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MAINTENANCE REPORT

【ALPINA B3 3.0/1】12ヶ月法定点検&各部メンテナンス【62,000Km】

本日は12ヶ月法定点検&各部メンテナンスの為、ALPINA B3 3.0/1が入庫です。
定期的にご入庫いただいている車輛なので、大きな問題も無く、各部のオイル交換を中心に作業を進めていきます。
今回はATシステムのメンテナンスとしてATF交換を実施。
当社の交換方法は全量交換です。
2年に一度交換されている車輛なので、ATFの色からもATに問題が無い事を伺わせます。
ドレンボルトからATFの排出を行い、排出後にオイルパンを外して
内部に装着されているATFエレメントを新しい物へ交換。定期的に交換されている車輛でも、2年でこの程度のスラッジがオイルパン底部に設置された
磁石に引き寄せられている訳ですから、これが5年以上・50,000Km以上無交換だったとすると
AT内に発生するスラッジの量は相当量だという事が想像できますね。
オイルパンは洗浄油で綺麗にしてから装着します。スラッジが付着していた磁石も綺麗になりました。閉店間際にATF排出を行い、一晩そのまま置いておくと
翌日までにオイルパン半分程度のオイルが排出されます。
新旧のATFエレメント、オイルパンガスケット。
元々はシルバーなのですが黒いエレメントは内部で発生したスラッジ等の汚れが付着して黒くなっています。
新しいATエレメントを装着。
新しいガスケットと漏れやすい箇所には液体ガスケットを併用しながらオイルパンを装着。
ATFの注入。
テスターを使用して油温を確認しながら油面調整を行うのですが、ATFは量が多くても少なくても
ATシステムの不具合を誘発するのでシビアな調整が必要です。
何度かテストランを行いベストな量を見極めて調整していきます。デフオイル交換。
温めた状態で、ある程度粘度を下げて排出を行う事で内部のスラッジをスムーズに車外に排出することがポイントです。
デフオイルは内部のデファレンシャルギアを潤滑しているのですが、
エンジンやATシステムの様にオイルエレメントは装着されていません。
その為、内部で発生したスラッジを取り除く事が出来ず、スラッジが混ざり合ったオイルで潤滑させている状態なので
定期的な交換をおすすめしています。新旧のドレンボルトワッシャ。
見た目には問題が無くても古いワッシャを再使用すると密着性が失われている為、オイル漏れに繋がります。
ワッシャは自身が潰れる事で密着性を高めているので一度使用したワッシャの再使用は出来ません。規定量のデフオイルを注入してデフオイル交換が完了。パワステオイルの交換。
油圧の力を利用してハンドリングを軽く操作し易くしているシステムがパワーステアリングなのですが、
使用されているオイルは徐々に汚れて劣化していきます。
交換を怠ると発生したスラッジ等でパワステポンプやギアボックスが故障したり
パワステラインの詰まりでオイル漏れの原因に繋がる事があるのでエンジンオイル等と同様に定期的な交換が必要です。
新品のパワステオイルは赤い透明なのですが、劣化すると透明度は無くなり徐々に赤黒く変化していきます。専用の機材を使用してパワステラインのフラッシングをして内部で発生したスラッジ等の汚れの除去を行い
フラッシング後に古いオイルを車外へ圧送して新しいオイルを注入します。交換後のパワステオイルはこの様な透明な赤い色なのですが、パワステライン等に汚れが残ったままだと、
新油と混ざってしまい再汚染されて綺麗な透明になりません。
汚れたオイルはホースやガスケット等にも影響を与えるので交換の際には注意が必要です。ブレーキフルードの交換。
ブレーキシステムも油圧の力を利用して制動力を高めているので使用するブレーキフルードの劣化には注意が必要です。
ブレーキフルードの劣化具合は色で判断する事が可能で、新品の状態では無色透明なのですが、劣化が進むと徐々に
紅茶色に変化していくので非常に判りやすく、ブレーキフルードタンクの蓋を開ければ簡単に確認出来ます。
新しいフルードはブレーキ操作で高温になった際でも沸点が抑えられているので
問題無くブレーキ操作が可能なのですが吸湿性が高く徐々に水分を含んでいく為、
ブレーキ操作時の熱で吸湿した水分が蒸発する事でブレーキラインに
気泡を発生させて油圧が伝わらなくなるベーパーロック現象を発生させます。
ベーパーロック現象になるとブレーキペダルを踏んでもスカスカと圧力が伝わらずブレーキが利かない状態に陥って
非常に危険なのでブレーキフルードの劣化には注意を払い、定期的に交換する様にして下さい。ブレーキフルードの交換には専用の機械を使用してブレーキラインに溜まった
錆や水垢等の汚れを古いフルードと共に圧送させ車外へ排出します。
劣化したブレーキフルードは吸湿する事が原因でブレーキシステムに錆を発生させ、キャリパーのピストンが固着して
ブレーキの引き摺りを起こし、ブレーキパッドやブレーキローターにダメージを与えます。
錆が酷くなるとブレーキシステムの交換が必要になる場合があるので、ブレーキキャリパーのメンテナンスも
定期的に行なった方が良いでしょう。交換後のブレーキフルード。
交換前の色と見比べて頂ければ違いが判ると思います。
ブレーキフルードの交換は基本的に12ヶ月点検や車検整備の際に交換している事が多いのですが、
車の使用環境・頻度によっても変化する為、一概に言えません。
御自身の走行ではどれぐらいで劣化が進行するのかを把握する為にも定期的にブレーキフルードの状態を
確認してどのタイミングで交換する方がベストなのかを見極める事が大切です。
新旧のスパークプラグ。
プラグを確認すると劣化が進んで交換が必要な状態でした。
プラグが劣化してしまうとエンジン出力が低下したり、
異常燃焼や燃費の悪化、不完全燃焼状態でのエンジンの使用は、
排気系センサーや触媒等の損傷にも繋がるので異常が出る前に多少交換時期が早くても交換した方が良いでしょう。

取り外したスパークプラグなのですが、カーボンの汚れや電極の摩耗等でかなりの劣化が見られます。
スパークプラグは消耗品なのですが、長寿命なタイプが増えて以前程、
交換に気を使わない方が多くなって来ているので
点検の際には必ず状態を確認して定期的に交換する様にして下さい。新旧のエアクリーナーエレメント。
並べて見ると汚れ具合が判りますね。
エアクリーナーは取り入れた空気に含まれた塵や埃、花粉や小さな虫等を濾過する事で取り除き、
綺麗な空気をエンジンへ供給しています。
しかし、汚れてくると目詰まりを起こして空気量が減るだけでなく、溜まった汚れが空気と共にエンジン内へ
送り込まれる事になりエンジンの不調を引き起こす事があります。
交換時期は走行環境によっても違う為、定期的に点検を行い状態を確認して交換する様にして下さい。交換の際に見落としがちなのがエアクリーナーケース内部の汚れ。
常に空気を濾過している為、汚れが堆積している事が多く、
新しいエアクリーナーエレメントを装着しても十分な効果は得られません。
堆積していた汚れがそのままエンジンへ混入する事も考えられるので
交換の際は忘れずにケース内部を清掃しておきます。エアコンのマイクロフィルターの交換。
E36モデルは助手席のグローブボックスを外した奥に装着されているので
交換がE46などに比べると少々時間がかかります。
新旧のエアコンマイクロフィルター。
濾過された埃や塵等の汚れでかなり汚れていました。
マイクロフィルターは空気中の汚れを濾過する事で綺麗な空気を車内へ取り入れているのですが、使用していくと
取り除いた汚れが目詰まりを起こし、状態によってはタバコのヤニや発生したカビ等が異臭の原因になる事があります。
エアコンを使用した時にムワッと異様な匂いを感じるのは、この様な事が原因になっているので、定期点検の際や
冷房を使用する夏場を迎える前に状態を確認して交換する様にした方が良いでしょう。インテークブーツに亀裂を見つけたので交換します。新旧のインテークブーツ。
見た目には判らないと思いますが、ゴム製のパーツは経年劣化する事で徐々に油分が抜けて固くなり
柔軟性が無くなって破損してしまうので注意が必要です。破損していた部分。
新旧の右側のテールランプ。
特に見た目だけでは問題ないのですが…
基板部分が焼けてしまい機能しないので交換が必要な状態でした。
こちらは基板回路のみの供給は無いのでASSY交換になります。
ソケットやバルブの接触不良等の原因もあるのですが、
その他にパッキンの劣化等で雨水の浸水や内部に結露が発生し、
酷い場合はそれが原因で電気回路がショートする事があります。
雨水の浸水や結露は錆の発生にも繋がり、内部で発生した錆はパーツを外さないと気付かない事が多く、
錆が悪化してしまう事があるのでランプ内に結露が発生する様な場合は
放置をせずにしっかりと対処しましょう。泥汚れなどを落とし、新しいテールランプを取り付けます。
新しいテールランプを装着して点灯を確認して交換作業が完了。
全ての作業を終えたらテストランを行い、修理箇所やその他に不具合が出ないか確認し、
今回の作業項目を定期点検記録簿に記載してオーナーの元へ納車となりました。

2017年08月01日