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第58回 Zukunft

 

 
 
題名を見てピンと来た人はZシリーズマニアな人かも?
ドイツ語で『未来』という意味。
いまから約20年前に産声を上げたZ1。
20年後の現在その独特なディテールはまだまだ新鮮に映ります。

今回は初代モデルのZ1と最新モデルのZ4が同時に入庫したので2台揃ってのレポートです。
両車に言えるのは2シーターオープンモデル。
真冬にトップを開け走るのも気持ちが良いものです。
(暖房全開にしないと凍えてしまいそうですが・・・・)
 
 
 
 
Z4は走行2万Km弱の車輌。今回の作業内容はATFの交換とデフオイルの交換です。
 
 
 
 
排出前にフラッシング剤を注入し、各部に溜まったスラッジをオイルパンに集めます。
この作業によってほぼAT内のスラッジは除去出来ますが、作業内容の詳細は残念ながら秘密です。

どのくらいの時間フラッシングするかはその車輌の汚れ方にもよって変わります。

今まで何度も10万kmを超えた車輌のATF交換を実施しておりますが
交換した事によってATに不具合が出たケースは今まで一度もありません。

フラッシング後、ドレンボルトを外し、オイルパン内のオイルを排出します。
 
 
 
 
上の写真の状態で一晩、古いオイルを落とします。
 
 
 
 
 
毎度のことですが、走行2万キロでこの状態です。
車に良い訳有りませんよね。
 
 
 
 
 
エレメントにもびっしりと、オイルパン底部にもスラッジが粉末状に固まっているのが分かります。
 
 
 
 
磁石に付着したスラッジも全て取り除き、取付けへの準備を済ませておきます。
 
 
 
 
 
翌日、朝一番でATFを注入。オイルはFUCHS社ATF4000
高温になってもオイルの粘度が下がらないのが特徴の良いオイルです。
フニャっとした感じではなくカッチリと各ギアがシフトされているのが良く分かるオイルです。

ある程度の目安となる量を注入した後、最後の油面調整をする為しばらくの間、エンジンを止め油温を下げます。
ATFは入れ過ぎても入れなさ過ぎてもATに変調を来たしますので
私達は最低でも2日は交換の時間を頂いた上で、作業を実施致します。
 
 
 
 
 
デフオイルも真っ黒です。交換サイクルはもうちょっと早めた方が良い汚れ方でした。
入れたオイルはFUCHS社 HLS90。
 
 
 
 
こちらのZ1は走行3万1千Kmの車輌。
無料点検でご来店。スケジュールを併せていただいて優先順位を付けメンテナンスを実施。
 
 
 
 
 
ガソリン漏れ跡を発見し、まずはそこから修理。
足廻りを他店で交換されたばかりだったので交換時、ガソリン漏れの指摘が無かったか
伺った所、そのような指摘は無かったとの事。
全く気付かなかったのか、気付いていて施工が面倒で伝えなかったのかは不明ですが、
車を触るプロとしての意識の低さに辟易しつつお客様と打ち合わせします。

Z1のガソリンタンク脱着作業は確かに時間が掛かる事は事実であり
デファレンシャルケースの上にガソリンタンクが設置されており
必然的にマフラー、プロペラシャフト、デファレンシャルケース等を外さないと
ガソリンタンクは外れません。
 
 
 
 
 
普段確認する事の出来ないパーツのチェックをしながら分解していきます。
正常に機能していないパーツは二度手間にならないように交換をおすすめしております。
 
 
 
 
 
いつの間にか下ろされていたガソリンタンク。
シミのように見えるのがガソリンの漏れ跡です。
常時漏れていたわけではなく満タン時に漏れてしまう状態でした。
各ホースもボロボロでしたし、ホースバンド部分は痩せてしまい何時外れてもおかしくない状態でした。
 
 
 
 
 
電磁ポンプの機能チェックをした所、正常に機能しているのでそのまま使用する事に。
サクションユニット周辺の細かいゴムパーツは全て交換、フューエルフィルターも交換です。
 
 
 
 
 
ユニバーサルジョイントもヒビ割れが酷い状態でしたから交換。
 
 
 
 
 
リアのスウィングサポート、スタビブッシュは未交換だった為交換。
Z1のリア足廻り構造はセミトレではなくZアクセルと呼ばれるマルチリンク方式。
後のE36モデルの足廻りの基礎となったものです。
 
 
 
 
 
ミッションからのオイル漏れやデフマウントの役割をしているブッシュも交換し
しばらくはリア廻りを触らなくて良いように作業を進めました。
当初の予定修理金額よりは上がってしまいましたが、
今後しばらくの間は二重工賃が発生しないよう作業を進めましたので有効なお金の使い方だと思います。

ただ単にお客様から言われた物、店側が売りたい物だけを交換しているだけの修理が最近良く目に付きます。
もちろん何でもかんでも交換すれば良いという事を言っている訳ではなく。
分解時に使用パーツの消耗具合の判断すら出来無い人に大事な車を触られるのって
嫌じゃないですか?
 
 
 
 
最終チェックでテストラン。

今回の作業で全てが良い状態になった訳ではないですから今後のメニューを
考え、どの時期に施工すべきかも打ち合わせした後、お客様に納車致します。
 
 
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