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MAINTENANCE REPORT

【E86 M Coupe】各部オイル交換【120,000Km】

今回のメンテナンスレポートはE86 M Coupeの各部オイル交換です。走行距離は120,000Km。
関東でも雪がちらついた日に福島からご来店頂き入庫となりました。
走行距離も120,000Kmと各部の状態が気になる所です。
帰路の際には更に安全に楽しんで頂ける様に各部のチェック・オイル類の交換を行っていきましょう。
まずはエンジンオイル交換。
当社のエンジンオイル交換はフラッシング作業が含まれており、フラッシングを行う事で
エンジン内部で発生し堆積してしまったスラッジやカーボンの汚れを落しやすくします。
使用しているフラッシング剤は【wynn’s OIL SYSTEM CLEANER】で
素早く汚れに浸透し、汚れを落す際の摩擦を軽減するだけでなく、
保護被膜を形成し再付着防止効果で一度落した汚れの再付着を防止する効果が期待出来ます。
10分~15分程アイドリングを行ってフラッシング剤を汚れに浸透させ、
充分にエンジン内部汚れを落とした後に古いオイルと共に汚れを排出。
同時に廃油に異常な汚れや金属片等が含まれて無いか確認を行ってエンジン内部の状態を探ります。
出来るだけエンジン内部に古いオイルを残さない様に最後の一滴が垂れなくなるまで
時間を掛けて排出を行う事が大切です。
エンジンオイルは使用していけば汚れてしまう為、定期的に交換を行わないとエンジンに負担を掛け、
性能や燃費の低下だけでなくオイル漏れや予期せぬトラブルに見舞われてしまう事もありますね。

交換のタイミングはオイルインスペクションのスタートが25,000Kmである事と、
メーカーの交換サイクル指示が環境志向の観点などから長期の無交換を謳っている事もあって
どのタイミングで交換すればよいか分からない・・・と問い合わせいただく事も多いわけですが
交換時期は走行環境や走行方法等の違いで変化するので、ご自身の車の特性や
その車に求めるものを良く考えた上で、決めていただいて良いのではないかと思います。
ただ、ひとつ付け加えるのであれば技術の向上により、各部のクリアランスは精密になりましたが
エンジンの基本構造は今も昔も基本的な違いは無く、必ずスラッジは発生するという事です。
私達は3,000kmを過ぎた頃から交換を意識して、5,000kmまでには交換をした方が良いですよ。
とお伝えしていますが、自身の車のコンディションをどの位置に合わせたいのか
足としての車なのか、それとも気持ち良くドライブを楽しみたいのか。
それぞれ思いや感覚は違うと思いますので、どうしたらいいのか・・・とお悩みの方はお気軽にお問い合わせ下さい。
オイルエレメントの交換。
装着に使用するパッキンやワッシャ類も新品へ交換。
オイルエレメントはエンジンオイルが吸着した汚れを濾過する事でオイルを綺麗に保っているのですが、
長く使用していればオイルエレメントも汚れの付着も多くなり目詰まりを起こしてしまいます。
オイルエレメントが目詰まりを起こすとエンジンへのオイル流入量が減ってしまうのを防ぐ為に
バイパス経路から濾過を行わずに汚れたオイルをそのままエンジンへ送り込む事になるので
そうなると汚れたオイルが循環し、更にエンジン内部に汚れが堆積してしまいます。
オイルエレメントの交換に関してもオイル交換2回に1回で・・・というところもあるようですが
当社では基本的にエンジンオイル交換と同時にオイルエレメントの交換をおすすめしています。オイルエレメントの装着の際にはエレメントケース内部を綺麗にしておく事も大切です。オイルエレメントを装着し、規定量のエンジンオイルを注入してエンジンオイル交換が完了。
今回チョイスしたオイルはLIQUI MOLY社の【SYNTHOIL RACE TECH GT1 10W-60】
去年から取り扱いの開始したオイルですが、なかなか評判の良いオイルです。
今年に入ってからS54エンジンにかなり入れさせてもらいましたが、
吹け上がりの鋭さも申し分なく相性良しです。
ミッションオイルの交換。
交換の前にフラッシング剤を注入し内部で発生したスラッジを排出させやすくします。
MTのスポーツモデルではシフトチェンジの際のフィーリング悪化は
パフォーマンスが著しく低下してしまう為、ミッションオイルの管理は非常に重要で、
スポーツ走行を楽しむ方は、早めのチェックをした方が良いでしょう。
排出の前にはテストランを行って必ず温めた状態で排出を行う事が大切で、
冷えた状態で排出を行ってしまうと排出に時間が掛かるばかりか、
上手くスラッジを排出する事が出来なくなってしまうので注意が必要です。時間を掛けて排出を終えたら、規定量のミッションオイルを注入してミッションオイルの交換が完了。
FUCHS 5SPEED 75W-90
デフオイルの交換。
こちらも交換前にフラッシング剤を注入し内部で発生したスラッジを排出させやすくします。
スムーズなコーナーリングが出来るのもデフのおかげです。
ただデフはその構造上、相当量のスラッジが発生しやすい事もありますので
10,000Kmに一回はどの程度汚れているのかを確認した方が良いでしょう。
ミッションオイル以上にオイル粘度が高い為、
こちらも油温を上げた状態で排出を行い内部のスラッジと共に一気にデフオイルを排出させた上で
デフケース内の洗浄も行います。
規定量のデフオイルを注入してデフオイルの交換が完了。
FUCHS HLS90 95W-140 LSD対応
パワステオイルの交換。
パワステ系統のトラブルは?と言われるとBMWでは漏れというキーワードが多いですね。
構造上漏れやすい箇所ではありますが、漏れやすくなる原因として
パワステオイルの劣化もひとつの原因と言えるでしょう。
パワステオイルの交換は全量交換を行っており、専用の機械を使用してフラッシングを行い
圧力を掛けてパワステラインやパワステポンプ、ギアボックスに堆積した
スラッジを古いオイルと共に車外へ圧送させます。新油は画像の様に透明な赤色になるのですが、パワステラインに少しでも古いオイルやスラッジ等が残っていると
透明度が薄れるだけでなく直ぐに劣化が進行してしまう為、単に交換を行うのでは無く施工方法にも注意が必要です。
交換後はテストランを行って油面調整、エア抜き作業を行い
規定量からの増減が無いかオイル量を確認し交換作業が完了。
FUCHS ATF4000
ブレーキフルードの交換。
こちらも圧力を掛けてブレーキライン内に発生した錆や水垢等を古いフルードと共に車外へ圧送させます。
ブレーキはフルードの油圧によってブレーキシステムを可動させているのですが、
吸湿性が高く劣化が進行すると徐々に水分を含んでしまう為、交換を怠っていると錆の発生でピストンが固着したり、
ブレーキの熱でフルードが沸騰してしまい、その気泡がブレーキラインの油圧を妨げる事で
ペダルを踏んでもスカスカと油圧が伝わらなくなりブレーキが利かなくなるベーパーロック現象を発生させるので
交換を怠っていると非常に危険です。
劣化はリザーブタンク内部のフルードの色で確認が可能で、無色透明から徐々に紅茶色へ変化していき
最後には黒味を帯びてくるので定期的にチェックしておく事が大切です。排出された古いフルードに異常な汚れや錆等が含まれて無いか確認を行い
もし異常が見つかれば原因を突き止める為、ブレーキシステム全体を調査する為大掛かりな作業が必要です。
スポーツモデルはスピードを出すだけでなく制御するブレーキのメンテナンスも非常に重要になる為、
一般の交換時期を当てはめるのではなく、定期的に確認を行って自身の走行方法では
どれぐらいが最適なのかを把握しておく事が大切です。クラッチフルードの交換。
ブレーキフルードと同様に吸湿性が高く、水分を含むとクラッチのキレが悪くなるだけでなく
錆を誘発する事でマスターシリンダーが錆びてしまうと動きが鈍くなったり液漏れを発生させます。
液漏れが発生するとクラッチ操作が不安定になり、最終的には走行が出来なくなってしまいます。
新しいブレーキフルードを注入し、エア抜きを行ってブレーキフルードの交換が完了。
OMV Racing DOT4
冷却水の交換。
専用の機械を使用してフラッシング剤を注入し、冷却ラインで発生した錆や水垢等の汚れを浮かせてから
古い冷却水と共に車外へ圧送させます。
冷却系統もウィークポイントなのでトラブルも多く注意が必要なのですが、
この様な作業を年に回施工し水廻りを点検しておく事で
大幅にトラブルを回避する事が出来るので、水廻りのトラブルに悩まされているオーナーにはおすすめの作業です。
古いモデルは経年劣化によりエキスパンションタンクに亀裂が入る等のトラブルが発生する事も多く
冷却水が一気に噴き出す事があるので各部の劣化にも注意して作業を進めていきます。古い冷却水の排出を終えたら規定量の冷却水を注入し、エア抜きを行って冷却水の交換作業が完了。
FUCHS FRICOFIN G12
今回は一泊二日のお預かりでした。大雪予想でしたが見事に外れてくれて、翌日は快晴。
最終のテストランを行って整備箇所やその他に問題が無いかを確認し納車となりました。
まだまだ楽しめるコンディションですね。またのご来店お待ちしております。

2019年03月05日