【E30 325i Touring】法定24ヶ月点検&納車整備【58,000Km】
本日は先日売約済みとなりましたE30 325i Touringの法定24ヶ月点検と納車整備をお届け致します。
走行距離は58,000Kmと低走行ですが、経年による消耗もちらほらと見られます。
まずは、エンジンを始動させたところ、フューエルポンプ付近からジージーと何やら異音が…。
フューエルポンプ本体だけの問題なのかどうかをしっかりと見ていきましょう。
フューエルセンディングユニットをタンクから取り外していきます。
フューエルセンディングユニットはガソリンタンク内のガソリン量を
ガソリンメーターへ伝える役割をするパーツですね。
フューエルセンディングユニットを外してみると見事に錆が出ていました。
この状態ですとガソリンタンク内部の錆も気になる所です。
異音の原因は錆によりフューエルポンプ内部に錆が絡みダメージを受けていた事で発生していた様です。
当然、全てのパーツを新しい物へ交換致します。
錆を発見した事で燃料系統にダメージが出ている事が判りました。
こちらはフューエルストレーナーです。
通常、ガソリンタンクからフューエルポンプで燃料を吸い上げ、インジェクターにガソリンを供給するのですが、
その間に何もなければ、ガソリンタンク内部に錆等の異物が有った場合でもそのまま送ってしまいます。
それを防ぐ為にガソリンを濾過して微細な異物を取り除く濾過器としての装着されているのが
フューエルストレーナーになるのですが、外してみるとご覧のとおり大量の錆汚れが出てきました。
こちらも新しい物へ交換致します。
効率よく作業を行う為にガソリンタンクを外しました。
現状ではフューエルポンプやフューエルストレーナーを見ても明らかに内部に錆が発生しています。
ガソリンタンクの錆の発生は主にタンク内に気温差で発生する結露が原因で水が溜まり、
その水が錆を発生させます。
その他に古い車輌ではフューエルキャップの劣化等で洗車の際の水や雨水が侵入して
水溜まってしまう事も有りますので注意が必要ですね。
錆が原因でタンクに穴が開いてしまう程の状況でしたら大変な作業になってしまいます。
どのような状況になっているのかタンク内部を確認していきます。
内部を覗いてみると、かなりの錆が発生していましたが、
幸いタンクに穴を開けてしまう程の錆では有りませんでしたので、
今回はタンク内部の錆を洗浄剤で綺麗に落としてから防錆処理をしていきます。
今回使用した洗浄剤は錆を研磨するのではなく、化学反応で錆を落としていきます。
その為、タンクへのダメージも軽減されますし細部に溜まった錆も綺麗に落としていきます。
タンク内の錆を落として綺麗になっただけでは安心は出来ません。
スチールと錆は切っても切れない関係ですので出来るだけ錆を抑える為、
更にタンク内部を防錆処理をしていく必要があります。
フューエルストレーナーも新しいBMW純正パーツへ交換致します。
その他、タンク周辺のホース類も新しい物へ交換して燃料系の作業は終了です。
故障箇所を交換するだけでなく、故障箇所周辺からのダメージも考えられますので
故障箇所と同時に付随するパーツをある程度まとめて交換する事で、更なる故障を防いでくれます。
作業終了後に確認するとエンジンを始動する際に鳴っていた異音も全て解消されました。
オンボードコンピューターを確認。
ランプの球切れやエンジンオイル量・冷却水量の不足などの情報を示してくれる
チェックランプなのですが確認したところ、クーラントとエンジンオイルの警告灯が点灯しています。
調べていったところ、各センサーの異常だと判明したので、交換を実施します。
先ずはエンジンオイルセンサーの交換です。
センサーはオイルパンの下に装着されていますので、エンジンオイルを交換する際に交換します。
センサーを交換後、新しいオイルを注入していきます。
FUCHS TITAN 10W-40をチョイス。
クーラントセンサーも取り外します。
こちらはタンクの上部に付いておりますので冷却水を抜く事は無く交換が可能です。
新しいパーツと見比べてもダメージは見られませんが、内部抵抗値を調べていくと
機能しているかどうかはすぐに分かります。
クーラントセンサーを新しいパーツへ交換後、冷却水の交換を致します。
フラッシング剤を使用し、専用機材で圧力を掛け冷却ラインに溜まったスラッジ等を排出させます。
その後、冷却水を規定量入れ作業は完了です。
デフオイルを交換致します。
オイルの排出を効果的にする為、油温を高めにして汚れたオイルを時間をかけてしっかりと排出させます。
その後新しいオイルを注入していきます。
ブレーキフルードも専用機材を使い古いブレーキフルードや溜まったスラッジを圧力をかけて排出させます。
しっかりと排出させた後、新しいブレーキフルードを注入し交換作業は終了です。
パワーステアリングオイルも同様に圧力をかけ古いパワステオイルや溜まったスラッジを排出させます。
排出後に規定量の新しいオイルを入れ交換作業は終了です。
エアクリーナーも消耗品ですので新しい物に交換致します。
交換の際はエアクリーナーだけでなく、収納されるボックス内も綺麗にする事が大切です。
ミッションマウントを見てみると経年劣化でかなり酷い状態になっていましたので、
外して新しい物へ交換致します。
交換前の物を見るともう交換時期を超えた状態になっていました。
これではミッション部分を痛めるだけでなく、故障の原因にもなりますので点検の際は必ず確認し、
状態によってはなるべく早目の交換が必要ですね。
スピードメーターのトリップメーター部分に不具合を見つけました。
今の車は液晶で表示される事が多くなりましたが、このメーターは内部に歯車が付いており
この年代の形式に多いメーター内部のギア欠けによるものでした。
トリップメーターの故障の原因は歯車が噛み合う部分が欠けた事で、
歯車が上手く噛み合わず正確に数値を表示出来なかった様で歯車を使うメーターではよく見られる症状です。
新しい歯車へ交換し、トリップメーターの作動を確認して作業完了です。
運転席側のシートのリクライニング機能に不具合が出ているので、シートダンパーを交換致します。
シートダンパーはシートの高さと背もたれのリクライニング調整で使用しているパーツになりますが
ダンパーガスが抜けてしまうと、背もたれもシートの高さも調整が困難になってしまいます。
シートダンパーに不具合があるとベストなドライビングポジションを設定出来ませんので
運転だけでなく身体の不調にも繋がってしまいます。
外したシートダンパーと新しいパーツになります。
このパーツはリクライニングを調整する為にシートの可動部分に装着されています。
シートを倒してもレバー操作で自動的に起き上がるのはこのダンパーのおかげになりますので、
このパーツに不具合が起きるとシートを倒した後にレバー操作をしても
シートは起き上がらず寝かせた状態のままになってしまいます。
新しいパーツを装着後、リクライニングの可動を確認して修理完了です。
最後にメーカー規定値の4輪アライメント調整をしてから実際にテストランを繰り返し、
この車輌に最適な調整を導き出していきます。
アライメント調整は、メーカーの規定値だけではベストな調整は不可能です。
新車の状態と違いタイヤや車輌の状態により微妙に違ってきますので
実際にテストランを繰り返しながら調整する事が重要なのです。
新しい車検証、24ヶ月定期点検記録簿、アライメントデータ、ロードテストデータ等の書類を
オーナーにお渡しして納車となりました。
ちょっとしたトラブルで納車後にすぐにお預かりとなりご迷惑をおかけいたしましたが
先日無事納車とさせていただきました。また何か御座いましたらお気軽にご連絡下さい。
2015年11月17日