MENU

MAINTENANCE REPORT

【ALPINA D3 Bi-Turbo】マルチサーブ施工【120,000Km】

今回のメンテナンスレポートは、ALPINA D3 Bi-Turboのマルチサーブ施工です。走行距離は120,000Km。
マルチサーブとはwynn’s社がリリースした洗浄装置で、燃料系統・吸気系統・ターボチャージャー・
DPF(黒煙除去フィルター)と1台で4種類のクリーニングを行う事が可能となっており、
ガソリン車、ディーゼル車問わず施工が可能です。
特にディーゼル車におけるDPF(黒煙除去フィルター)のクリーニングには非常に効果的で、
通常DPFが詰まってしまうと、メーカーでは基本的にDPFの交換になってしまうのですが、
マルチサーブを使用し内部洗浄を行う事で、DPFを交換する事なく再生する事が可能になります。警告表示を確認すると…ドライブトレーンのエラーが出ています。
ドライブトレーンのエラーは吸排気系、燃料系、センサー系、プラグ等の電装系と様々な原因で警告表示される為、
不具合の予兆で出るケースや突然表示されるケース、リセットや再コーディングで解消される等があり、
DMEに接続してディフェクトエラーを確認しないとトラブルの詳細は判らない為、
以前経験したからと安易に判断してしまうと、思わぬトラブルに発展してしまう事もあるので注意が必要です。マルチサーブの施工作業は、燃料系統・吸気系統・ターボチャージャー・DPF(黒煙除去フィルター)の
総合的なクリーニングを実施し、車輌全体をクリーンな状態へリフレッシュさせます。今回使用するクリーナー一式。
ディーゼルモデルに特化した液剤を使用する事で最大限の効果を発揮させます。
特にDPFのクリーナーに関しては、不具合の原因となり従来の作業では除去する事が難しかった、
アッシュと呼ばれるエンジンオイルの燃えカスを2種類のクリーナーを使用する事で効果的に洗浄する事で
従来はアッシュが堆積してしまう事で交換が必要だったDPFを再生する事が可能になっています。DPFの洗浄を行います。
DPFとはディーゼル微粒子補修フィルターの事で、ディーゼル車の排気システムに装着されています。
ガソリン車と違いディーゼル車の燃料は軽油を使用しており、排気ガスには大気汚染や健康被害の原因といわれる、
軽油のスス等の燃えカスが含まれてしまう為、排ガス規制によりディーゼル車にはDPF装置の装着が義務付けされ、
ディーゼルエンジンが発生する微粒子の除去を行っています。
昔は黒煙を吐き出しながら走るディーゼル車のイメージがありましたが、
現在ではこの装置のおかげで環境に配慮した走行が楽しめる様になりました。
しかしDPFはフィルターの為、使用していけば目詰まりを起こしてしまう為、
車輌にはDPFの再生を行う機能が備えられており、定期的にDPFの再生を行う必要があります。
DPFの再生には車輌側のセンサーが感知して走行中に燃焼作業を行う【自動再生】や
DPF再生ボタンが備えられユーザー自身が燃焼作業を行う【手動再生】、
自動再生が適正に行われなかったりした場合に工場等で専用のテスターを用いて強制的に燃焼を行う
【強制再生】等があります。
D3 Bi-Turboは自動再生を行うモデルなのですが、低速走行や短時間の走行(10分以下)の繰り返し、
暖機出来ない様な運転の繰り返し、長時間に及ぶアイドリングでは自動再生が行われないだけでなく、
アッシュが堆積して目詰まりの原因になってしまう為、注意が必要です。
アッシュはエンジンオイルに含まれる硫酸灰分が燃焼する事で生成され、
DPF再生の燃焼作業では除去する事が出来ない為、
定期的に洗浄を行うかDPF装置の交換が必要で、基本的にアッシュの目詰まりによるフィルターエラーに関しては、
メーカーでは洗浄は行われずDPFの交換のみの対応になります。
DPFクリーナーを注入し液剤をDPFへ浸透させ、汚れを浮かせて洗浄を行います。Multiserveの洗浄モードは【ディーゼル…DPF】へセット。洗浄方法は汚れ具合を判断し【通常洗浄】へセット。エンジンを始動させ5分程アイドリングを行います。作業中はタイマーがカウントダウンする事で作業に掛かる時間を知らせてくれます。洗浄を終えたらDPFのフラッシング剤を注入し、フラッシングで落とした汚れを洗い流して車外へ排出させます。DPFのフラッシング剤を注入し、エンジンを掛けた状態でDPFのすすぎを行います。Multiserveで管理の元、排出作業を行います。排出作業中は負担を掛けない様に一定の回転数をキープしながら作業を行います。マフラーからはクリーナーで落とされた汚れやアッシュ等が泡状になって排出。マフラーを車体から降ろしたり、PDF装置を加工する等なく効率よく効果的に洗浄を行います。タイマーのカウントダウンが0になりフラッシングを終えたらDPFの洗浄作業が完了。次にMultiserveへエアインテーククリーナーを注入し、エアインテーク(スロットルボディ・インテークバルブ・
マニフォールド)の洗浄を行います。
D3 Bi-Turboは直噴ディーゼルターボエンジンを搭載しており、直噴エンジンは耐ノッキング性や燃費を向上させ、
非常に高いパワーやトルクを発生する事が可能になったのですが、
デメリットとして従来のポート噴射式のエンジンよりも
燃焼室以外にも吸気系に汚れが堆積しやすく、
チョイノリ等の短距離走行や渋滞地区等を走行する方は汚れが多くなる傾向の為、
Multiserveでトータル的な洗浄を行い、エンジンをクリーンな状態にリセットする事をおすすめしています。
従来のポート噴射式のエンジンでは、一部のガソリンに添加されている洗浄成分や、
ユーザーがガソリンタンクに注入する添加剤によりある程度の洗浄効果は期待出来るのですが、
直噴エンジンは燃焼室へ直接燃料を噴射している為、従来の洗浄方法ではポート噴射式のエンジンの様な
洗浄効果は期待出来ません。
クリーナーをエアインテーク内へ噴霧させる時間を設定。洗浄効果を高める為にエア抜き作業を行います。洗浄作業を開始し、軽油を燃焼する際に発生し堆積してしまったカーボンを効果的に除去。
特に直噴エンジンはカーボンの堆積を防ぎ除去効果を高める為にも定期的な作業を行う事が大切です。
次にフューエルラインにマルチサーブを接続し、フューエルラインやインジェクターの洗浄を行います。直噴エンジンのインジェクターのノズルは燃焼室に装着されている為、
ポート噴射式エンジンと比べてカーボンが付着し易く、
インジェクターのノズルへカーボンが付着すると適正な燃料噴射が出来なくなってしまい、
パワーダウンや燃費の低下、アイドリングが不安定になる等の不調の原因になるのですが、
直噴エンジンはポート噴射式エンジンと比べて燃料噴射量のコントロールが非常にシビアで、
付着したカーボンの影響で燃料噴射量や噴霧形状が変わってしまうと、
更にカーボンが発生しやすくなって症状が悪化してしまう為注意が必要です。
ディーゼル車専用のクリーナーを注入しフューエルシステムやインジェクターの洗浄を行います。汚れ具合により【通常洗浄】と【強力洗浄】の選択や時間の設定行うのですが、
今回は経年や走行距離を考慮し、【強力洗浄】を選択して堆積したカーボン等のクリーニングを行います。次にターボシステムのクリーニングを行います。
ターボシステムは排気ガスを利用してタービンを高速回転させ、
高圧力にした多くの空気をエンジンへ供給する事で出力を向上させているのですが、
排気ガスを利用して高速に回転を繰り返す事でタービンが非常に高温になる為、
エンジンオイルによってベアリング部分の冷却を行っています。
その為ターボ車は、エンジンオイルの管理だけでなく対応するエンジンオイルを使用する事が大切で、
管理状態が悪くなるとカーボンやスラッジがベアリングを傷めたり、
冷却効果が失われる事でタービンを破損させてしまう為、
ターボ車のエンジンオイルの管理は非常に重要になります。
ターボシステムは排気ガスを利用している為、排気ガスに含まれたカーボンがタービンに徐々に堆積していく事で、
タービンの動きが悪くなったりオイルの循環が妨げられる事で冷却効果が薄れ、
ベアリングが焼付いたりシャフトの折損に繋がる事がある為、定期的に汚れの除去が必要です。状態によって【通常洗浄】と【強力洗浄】から選択し洗浄を行うのですが、
こちらも経年や走行距離を考慮して【強力洗浄】を選択し、ターボシステムに堆積しているカーボンの除去を行います。
Multiserveによる全てのクリーニング作業を終えたら、
最終の仕上げとして【Wynn’s DIESEL TOTAL ACTION TREATMENT】を
給油口から注入し、今回行ったクリーニングの総合的な効果を高めるだけでなく、
インジェクターの洗浄や保護、燃焼効率を回復しDPFの再生を助けます。

全ての作業を終えたら最終のテストランを行って、不具合や気になる点等がないか確認を行い、
特に問題が無ければ後日オーナーの元へ納車となります。

今回はALPINA D3 Bi-Turboのリフレッシュ作業を行う為、Wynn’s Multiserveの施工を実施しました。
ディーゼル車はガソリン車と違い、注意する点が多くガソリンモデルと同様の対応や
メンテナンス方法等を間違えてしまうと症状を更に悪化させてしまう恐れがある為、
ご自身の車輌の特性やメンテナンス方法等を把握しておく事が大切です。
直噴エンジンは従来のポート噴射式エンジンよりも出力や燃費も向上するのですが、
インテークやインジェクター、ターボシステムの汚れの堆積、ディーゼルモデルならDPF等に汚れが堆積し易く、
使用するエンジンオイルや交換時期等の管理も重要になる為、定期的にメンテナンスを行う事が大切で、
今回の様にMultiserveを施工する事で総合的にメンテナンスコストの削減に繋がる為、
直噴エンジン搭載モデルやディーゼルターボモデルのオーナーには特におすすめのメニューになります。
勿論、ガソリンモデルでも効果は実証済なので、車輌のリフレッシュをご希望の方はお気軽にお問合せ下さい。
尚、施工には丸一日が必要になる為、車輌をお預かりしての作業になりますのでご了承下さい。

2021年03月30日