましたが
自炊に目覚めたり、プラモデルの製作を久々に開始したりと、それなりに充実した毎日を送っています。
ただ、正直マスク生活には慣れません・・・がもうマスク無しでは周囲からの視線が痛そうなので我慢しています・・・

さて、本日のメンテナンスレポートはWynn’s Multiserveを使用したDPF(ディーゼル微粒子補修フィルター)等の
総合的なクリーニングを行う、ALPINA D3 Bi-Turboのリフレッシュ作業です。
こちらの機材ですが、3、4年前に幕張で行われた工具ショーでウィンズさんに紹介され
製品化されたら是非!と言われていたので導入してみました。
今まで当社で使用していたインジェクションパージの機材をよりパワーアップさせ、
ガソリン・ディーゼル問わずインテークシステムからエギゾーストまでを
しっかりとクリーニング・再生してくれるアイテムになります。
今回の車輛はD3 Bi-Turbo、走行距離が200,000km
DPFシステム警告灯の点灯、DPF詰まりによる不具合ですね。
こうなると通常DPFの交換しか手段が無かったわけですが、マルチサーブを使用すると内部洗浄により再生します。
エンジンチェックランプが点灯などDPFエラーを放置したまま走行を続けるとインジェクターや
EGRバルブの詰まりなど不具合が積み重なっていきますので、フィルターエラーが出た時点で
早急に解決した方が良いですね。
DMEにアクセスしディフェクトエラーを確認すると色々出ていますね。
まずはDPF詰まりを取り除く作業をマルチサーブを使用し作業を進めていきましょう。
オーナーに伺ったところ冬季のエンジン始動がイマイチだったようなので
4番のグロープラグはおそらく交換しないと駄目そうです。
ここ近年、欧州車のディーゼルモデルがラインナップに加わってきており、
街中でも多くのモデルを見かけるようになってきましたね。
ガソリン車と比較すると排気ガスには大気汚染や健康被害に繋がるといわれている
軽油のスス等の燃えカスが多く含まれている為、排出ガス規制によって
DPF装置(ディーゼル微粒子補修フィルター)の装着が義務付けられ微粒子の除去を行っています。
なので、昔のイメージと違い黒煙も排出せずに快適なドライブを楽しめるという事になります。
ただこのDPFはフィルターなので、使用していれば目詰まりを起こし、その目詰まりを解消する必要があり、
DPFを再使用出来る状態にする為にDPFの再生作業を行う必要があります。
再生方法はメーカーや車種によって様々で、コンピューター制御で走行中に汚れを自動燃焼させる【自動再生】や
ユーザー側が自身でDPF再生ボタンを押す等で再生作業を行う【手動再生】、
専用のテスターを用いて強制的に燃焼させる【強制再生】等があります。
D3 Bi-Turboは自動再生を行うモデルなのですが、低速走行時や10分以下の短時間走行の繰り返し、
暖機出来ない様な走行の繰り返し、長時間のアイドリング等では自動再生が行われない恐れがある為、注意が必要です。
相応距離や経年が進むと燃焼によって除去出来ないアッシュと呼ばれるエンジンオイルの燃えカス等が堆積する事で、
DPFの再生頻度が多くなったり、症状が悪化した為に強制再生を繰り返すとDPF内の触媒が溶損して、
高額なDPF本体の交換が必要になってしまう事もありますし、
基本的にメーカーではフィルターエラーでの対応はDPF交換という手段しかありません。
今回施工を行うWynn’s社のMultiserveはそんなDPF交換を行う事無く、
堆積したアッシュやカーボン(スス)等の汚れを専用のクリーナーで効果的に洗浄する事が可能です。
Multiserveはその他にインジェクター(燃料噴射装置)の洗浄やエアインテークの洗浄
(スロットルボディ・インテークバルブ・マニフォールド)、ターボシステムの洗浄等を行う事が可能で、
特にディーゼル直噴ターボエンジンは汚れが堆積してしまうと
汚れの除去に時間や費用が多く掛かってしまうケースが多く、汚れを出来るだけ堆積させない事が
重要になるのですが、直噴システムは通常のエンジンよりも汚れが溜まりやすく、
特に近所までのチョイノリが多かったり、渋滞地区の走行が多い方は、多くの汚れが堆積してしまう傾向の為、
Multiserveでトータル的に施工を行い、エンジンをクリーンな状態にリセットする事をおすすめしています。
DPFの洗浄に使用するクリーナーは2種類を使用。
【1】DPFクリーナーを浸透させ汚れを浮かせた後に【2】DPFフラッシュを注入してフラッシングを行います。MultiserveをDPFの圧力や温度センサー等へ装着し、DPF内へ【1】のDPFクリーナーを注入して汚れに浸透させます。DPFクリーナーを浸透させ汚れを浮かせた後に【2】のDPFフラッシュを注入しフラッシングを行います。Multiserveの項目をディーゼルDPFへセット。今回はDPFの汚れ具合を判断し、通常洗浄モードでフラッシングを行います。洗浄が完了。
エンジンを作動させて汚れやクリーナーを車外へ排出させます。排出作業中もMultiserve側では作業の管理を行っています。排出作業では一気にエンジンの回転数を上げるのではなく、
負担を掛けずにエンジンの回転数を一定にキープしながら作業を行います。次に直噴エンジンのウィークポイントとして汚れが堆積し易いエアインテークの施工を行います。
(スロットルボディ・インテークバルブ・マニフォールド)
直噴エンジンは燃料を直接燃焼室へ噴射している影響で、空気と燃料を均等に混ぜ合わせる時間が少なく無くなり、
燃焼ムラが発生する影響でカーボンが発生しやすく、従来のポート噴射式のエンジンと比較すると、
燃焼室以外の特に吸気系にカーボンが多く堆積してしまう為注意が必要です。
ポート噴射式のエンジンではガソリンに含まれている
洗浄成分やガソリンタンクに注入するクリーナー等の添加剤により、
ある程度インテークバルブ等の洗浄を行う事が可能なのですが、直噴エンジンでは直接燃焼室へ噴射している為、
ポート噴射式のエンジンの様な洗浄の効果は期待出来ません。
直噴エンジンは、吸気系に汚れが堆積してくると燃費の悪化やエンジン性能が低下する等の症状が出るのですが、
そうなってしまってからでは、かなり悪化しているケースが多く、市販のクリーナーでは除去する事が出来ない為、
汚れを堆積させない様に定期的に汚れの除去を行っておく事が必要です。
Multiserveエアインテーククリーナーを注入し、エアインテークの
(スロットルボディ・インテークバルブ・マニフォールド)洗浄作業を行います。クリーナーをエアインテーク内へ噴射させる時間を設定。クリーニングの噴射間隔を設定する事で効率良く洗浄を行います。洗浄の前に洗浄効率を高める為にエア抜き作業を実施。アトマイザ(噴射機)をMultiserveへ装着しエア抜きを行います。エア抜きを終えたら洗浄作業を始めます。今回使用したクリーナーは【Wynn’s DIESEL AIR INTAKE CLEANER】
軽油を燃焼した際に発生し堆積してしまったカーボンを効果的に除去します。
カーボンの堆積を防ぎ除去効率を高める為にも定期的に作業を行う事が大切です。エンジンを始動させて一定の回転数を維持し、クリーナーや落としたカーボン等の汚れを車外へ排出させます。インジェクターの洗浄を行います。
特に直噴エンジンはインジェクターのノズルが燃焼室に装着されている影響で発生したカーボンが付着しやすく、
高圧で燃料を噴射させているインジェクターが目詰まりしてしまうと、パワーダウンや燃費の悪化、
アイドリングが不安定になるだけでなく、異常燃焼により更に汚れが堆積し症状が悪化してしまう為注意が必要です。汚れの状態により通常洗浄・強力洗浄を選択し、洗浄時間を設定。今回は経年・走行距離を考慮して強力洗浄を選択。時間を設定し洗浄を行います。次にターボシステムのメンテナンスを行います。
ディーゼルエンジンは基本的にノッキングする事がなく、機械的強度限界まで過給圧を高める事が出来る為、
現在殆どのディーゼルエンジンにはターボが装着されており、エンジンの出力を向上させるだけでなく、
自動車排気ガス規制をクリアする為にも重要な役割を担っており
ディーゼルエンジンには必要不可欠な装置となっています。
ターボシステムは排気ガスを利用してタービンを高速回転させて、
高圧力にした空気をエンジンへ供給する事で出力を向上させているのですが、
排気ガスを利用して高速に回転を繰り返す事でタービンが非常に高温になる為、
エンジンオイルによってベアリング部分の冷却を行っています。
その為、エンジンオイルの管理が適正でないとエンジン内部で発生したスラッジやカーボンが悪影響を与えて、
ベアリングを消耗させ最終的には破損させる事があり、
ターボ車にとってエンジンオイルの管理は非常に重要になります。
ターボシステムは排気ガスを利用している影響で、排気ガスに含まれたカーボンがタービンに徐々に堆積してしまい、
負担を掛ける事でタービンの動きが悪くなったり不具合を発生させる事がある為、
定期的にメンテナンスを行う事が大切で、今回のメンテナンスではタービンに堆積したカーボンを
専用のクリーナーで除去していきます。
Multiserveへクリーナー【Wynn’s DIESEL TURBO SERVE】を注入。洗浄に関する設定を行います。今回は経年や走行距離を考慮して【強力洗浄】の圧力設定で施工を行います。全ての作業を終えたらDISでDPFのリセットを行います。DPFのリセットが完了。 BMWのDPF設定データは250,000kmなのですが、走行方法や走行環境等の違いで数値は大きく変わってしまう為、
数値だけを参考にするのではなく、必ず点検時の状態を判断してメンテナンスを行って下さい。
これでマルチサーブを使用した作業は完了です。
エンジンオイル交換。
古いオイルを排出する前にエンジンのフラッシング作業を行います。
フラッシング剤を注入しエンジン内部に堆積してしまったスラッジやカーボンを落としやすくします。10分~15分程アイドリングを行い、
エンジン内部の手の届かない箇所までフラッシング剤を浸透させて汚れを除去した後に、
古いエンジンオイルと共に一気に排出させます。
時間を掛けてしずくが垂れなくなるまで排出を行い、廃油はそのまま処分するのではなく、
異常な汚れや金属片等が含まれて無いか確認しエンジン内部の状態を探ります。
特にディーゼルエンジンはガソリンエンジンに比べて多くのカーボンが発生するだけでなく、
オイル管理の良し悪しでターボシステムにも多くの影響を与える為、しっかりとしたオイル管理が必要になります。新旧のエンジンオイルエレメント。
装着に使用するOリングやワッシャも新品を使用します。排出を終えたらオイルエレメントを装着し規定量のエンジンオイルを注入して、
エンジンオイルの交換が完了。
オイル交換を終えたらオイルインスペクションのリセットを行います。
オイルインスペクションは交換後にリセットを行う事でコンピューターが管理を行い、
次回の交換時期を知らせてくれる便利な機能なのですが、日本の走行環境を考慮すると、
交換の表示が出るまで走行する事はNGです。
オイルインスペクションは、あくまでも交換の目安として参考にしておくぐらいにし、
特にディーゼルターボモデルは汚れの除去や冷却効果等のオイルの重要性が非常に高くなる為、
インスペクションの表示が22,000kmから交換を意識し、表示が20,000kmの頃、
もしくは交換後6ヶ月が経過するどちらか早いタイミングで交換を終えておく事が大切です。
今回の車輌は交換時の表示が4,200km、日付は2021/02となっており、
インスペクションのリセット後は25,000kmから数値が減っていくので、
計算すると25,000km-4,200km=20,800kmでの交換となっている為、
車の状態や経年、他のパーツに与える影響等を考慮すると、もっと早いタイミングで交換する事をおすすめします。
劣化したオイルには多くのスラッジやカーボンが含まれている為、オイル漏れを誘発したり、
ターボモデルではタービンのベアリングを摩耗させ、冷却効果も低下する事でエンジンのオーバーヒートや
タービンの焼き付き等を発生させる恐れがあり、経年を重ねる程パーツへの負担が多くなってしまう為注意が必要です。
下部の日付の表示は次回の交換日を知らせているのですが、
あまり参考にはならないので距離の方を参考に交換を行って下さい。
オイルインスペクションのリセットが完了。
日付表示は2年後…。ここまで交換しないとどうなってしまうのか…。Multiserveの作業を終えたら最終仕上げに【Wynn’s DIESEL TOTAL ACTION TREATMENT】を給油口から注入し、
今回行った作業の総合的な効果を高め、インジェクターの洗浄・保護、燃焼効率を回復しDPFの再生を助けます。全ての作業を終えたら最終のテストランを行い、修理箇所やその他に異常が無いか確認を行います。
今回はWynn’s Multiserveを使用してALPINA D3 Bi-Turboの総合的なリフレッシュ作業を行いました。
ディーゼルターボモデルはガソリン車とは違った点で注意しなければならない点も多く、
ガソリン車と同様の対応をしていると状態を悪化させてしまう為、
自身の車の特性やメンテナンスに注意が必要な点を把握しておく事が大切です。
これからこういったトラブルが多くなってくるでしょう。
直噴エンジンは従来のポート噴射式のエンジンよりもパワーやトルクを発揮し燃費も向上するのですが、
インテークやインジェクター、ターボシステム、ディーゼルモデルはDPFにカーボン等の汚れが堆積し易く、
メンテナンスを怠っていると大掛かりなクリーニング作業やパーツの交換が必要になってしまう事がある為、
デメリットを解消していく為にも今回の様な作業を定期的に行う事は、
総合的にメンテナンスコストの削減に繋がる為、直噴エンジン車や特にディーゼルターボモデルの
オーナーにはおすすめのメンテナンスメニューになります。
もちろん、ディーゼルだけでなくガソリンモデルにも対応した機材になりその効果も実証済みなので
お気軽にお問い合わせ下さい。
ただし、作業時間は丸一日かかりますので、お預かりにての作業となります。ご了承下さい。

2020年04月27日