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RESTORE REPORT

90y E30 M3 DiamondBlack Restoration FileNo.12

DSC06443_R90y E30 M3 DiamondBlack Restorationの記事も今回で第十二回となりました。
今回は組み上がったエンジンをボディに搭載する前の写真を残しましたのでご紹介。DSC06445_RまずはE30M3のエンジンの基本的な情報から。
E30 M3に搭載されるS14エンジンはもともとM1やM635CSi等に搭載されていたM88型DOHC3.5L直列6気筒エンジンを
2気筒分切り取ったものをベースとして2.3Lの直列4気筒DOHC4バルブエンジン(195PS/23.4kgf·m)として仕上げられています。
実際に乗られた方であれば分かりますが、この車の真価が発揮されるのはやはり高回転時でのレスポンスの良さですね。
エンジン回転数を落とさずに2・3・4速を使用しながらの高回転域での走りは一度味わうと忘れられないものです。
ですが、経年と走行距離によってコンディション抜群と言えるM3も少なくなってきており
オーバーホール済みと伝えられていても、
実際にどのような作業やメンテナンスがされてきたかが不明瞭なM3も少なくありません。
コンディションの良いM3は走行時、段差を乗り越えてもミシリというようなキシミ音は室内に一切聞こえないものです。
エンジンに関しても基本的にDME制御ですから、かかりはじめにアイドリングがラフになったりも基本ありません。
そういった症状のある車は、どこかに異常があると思って良いでしょう。
今回のM3は走行距離が少ない事もあり、大きく不具合として取り上げられるテーマは少なかったわけですが
それでも経年や塩カリの影響で、手を入れなくてはいけない箇所も多くありました。

今回の作業は今までの経験知識と技術をベースに当社のメカニックが丁寧にエンジンを分解し
手間を惜しまず入念かつ慎重に組み上げ再生致しました。
現状では新規にパーツを手に入れる事が非常に困難になっているパーツもあり、そういった部分は再生して完成させました。

■ガスケット類交換

■バルブ研磨

■バルブステムシール

■バルブスプリングテスターにてスプリング反発力テスト

■バルブすり合わせ

■R/Kピストンリング交換

■B/Gシェル

■B/GシェルR STD

■ウォーターホース・ファンベルト、各センサー交換

■パワステポンプ

■プラグ・デスビ交換

■各ボルト新品を使用(一部再生パーツ有)

■チェーンテンショナーレール類交換

■エンジン調整

■エアコンR134aシステムへ交換

■各部Oリング、ワッシャ等

◆コンロッドの磨き及びバランス取り

◆ピストン上面の磨き及び重量バランス取り

◆ヘッド部の燃焼室の磨き及び容量バランス取り

◆結晶塗装・粉体塗装

◆各パーツメッキ加工、再メッキ処理(ユニクロ・クロメート)

◆各パーツサンドブラスター加工及び塗装等DSC06446_Rオーバーホールする前のエンジンの状態(第五回)と見比べて頂くと随分変化があるのが分かるかと思います。DSC06447_Rブルーに結晶塗装されていたヘッドカバーからブラックに変更。
搭載後にBMW部分などは削り込んでいきます。
DSC06448_Rアルミパーツも本来の梨地の輝きを取り戻し綺麗な仕上がりになりました。DSC06449_Rここまでしっかりと再生されたS14エンジンは、まだあまり見ないのではないでしょうか。
DSC06450_R黒・銀・金という三色でのコントラスト、ショウルームに飾っておきたいのですが、次回にはボディとドッキングしているでしょう。
DSC06452_Rエンジンのレストアの記事だけでも第五回から今回まで八回分の更新となりました。
次回は完成したエンジンをボディへ搭載した内容をお伝えできるかと思います。
エンジン搭載が終われば、内外装を組み上げていくのみとなりますので、完成まで残りわずかといったところでしょうか。
是非、完結までお付き合い下さい。
過去の記事はこちらから御覧下さいませ
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2016年03月18日