【ALPINA B3S】リアアクスルキャリアブッシュ・ハブベアリング交換etc,,,【110,000Km】
11月ももう終わりに近いですね。当社も年末までの予定が段々と詰まってきました。
オイル交換から重整備・レストアまで色々とやる事はあるので頑張っていきましょう。
本日のメンテナンスレポートはALPINA B3Sのリアアクスルキャリアブッシュとハブベアリングの交換です。
走行距離は110,000Km。
アクセルオン・オフ時にデフのバックラッシュのような音がする。との事で入庫したB3Sですが
確認するとデフマウントが盛大に砕けており、これではデフが動いてしまい音が出るのも納得です。
リア廻りを中心にブッシュの交換を進めていきます。
車体からリアアクスルキャリアを降ろしてブッシュを交換する為、
先にマフラー等の排気システムやプロペラシャフトを車体から外していきます。
こちらが原因のデフマウントブッシュ。
車輛装着状態での交換は不可能な為、リアアクスルキャリアを降ろしていきます。
今年はE46モデルだけで何台降ろした事か・・・
リアのハブベアリングも交換予定だったので先に交換しようかと思いロアアームなど外していますが
予定変更し、ブッシュ交換を先に進めていきましょう。
リアの足廻りやデフ、リアアクスルキャリアを降ろしたら、アクスルキャリアの取り付け部などを中心に
問題が無いかをしっかりと点検しておきます。
SSTを使用してトレーリングアームからブッシュやボールジョイントなどを交換していきましょう。
ボールジョイントを取り外した状態。
雪国等は凍結防止剤等の影響でどうしても錆が出てしまい固着して取り外す事が非常に困難なケースが有るので
錆の発生に注意が必要です。装着面に汚れや錆が出てないか確認を行い、
綺麗な状態にしてから新しい部品を装着します。
新旧のボールジョイント。
リアの足廻りでは重要な役割を担っているのですが、見た目以上に動きが悪くなっている事がほとんどです。
SSTを使用してナックル部分のマウントブッシュを交換。
新旧のマウントブッシュ。
SSTでマウントブッシュを圧入。
アッパーコントロールアームのブッシュ交換。
プレス機を使用して打ち抜きます。
新旧のアッパーコントロールアームブッシュ。
偏心の進行具合に注意が必要で、装着の際は方向性を間違えない様に圧入します。
ロアコントロールアームブッシュをプレス機で打ち抜いて交換。
ロアコントロールアームは本体が変形してしまっているケースもあるので異
常が無いか本体の寸法など確認を行って、ブッシュのみの交換をするのかASSY交換をした方が最適なのかを
見極める事が大切です。
SSTでトレーリングアームブッシュを抜き取ります。
リアアクスルキャリアのブッシュを交換。
新旧のリアアクスルキャリアブッシュ、リア側。
クラックや破損、劣化具合等の異常が無いかを確認します。
SSTでフロント側のリアアクスルキャリアブッシュを取り外します。
新旧のリアアクスルキャリアブッシュ(フロント側)
SSTでデフマウントを取り外します。
新旧のデフマウント。
クラックが入ってしまうと衝撃を吸収出来無くなって異音を発生させるだけでなく、
吸収出来無くなった振動が他のパーツにも悪影響を与える為、
定期点検の際にはパーツの劣化を見逃さない事が大切です。
デフマウント装着面に錆が出ていたので綺麗に除去しておきます。
強引に圧入すると、せっかくの新品のブッシュが駄目になってしまうので
スムーズに圧入していけるように圧入面を綺麗にするだけでなく
SSTへのテンションのかけ具合など慎重に進めていきます。
新旧のデフマウント。
新旧のスプリングパッド(アッパー・ロア)
他のブッシュと同様に衝撃を吸収しているパーツなので同時に交換が必要です。
新旧のリアショックアッパーマウント・バンプラバー・ダストブーツ。
新旧のリアスウィングサポート・スタビブッシュ。
リア足廻り、デフ、リアアクスルキャリア、リアスタビライザー等を車体へ装着。
ブッシュを交換した際は一気にボルトを締め込まずに仮止めの状態にしておき、
軽くテストランを行って馴染ませてから本締めを行います。
新旧のミッションマウント。
新旧のユニバーサルジョイント。
エンジンの回転力をプロペラシャフトへ伝える際に振動を吸収しているパーツなので、
ハイパワーなエンジンを搭載している車輌は、大きな力を吸収している為クラックの発生には注意が必要です。
プロペラシャフトのセンターベアリング。
劣化が酷くラバー部分が破損して突き抜けている状態でした。
新旧のプロペラシャフトのセンターベアリング。
ここまで酷くなる前に発見出来れば良かったのですが、マフラー遮熱板の上に取り付けされているので
目視での発見はなかなか難しいところです。
新旧のマフラーラバーマウント。切れていたので交換。
切れていたのは片側のみでしたが、両側共に交換します。
プロペラシャフトやマフラー等の排気システム、遮熱板等を装着していきます。
全てのパーツを装着してリアアクスルキャリアブッシュの交換が完了。
リアハブベアリングの交換。
ベアリング内部のグリスが経年劣化で固まってしまったり、何らかの原因でグリス切れになってしまうと
摩擦抵抗が大きくなる事で異音を発生させます。
ハブベアリングへアクセスする為、ブレーキシステムとハブを取り外します。
SSTのハブベアリングプーラーを使用してハブベアリングを取り外します。
固着している事が多く、外すだけでも時間が掛かってしまう事があるので、
状態を見て何が最適な方法なのかを判断ながら効率良く作業を進めます。
新旧のリアハブベアリング。
ベアリングは中の球体が回転する事で摩擦を抑えてスムーズな動きを可能にしているのですが、
使用していくと摩耗が進行するので、ガタツキが出たり何らかの原因でグリス切れが起こってトラブルを発生させます。
異常が起きると走行中にゴロゴロやゴォーッと異音が出て、摩耗が更に進行すると徐々に音が大きくなって
車内に鳴り響くようになるので、特に問題が出なくても一般的に10万kmを目安に交換しておくと安心です。
新しいリアハブベアリングをSSTで慎重に圧入していきます。
ブレーキシステムを装着し、トルクレンチを使用して規定の数値でセンターロックナットを締め込みます。
最後に緩み防止のカシメをしっかりと行ってリアハブベアリングの交換が完了。
4輪ホイールアライメント調整を行います。
調整の前に軽くテストランを行って交換したブッシュを馴染ませてから仮締めしていた箇所の本締めを行います。
足廻りの脱着や車高の調整、タイヤの交換時等も数値が変わってしまうので
ホイールアライメントの再調整が必要なのですが、
長期間未調整や激しく縁石に乗り上げたりタイヤをぶつけてしまった際も数値が変わってしまう事があるので要注意。
駐車時に車止めに激しくぶつけて止める方はいないと思いますが、
段差を乗り越える際や車止めへタイヤを接地させる際も急な動きは避けてソフトな運転を心掛ける事が大切です。
特にE46はリアセクションの調整次第で乗り味がガラッと変わってしまうので
ブッシュ交換の際には繊細なセッティングが求められます。
メーカーの基準値を元に熟練のスタッフが何度もテストランを繰り返しながら、
その車に最も適した数値を導き出していきます。
ブッシュだけでなく各パーツの劣化具合やタイヤの摩耗だけでも車輌毎に数値は違ってくる為、
同じ車種だからと他の同車種の数値を元に調整したり、
以前行ったアライメントの数値を元に調整を行ってもベストな調整にならないので
必ずテストランを行い、現在の車輌状態を見極めながら数値を導き出す事が大切です。
全ての作業を終えたら最後にテストランを行って修理箇所やその他に異常や違和感が無いか確認します。
ブッシュを交換した事でエンジンからのパワフルな力をしっかりとタイヤに伝え、
スムーズに加速していくドライブフィーリングは
ALPINA独特の上品且つパワフルな力強さを取り戻し、経年車という事を忘れさせてくれるパフォーマンスは
この先も存分にドライバーを魅了させてくれると思います。
後日オーナーへ分解整備記録簿と4輪ホイールアライメントデータをお渡しして、
今後のメンテナンス等を伝えて納車となりました。
今回は経年が10年以上、走行距離が10万kmを超えている車輌のメンテナンスを行いました。
使用していけば各パーツの経年劣化は避けられず、
特にブッシュ系のパーツは衝撃を吸収しているパーツなので劣化や破損してしまうと
異音の発生や挙動の変化に直接的に関係してくるので注意が必要です。
点検の際はパーツやブッシュの劣化具合をチェックするのですが、
今回の様にアクスルキャリアを降ろしたりする大掛かりな作業を伴うケースでは
劣化を見つけても見逃したり交換を引き延ばして簡単に交換するという訳にはいかないかも知れません。
その為、修理を行わずに別の車に乗り換えてしまう方もいるのですが、
ALPINAやM3等は現在の車輌には無い魅力も多く、今回のオーナーの様にブッシュを交換して
この先も維持していく選択も非常に魅力的なのではないかと思います。
2018年11月21日